0系車両の乗務前に、指をさして確認する伊藤健二さん=大阪市淀川区のJR新大阪駅、上田潤撮影
0系の営業速度は時速220キロ。87年の国鉄分割民営化後、JR各社はより速く快適な新幹線車両の開発を競うようになった。伊藤さんも92年からJR西日本の「500系」開発チームに参加。未知の速度を切り開く緊張感に心躍る日々だった。運転士としての経験をもとに運転台の機器の配列などを提案、採用された。
97年にデビューした500系は時速300キロの営業運転を達成。「新幹線のスピードはどんどん上がっているが、ずっと0系に乗ってきたことが基礎になっているんだ」と実感した。
富士山、関ケ原の雪。東京―博多間を往復しながら、0系の運転台から日本の風景の美しさを知った。11月26日、同社で指導職を退く目安とされる58歳を迎えるのを機に、0系より一足早く後進に道を譲ることにした。「丸みを帯びた形、運転台の機器の配置、すべてに愛着がある。0系なくして私の人生はなかった。今はただ、ありがとう、ご苦労様と言いたい」
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〈0系〉 64年10月1日の東海道新幹線開業とともに登場し、丸みを帯びた先頭部分の形状から「団子っ鼻」の愛称で親しまれた。86年までに3216両が製作されたが、老朽化などで99年に東海道区間から引退。今は6両3編成が新大阪―博多間で「こだま」として平日1日10本走っている。山陽新幹線では0系に加え、▽100系(85年登場)▽300系(92年)▽500系(97年)▽700系(99年)▽N700系(07年)の6車種が走っている。