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活動報告

 

◆信頼の経営精神を学ぼう/滋賀大とのシンポジウムに約650人NEW

◆介護現場のいま、外国人労働者の可能性を探る/龍谷大とのシンポに約660人NEW

◆「責任ある『輿論』の復活を」/今年度初の懇談会で佐藤卓己氏

◆キトラ古墳壁画公開に合わせ、シンポジウムや講演会・対談開く

◆内部告発に日本的なやり方を/懇談会で山折哲雄さん

◆発達障害とともに―学びをどう支えるか/プール学院大とのAPSシンポに約900人

◆貴志康一生誕100年を記念/甲南学園と共催シンポに500人

◆関西学院の災害復興フォーラムに200人

◆京阪中之島線の開通を記念し「駅」を語る/なにわ橋駅のシンポに200人

◆『西田當百の川柳と金言』が刊行されました/編者は元朝日新聞大阪版勤務の大野瑞子さん

◆活躍が期待される若手顕彰へ/朝日21関西スクエア賞を創設

◆「イタリアに学ぶスローライフ」テーマに講演/懇談会で武谷なおみさん

◆アニメ文化とともに育つ子どもたち/同志社女子大とのシンポに約250人

◆平城宮跡の整備と活用考えよう/遺跡学会のシンポに約300人

◆「日本の針路」めぐり討論/神戸大でのシンポに250人

◆黄砂は運ぶよ汚染も養分も/金沢大とのシンポに約120人

◆流域自治に挑む3知事/淀川ダムシンポに約600人

◆星浩編集委員が講演/会員交流会に約100人

◆池坊由紀さんが生け花実演/京都・池坊会館で懇談会開催

◆09年度上半期の共催3大学を募集中、締め切りは11月20日/朝日・大学パートナーズシンポジウム

◆福澤諭吉と大阪をテーマに/慶応大学とのシンポに約300人

◆大阪の暑さ和らげよう/環境まちづくりシンポに700人

◆『南北首脳会談への道――林東源回顧録』(日本語版)が刊行されました

◆核兵器廃絶、NGOの道探る/長崎の国際平和シンポジウムに約300人

◆「福田外交、よくやっている」/懇談会で中西寛委員

◆大阪の観光「食で活路」/大阪観光大学とのシンポに約400人

◆APSシンポ「シルクロードの女性たち」に約400人

◆シンポジウム「『高松塚』からの出発」に約400人

 

信頼の経営精神を学ぼう/滋賀大とのシンポジウムに約650人

 朝日・大学パートナーズシンポジウム 「近江商人に学ぶ 危機に克(か)つ『三方よし』」 (滋賀大学、朝日新聞社共催)が5月30日、大津市のびわ湖ホールで開かれました。 「信用、信頼を大切にした近江商人の経営精神を広めるべきだ」 との指摘に、集まった約650人が耳を傾けました。

 近江商人の流れをくむ伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長が基調講演。 「資本主義には宗教心や倫理が必要だが、これを米国は忘れた。近江の伊藤忠兵衛は『商売は菩薩(ぼさつ)業』といったが、要するに仏様は見ている、ということだ。無益な金を使わず、勤勉で実直な近江商人の精神で経済活動をするべきだ」と語りかけました。

 パネル討論では、「近江商人が近代化で果たした役割はもっと強調されるべきだ」(宇佐美英機 ・ 滋賀大教授)、「商都大阪、江戸の経済を支えたのは近江商人」(小池俊二・前大阪商工会議所副会頭)などと、その活躍を評価する意見が相次ぎました。いわゆる 「三方よし」については、「近江商人の天秤棒(てんびんぼう)は、『三方よし』のバランス感覚を意味している」(酒井泰弘・滋賀大名誉教授)との見方が示された一方、「近年になって作られた言葉で、すべての近江商人が実践したかのようにとらえるのは間違い」(宇佐美教授)、「言葉が独り歩きした感はあるが、この言葉が表す理念を正しく伝えるのも使命だ。『もったいない』と同じように、『三方よし』が世界に広がるよう努力したい」(岩根順子・NPO三方よし研究所専務理事)などの意見が出ました。コーディネーターは朝日新聞の小倉一彦・経済グループエディターが務めました。 (詳細は6月6日付の朝刊に掲載されました)

