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もみじマーク「客が避ける」 個人タクシー廃業も

2008年7月5日

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写真毛利大造さんにもみじマークを張ってもらった。「大きくて目立つなあ。もう少し小ぶりならつけてもええのになあ」=堺市堺区、吉野太一郎撮影

 75歳以上の運転手に高齢運転者標識(もみじマーク)の表示を義務づけた改正道路交通法が6月に施行され、高齢の個人タクシー運転手が心中穏やかではない。「枯れ葉マーク」とやゆされる標識への抵抗感と、「客に避けられるのでは」との心配が広がり、廃業も目立っている。

 「タクシー運転手は、たまにしか乗らない一般ドライバーと違うんや。プライドを傷つけられた」。堺市内を中心に個人タクシーを走らせる毛利大造さん(79)=大阪市住吉区=は、もみじマークをトランクにしまいこんだままだ。「『枯れ葉マーク』の車には、お客さんが心配して乗らんやろ」との不安もある。

 警察は、改正法施行後1年間は表示義務違反に対して指導にとどめる方針だが、その後は反則金などが科される。毛利さんは「運転技術に問題はない。あんなもんつけるぐらいなら、やめる」と憤る。

 大阪府守口市の井上俊雄さん(78)はマークをつけて営業することにしたが、疑問は消えない。「後期高齢者医療制度と同じで、75歳で区切る理由がわからない。年寄りは早く廃業しろということか」

 全国個人タクシー協会によると、加盟する個人タクシー事業者4万2737人(5月1日現在)の平均年齢は60.9歳で、75歳以上は約4%の1853人。近畿2府4県でも同傾向で、7107人のうち309人が75歳以上だ。

 その6割近くが集中する大阪府内では、健康上の問題などで廃業する75歳以上の運転手は月に2人以下だが、改正法施行を控えた5月は7人。東京都内でも5月、廃業者のうち75歳以上が占める割合が平均(約35%)を1割程度上回った。同協会の担当者は「もみじマーク義務化の影響」とみる。法人タクシーでは同様の変化はなく、個人タクシー運転手の自尊心の高さがうかがえる。

 同協会は「強盗に狙われやすい」などの理由で個人タクシーへの義務化適用に反対してきたが、「法律で決まった以上、不本意ながら表示を呼びかけている」という。

 ただ、高齢者の事故率が高いのも事実。警察庁によると、75歳以上の個人タクシー運転手10万人あたりの事故件数は6909件で、74歳以下の3809件の約1.8倍。国土交通省は02年以降、新規に事業許可を得た運転手は75歳を定年とした。

 客はもみじマークを敬遠しているのか。JR新大阪駅前でタクシーを待つ人に聞くと、「気にしない。プロだから」(50歳、会社員男性)、「腕に自信があるはずで、好印象を受ける」(50代、パート女性)との意見がある一方、「高齢運転手は指示した曲がり角を見落とすことが多い。できれば避けたい」(38歳、会社員女性)との声も。

 大阪府警の幹部は「もみじマークの車を周囲が守ってあげようというのが法の趣旨で、危険な車の表示ではない。タクシー運転手はドライバーの模範的存在。ベテランの証しとして、温かく見守ってあげてほしい」と話す。(吉野太一郎、机美鈴)

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