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ますます勝手に関西遺産

【チリモン】ようこそ 食卓の異星人

2012年6月28日

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写真:★はレア度。珍しい順に星の数が多くなる(星5つはレア度無限大)=写真提供:川嶋隆義/STUDIO PORCUPINE拡大★はレア度。珍しい順に星の数が多くなる(星5つはレア度無限大)=写真提供:川嶋隆義/STUDIO PORCUPINE

イラスト:絵・グレゴリ青山拡大絵・グレゴリ青山

写真:北藤真人さん拡大北藤真人さん

 「混じりもの」という言葉の響きには、どこかマイナスの印象がつきまとう。食べ物に関することであればなおさらだ。これを「お宝もの」ととらえたのが、先見の明だった。

 イワシ類の稚魚を煮て乾かしたチリメンジャコの中に、おかしな魚やエビが混ざり込んでいることがある。業者の選別をかいくぐって茶の間に現れた異形の者たちを「チリメンモンスター」、略して「チリモン」と名付け、海の生物を学ぶ教材に仕立て上げたのが、大阪・岸和田の「きしわだ自然資料館」「きしわだ自然友の会」の面々だ。

 2004年春、子供向けの科学イベントを考えていたメンバーが、居酒屋に集まった時のこと。ホウレンソウのおひたしにのるチリメンジャコに、小さなイカが入っていた。

 「なんや、これ」「子どもたちに探させたら、ウケるんちゃうか」。そうして始めたイベント「チリモン探し」は、アニメ「ポケモン」に似た名と相まって、たちまち人気となった。

 教材に使う大阪湾産のチリメンジャコは、業者に頼んで混じりものを多く入れてある。子どもたちは片手に虫眼鏡、片手に箸やピンセットで根気よくより分け、大半が1センチ以下という極小のチリモンを探す。

 「うまく見つけても乾燥しきって形が変わっているので、種類を見分けるのは難しい」と、きしわだ自然資料館学芸員の風間美穂さん(40)。稚魚やプランクトンの図鑑でもわからなければ、海洋生物の研究者に写真を送って確認してもらう。

 イベントを始めた04年以来、年数十回の催しを通して200種類以上のチリモンを見つけた。稚魚が多いがタコやイカ、貝、エビ、カニ、ヒトデ、タツノオトシゴもいる。

 珍しさを表す「レア度」という5段階の指標も編みだし、子どもたちの意欲をかきたてた。

 よく見るのはレア度「1」。数が増えるほど希少になり「4」のボラやハモ、ヒラメの稚魚はめったにない。超レアもの「5=∞(無限大)」のコバンザメはこれまで4匹、硬いうろこに覆われ松ぼっくりのような形のマツカサウオは、1匹しか見つかっていない。

 岸和田の取り組みはホームページを通して全国に伝わった。09年に子ども向け図鑑が出版されるやさらに名をあげ、各地の博物館や水族館のみならず、ショッピングセンターの催しでも開かれるようになった。

 手近な食材の中に、小さくておかしな生き物たちを探す。「そんな意外性が人気を呼んだ」と風間さん。泉州発のチリモンが、海の生き物の多様性を子どもたちに教えていく。(長谷川千尋)

     ◇

メモ きしわだ自然資料館(072・423・8100)にはチリモンの標本コーナーもある。チリモンを紹介したパンフレットを無料配布しているほか、図鑑や書籍、カードを販売している。

     ◇

■推薦

海遊館・飼育係 北藤真人さん

成長した姿は水族館で

 チリモンは海に漂っている小さな生物ですが、拡大してみるとモンスターのような顔をしていて面白い。水族館に来ると海の生き物がたくさんいますが、中にはチリモンが成長した姿を何種類も見ることができます。海遊館には魚を中心にタコやウミガメ、ペンギン、ラッコなど580種いますが、大水槽ではチリメンジャコの親の一種マイワシ5万匹が群れて泳ぐ様子を見ることができます。

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