介護現場のいま、外国人労働者の可能性を探る/龍谷大とのシンポに約660人

 朝日 ・ 大学パートナーズシンポジウム 「Who Cares? 誰が私たちの面倒をみるの? ―介護現場のいま― 」 (龍谷大学、朝日新聞社共催)が6月20日、京都市伏見区の龍谷大学深草学舎で開かれました。迫る高齢化社会での介護の担い手として外国人労働者の可能性を考える報告や討論に約660人が聞き入りました。

 『おひとり様の老後』などの著書がある上野千鶴子 ・ 東京大大学院教授が「介護労働者は本当に足りないのか?―グローバリゼーションとケア」と題して基調講演。 昨夏に来日、介護施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指すインドネシア人女性の2人が、体験談と決意を披露。 外国人介護労働者の現状を安里和晃・京都大特定准教授、高畑幸・広島国際学院大講師、マリア・レイナルース・D・カルロス龍谷大准教授の3氏が報告しました。

 パネル討論では、上野教授、カルロス准教授のほか、稲葉敬子 ・ NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事、山崎イチ子・花園大特任教授、中江幸一 ・ 社会福祉法人 「うみのほし」 施設管理責任者の各氏をパネリストに迎え、介護を巡る様々な問題を語り合いました。コーディネーターはジャーナリストの川名紀美・元朝日新聞論説委員が務めました。 (詳細は6月28日付の朝刊に掲載されました)

「責任ある『輿論』の復活を」/今年度初の懇談会で佐藤卓己氏

 「朝日21関西スクエア」の09年度最初の懇談会が4月23日、朝日新聞大阪本社で開かれました。新たに企画運営委員に就任した関西大教授の大西正曹さん、大阪商工会議所副会頭の加藤誠さん、京都大大学院准教授の佐藤卓己さん、風刺マンガ家のチョン・インキョンさん、滋賀県環境生協理事長の藤井絢子さんの5人と、本社編集幹部が出席しました。佐藤さんが「メディアと教養 一億総博知化と『輿論の世論化』」 をテーマに講演。インターネット時代の新聞の役割について、「単なる即時的な効用ではなく、遅延的な報酬。後で役立つ教養メディアとして差別化を図るべきだ」と指摘しました。

 メディア史、大衆文化論が専門の佐藤さんは、責任ある言論や公論を指す「輿論」と、私的な心情や群衆感情を意味する「世論」の違いに注目した研究を続けています。明治・大正期には流言飛語や俗論という意味で使われていた「世論」が、戦後の漢字制限で「輿論」の代用となり、今では戦後世代のほとんどが「世論」を「よろん」と読むまでに定着した経緯にふれて、無責任な空気に過ぎない「世論」を批判しにくいという、特異な社会になったと述べました。

 また、情報源のインターネットへの移行が急速に進み、新聞離れどころか、最近はテレビも見ない学生が多いと話し、「インターネットは最強の即時報酬メディア。だが、匿名性が高く感情的になりやすい。社会全体が無責任な空気に流されないためにも、責任ある『輿論』の復活が求められている」と、締めくくりました。(詳しくは4月30日付夕刊に掲載されました)

キトラ古墳壁画公開に合わせ、シンポジウムや講演会・対談開く

 奈良県明日香村のキトラ古墳壁画「青竜」「白虎」が5月8〜24日に特別公開されたのを記念して、朝日新聞社はシンポジウムや講演会、対談などの催しを開き、古代ロマンと文化遺産の大切さをお伝えしました。

 【シンポジウム】「竜虎図から世界がみえる」と題して、4月25日に大阪市中央区のエル・シアターで開き、約430人が参加しました。町田章・元奈良国立文化財研究所長の特別講演「中国と日本の竜」のあと、キトラ古墳とかかわりのある5人の研究者がパネル討論。東アジアで一対のものとして親しまれてきた「竜虎」の歴史と、壁画の歴史的意味、保存のあり方を語り合いました。

 中国で東の青竜、西の白虎、南の朱雀、北の玄武という「四神」が定着するのは前漢時代(紀元前202〜紀元8年)とされますが、竜虎が描かれた墓は6千年前の新石器時代から見られます。田中俊明・滋賀県立大教授(古代日朝関係史)は「虎は死者を食べようと狙う『鬼』を退治する動物として、竜は被葬者の魂を乗せて天に昇る動物として描かれるようになった」と説明。百橋明穂・神戸大教授(美術史)は、中国では墓に霊力を持った様々な動物が戦う絵を描き、これらの獣を支配する王の力を強調したといい、その動物が四神や竜虎に固定されるようになり、竜虎が墓の通路の左右に並ぶ3〜4世紀になると、白虎が青竜とそっくりの体形に変化すると指摘しました。

 猪熊兼勝・京都橘大名誉教授(考古学)は、高松塚古墳の人物画が日本独自の衣服を着ていることから、「高松塚・キトラ両古墳の竜虎は、日本人の絵師によって描かれた可能性が高い」と推定しました。沢田正昭・国士舘大教授(保存科学)は「絵師の世界観や思想は、壁画を一つひとつ見ていても理解できない」と述べ、奈良県、明日香村が協力して、現地に壁画の研究と保存技術の情報発信拠点をつくるべきだと訴えました。奈良文化財研究所の玉田芳英・考古第二研究室長も「国営飛鳥歴史公園の整備で、キトラ古墳の近くに壁画の写真かレプリカが見られる体験施設も検討されている。地元を盛り上げ、世界遺産登録をめざしたい」と語りました。(詳細は5月1日付朝刊とアサヒコムに掲載されました)

 【講演会】5月8・9・11・15・18・22日の6日間、明日香村の県立万葉文化館と村中央公民館で開きました。講師は講演順に金関恕・大阪府立弥生文化博物館長、来村多加史・阪南大教授、山本忠尚・天理大教授、菅谷文則・奈良県立橿原考古学研究所長、木下正史・東京学芸大特任教授、和田萃・京都教育大名誉教授の6人。それぞれが専門の考古学や古代史の視点から、竜虎図の歴史、特徴や謎、壁画が描かれた飛鳥時代について迫りました。講演会を連日聴講する熱心なファンの姿もありました。

 【まほろば対談】5月13日、元ミス・ユニバース日本代表で写真家の織作峰子・大阪芸術大教授を万葉文化館に招いて、万葉学者の中西進館長が「万葉の詩心」をテーマに語り合い、約120人の聴衆が詰めかけました。「詩歌も写真も『発見』から始まり、受け止め側次第で、味わいや広がりが決定づけられる」と、2人の芸術論が響き合いました。石川県出身の織作さんは、北陸に派遣されていた大伴家持が歌った万葉歌を、故郷の能登で解釈して愛好していると話しました。

 (それぞれの詳細は夕刊文化面に掲載されました)

内部告発に日本的なやり方を/懇談会で山折哲雄さん

 「朝日21関西スクエア」の08年度最後の懇談会が3月12日、朝日新聞大阪本社で開かれました。08年度最後の懇談会で5人の企画運営委員全員が出席、宗教学者の山折哲雄さんが、内部告発をテーマに語りました。欧米と日本では人間観が違い、米国流の内部告発制度を一般化させると日本社会の自己崩壊につながるとの懸念を示して、日本的なやり方を探る必要があると指摘しました。

 山折さんは、米国では内部告発者が報奨金を元手に億万長者になり、その制度を当て込んだビジネスまで存在すると紹介した昨年の朝日新聞連載記事に触れました。こうした米国の内部告発制度には問題があるのに、日本でも06年に独占禁止法の課徴金減免制度が導入され、公益通報者保護法も施行されて、米国的な状況が広がることが心配だと語りました。

 危機感の背景に人間観の違いを指摘。「近代西洋社会は、人間を『疑うべき存在』と見て、一神教の神やそれに代わる理性、さらに契約によって、本来は疑わしき者同士をきずなでつないだ」。一方、日本社会は、人間を信頼すべき存在と見ているといい、「実際には裏切りはある。そのジレンマを乗り越えるため、集団への裏切りを牽制する『村八分』のような仕組みを生んだ」と述べました。こうしたモラルで、集団内の信頼関係を維持し、人間関係を安定させたとし、「重要なのは『二分』残していること。火事と葬式の時は制裁を解除した。一種の寛容の精神」と話しました。そのうえで、内部告発制度に寛容の精神を生かした日本流の配慮が必要だと強調しました。

 参加者からは「内部告発で中小企業は倒産するほど打撃を受けるが、大企業は結局揺るがない」「マスコミは内部告発者を守ることが大事だ」などの意見が出ました。

発達障害とともに―学びをどう支えるか/プール学院大とのAPSシンポに約900人

 朝日・大学パートナーズシンポジウム「発達障害とともに―学びをどう支えるか」(プール学院大学、朝日新聞社共催)が3月1日、大阪市生野区のプール学院中・高校メアリーズホールで開かれました。発達障害のある人たちが直面する困難をどのように理解し、支えていったらいいのか。パネリストが親、研究者、ジャーナリストの立場から活発に意見を交わし、約900人が熱心に耳を傾けました。

 冒頭に基調講演したのは、大阪教育大名誉教授の竹田契一さん。竹田さんは「特別支援教育は、基本的に集団の中で一人ひとりの子どもがどこでつまずいているのかを、担任がしっかりととらえ、その子に対応するプログラムを考えようという教育。日本の教育は、学級のなかでの指導が基本にあり、まずは担任のレベルアップが出発点にある。

 今後必要なのは、発達障害の子らの心に寄り添った指導ができる場を多くつくることだ。『特性』を『障害』にしないように、または障害があっても負担を軽くするにはどうすればいいかを考える必要がある」などと述べました。

 パネル討論には、女優で学習障害の長男を持つ五十嵐めぐみさん、教育ジャーナリストで元政府教育再生会議委員の品川裕香さん、愛媛大教育学部教授で日本LD学会副会長の花熊曉(さとる)さん、プール学院大特別支援アドバイザーで元堺市立小学校教諭の米田和子さんが加わりました。

 パネル討論に先立って、発達障害がある当事者が体験を語るコーナーが設けられ、アスペルガー症候群と診断され、著書「発達障害当事者研究」を著した東京都在住の綾屋紗月(あややさつき)さんと、共著者で東京大学大学院在学中の熊谷晋一郎さんが、自らの体験や身体感覚について話しました。綾屋さんは緊張すると声が出なくなるため、あらかじめ用意した原稿を熊谷さんが読み上げ、綾屋さんは手話で原稿の内容を伝えました。コーディネーターは川名紀美・朝日新聞論説委員が務めました。(詳しい内容は3月10日付朝刊に掲載されました)

貴志康一生誕100年を記念/甲南学園と共催シンポに500人

 ベルリンフィルを指揮するなど国際的に活躍した指揮者で作曲家の貴志康一(1909〜37)の生誕100年を記念するシンポジウムとコンサート「時空を超える貴志康一―音楽が拓く未来」(甲南学園、朝日新聞社共催)が1月18日、神戸市中央区の新神戸オリエンタル劇場で開催され、約500人が参加しました。

 最初に指揮者で貴志康一伝道師を自認する小松一彦さんが貴志の音楽の魅力などについて基調講演。続いて、小松さんをはじめ大阪大大学院准教授の小野高裕さん、貴志康一記念室元創設委員の日下徳一さんらが貴志の音楽と関西文化の活性化などをめぐって語り合いました。パネル討論の中で、貴志の妹の渡邊シズヱさんと、貴志の従妹の娘でフルート奏者の古田悠子さんが、特別ゲストとして登壇=写真左=、コーディネーターの井野瀬久美惠・甲南大学学長補佐の質問に、家族としての貴志康一の思い出話を披露しました。シンポジウムの後、ウイーン在住のソプラノ歌手の中嶋彰子さんらによる貴志作品のコンサートも開かれました=写真右=。(詳細は1月26日付夕刊、夕刊のない地域は27日付朝刊に掲載されました)

関西学院の災害復興フォーラムに200人

 災害復興の課題や被災地支援の実践について意見を交わす「2009年関西学院大学災害復興制度研究所フォーラム」(同研究所主催、朝日新聞社後援)が、1月11、12の両日、兵庫県西宮市の関西学院会館で開かれました。大規模災害が世界で頻発する中、国家や社会、文化の壁を越えて、どう国際支援を果たすかをテーマに、海外支援の現場で活動するNGOスタッフや研究者らが話し合いました。

 12日のシンポジウムでは、加藤孝明・東京大大学院助教、斉藤容子・国連地域開発センター防災計画兵庫事務所研究員、ショウ・ラジブ京都大大学院准教授、吉椿雅道・CODE海外災害援助市民センタースタッフの4人が、室崎益輝・関西学院大教授の進行でパネル討論。中国・四川やアジア各地での支援経験を語りました。これに先立ち、CODEの村井雅清理事・事務局長が、被災者や被災地を尊重した支援の理念を説明しました。また、特別講演した姜尚中・東京大大学院教授は、「地域」を単位に考える大切さに触れ、そこに蓄えられた「知恵」を伝えていくような支援のために日本は人材を育てていくべきだと、強調しました。(詳しい内容は1月16日付朝刊に掲載されました)

京阪中之島線の開通を記念し「駅」を語る/なにわ橋駅のシンポに200人

 駅が持つ可能性を語り合うシンポジウム「ex-station 駅を超える新たな駅のはじまり」(中之島コミュニケーションカフェ2008実行委員会、朝日放送、朝日新聞社主催)が、08年12月25日、大阪市北区の京阪中之島線なにわ橋駅地下1階のイベント空間「アートエリアB1」で開かれました。討論は駅の未来から中之島、大阪全体の将来像におよび、市民ら約200人が聴き入りました。

 劇作家平田オリザ氏の進行で、建築家の安藤忠雄氏、大阪大学の鷲田清一総長、武田佐知子副学長、京阪電鉄最高経営責任者の佐藤茂雄氏がパネル討論。安藤氏は「対話のない今の時代は(対話の場になる)こういう空間が重要だ」、平田氏は「様々な人が立ち寄り、大学が持つ知的なものを市民に開放できる場所にしたい」と話しました。鷲田氏も「この駅を拠点に、学生を大阪の都心に戻したい。どんどん学生を連れてくるので市民のみなさんで鍛えてやってほしい」と述べました。

 武田氏は「中之島線の開通や水際の遊歩道などの整備で、中之島の魅力はどんどん増している」、佐藤氏は「中之島線の駅前にはそれぞれ個性があるので、駅ナカと駅前が自然発生的に成長していってほしい」などと、期待を語りました。

 (詳しい内容は1月3日付朝刊に掲載されました)

『西田當百の川柳と金言』が刊行されました/編者は元朝日新聞大阪版勤務の大野瑞子さん

 大阪・法善寺横丁にある句碑《上燗屋(じょうかんや)ヘイゝゝと逆らわず》。上燗屋とはおでんなどを出す一杯飲み屋のことで、その主人の客あしらいを詠んだ一句。その作者、西田當百(にしだ・とうひゃく、1871〜1944)は日本最大の川柳結社・番傘川柳本社(大阪市)の創始者で、明治・大正の大阪風俗を好んで詠み、岸本水府らが活躍するずっと以前に近代川柳界の基礎を築いた。

 《無い筈はないひきだしを持つて来い》《醤油入渡す途中で借りられる》など日常のちょっとした会話や場面を切り取った句は、百年たった今でも笑いを誘う。初公開の貴重な資料写真などを年譜と共にグラビア8ページに収録。新葉館出版刊。税込み1,050円。

活躍が期待される若手顕彰へ/朝日21関西スクエア賞を創設

 朝日新聞大阪本社は、朝日21関西スクエアの発足10年を記念して、これから関西を元気にし、引っ張っていく力を秘めた若手を顕彰する「朝日21関西スクエア賞」を新たに設けることといたしました。

 関西スクエアは1998年、朝日新聞創刊120年を前に「関西からのメッセージ集団」の確立をめざして発足しました。以来、おかげさまで、学術、文化・芸術、経済、芸能、スポーツ、市民運動などさまざまな分野で活躍する多彩な方々にご参加いただいており、会員は現在500人を超えています。

 ここで、「関西からのメッセージ集団」という原点に立ち返り、関西を中心とした西日本地域をベースにして情報発信や表現活動の第一線ですぐれた実績をあげ、将来いっそう活躍することが期待される若手を毎年度1人表彰します。

 すでに名を遂げた人を表彰するのではなく、今後のさらなる活躍への期待も込めた「新人賞」の位置づけです。 関西スクエア企画運営委員(5人)と本社側から候補者を推薦し、企画運営委員と本社でつくる選考委員会で選考する予定です。08年度内に受賞者を決め、結果は朝日新聞紙上で発表する予定です。この授賞を一つの手がかりにして、関西スクエアの活動の活性化や発信力アップにもつなげていきたいと考えています。

「イタリアに学ぶスローライフ」テーマに講演/懇談会で武谷なおみさん

 「朝日21関西スクエア」の08年度第4回懇談会が12月8日、朝日新聞大阪本社で開かれました。企画運営委員の大阪芸術大教授、武谷なおみさん(イタリア文学)=写真右端=が「イタリアに学ぶスローライフ」をテーマに、現地で撮った写真などを交えてスピーチしました。

 武谷さんは、イタリアの新聞記者の著書をひいて、イギリス、アメリカ、イタリアの国民性をキーワードで比較した内容を取り上げました。たとえば、家の水道蛇口は「原始的」(英)、「機能的」(米)、「現代アート風」(伊)。食べ物に必要な要素は「栄養豊かなこと」(英)、「おなかいっぱいになること」(米)、「おいしいこと」(伊)などと、イタリア人特有のこだわりを紹介しました。また、古い建物が多く残るシチリアのまちを写真で紹介。著名な作家が文学作品を生んだ背景に思いを巡らせました。

 そのうえでイタリアの国民性について、日本人と比べると働かない一面もあるものの、そのマイナスイメージを逆にみれば、自分の頭で考える時間を持っている人たちが浮かび上がってくると、締めくくりました。

 これに先立ち、本社側から「朝日21関西スクエア賞」の創設について、企画運営委員のみなさんに提案、説明をしました。委員からは「発信力のある人がいい」「年齢制限はあるのか」などのご意見やご指摘があり、「年齢などの制限は一切なく、できるだけ幅広く『新人』を選考してみたい」と本社側が答えました。論議の結果、賞を設けることにご賛同いただきました。(武谷さんのスピーチ内容は12月11日付夕刊に掲載されました)

アニメ文化とともに育つ子どもたち/同志社女子大とのシンポに約250人

 朝日・大学パートナーズシンポジウム「アニメ文化とともに育つ子どもたち――日本のアニメはどこへゆくのか」(同志社女子大、朝日新聞大阪本社共催)が12月6日、大阪市中央区の大阪ビジネスパーク円形ホールであり、研究者やアニメファンら約250人が参加しました。

 第一部は三鷹の森ジブリ美術館館長の中島清文さんが「ジブリ美術館と世界のアニメーション」と題して基調講演。中島さんは「子どもが自分で何かを見つけ、おもしろがる体験が重要」と話しました。第二部は、アニメ監督の原恵一さんと同志社女子大教授の村瀬学さんとの基調対談。原さんが自作の「クレヨンしんちゃん」シリーズや「河童のクゥと夏休み」について、作品や演出に込めた思いを語りました。

 第三部のパネルディスカッションには、先の3人に加えて、ワオ・コーポレーション会長の西澤昭男さん、甲南女子大教員の米村みゆきさんパネリストとして参加、アニメと児童文学のかかわりなどについて、時折映像を交えながら意見を交わしました。コーディネーターは朝日新聞大阪本社生活文化グループの今井邦彦記者が務めました。(シンポの詳細は12月13日付朝刊に掲載されました)

平城宮跡の整備と活用考えよう/遺跡学会のシンポに約300人

 2010年に遷都1300年を迎える奈良市の特別史跡・平城宮跡が国営公園として整備されることになったのを受け、平城宮跡の整備と活用について考えるシンポジウム「平城宮跡の国営公園化と奈良のまちづくり」(日本遺跡学会、朝日新聞社主催)が11月30日、奈良市の奈良大学で開かれ、市民ら約300人が参加しました。

 平城宮跡の整備計画案について、文化庁の小野健吉・主任文化財調査官と、国土交通省の藤野健一・国営飛鳥歴史公園事務所長が報告。パネル討論には、平城宮跡の保存などにかかわってきた坪井清足・元興寺文化財研究所長、田辺征夫・奈良文化財研究所長、高野浩二・大阪府文化財センター理事、佐古和枝・関西外国語大教授と荒井正吾・奈良県知事が参加。荒井知事は「復元された朱雀門が国営公園の玄関口になることを前提に、そこに面した第2阪奈道路から奈良公園にかけての大宮通を、歴史をしのぶことができる形に整備していきたい」と構想を語りました。コーディネーターは天野幸弘・朝日新聞記者が務めました。

(シンポの詳細は12月6日付夕刊に、夕刊のない地域は7日付朝刊にそれぞれ掲載されました)

「日本の針路」めぐり討論/神戸大でのシンポに250人

 シンポジウム「存在感のあるミドルパワーへ 日本の針路」(神戸大学主催、朝日新聞社後援)が11月26日、神戸市灘区の神戸大学で開かれました。超大国ではない「ミドルパワー」として、日本が存在感を内外に示していくにはどうすればよいかなどを論点に、五百旗頭真・防衛大学校長(日本政治外交史)、堀場厚・堀場製作所社長、村松泰雄・朝日新聞論説主幹がパネル討論しました。進行役は桐村英一郎・神戸大客員教授が務め、市民や学生ら約250人が耳を傾けました。

 討論に先立つ講演で、五百旗頭氏は日米同盟と中国との協商が大切だと説き、堀場氏は自国の文化に誇りを持ち、自国のことを学ぶことが必要だと強調しました。「ミドルパワー」とは、大国、超大国という概念に対し、国際問題が生じた際、積極的に協調策を探ったり、国際世論をリードしたりすることに存在意義を見いだす国を指すことが多い。中堅国家とも訳され欧州諸国やカナダがこう呼ばれている。

 (シンポの詳しい内容は12月5日付夕刊に掲載されました)

黄砂は運ぶよ汚染も養分も/金沢大とのシンポに約120人

 朝日・大学パートナーズシンポジウム「黄砂、変化の旅――能登は大気観測の最前線」(金沢大学、朝日新聞社共催)が11月24日、金沢市の石川県女性センターで開かれました。最初に中国と韓国の留学生3人が、司会のフリーアナウンサー平見夕紀さんの出すクイズに答えながら、黄砂の基礎知識を紹介しました。ついで、岩坂泰信・金沢大フロンティアサイエンス機構特任教授が「黄砂が運ぶもの」と題して基調講演。「黄砂は大気汚染物質から養分、微生物まで付着させ、変化しながら飛んでくる。まさに『空飛ぶ科学工場』だ」と述べました。

 パネル討議には冒険家の大場満郎さんをはじめ、秋道智彌・総合地球環境学研究所教授、竹中千里・名古屋大学大学院教授、西川雅高・国立環境研究所室長、早川和一・金沢大学大学院教授が加わりました。黄砂は環境やひとの健康にどんな影響をもたらすのか、地球温暖化への影響は、国境なき黄砂問題に取り組むために各国の連携は可能かなどをめぐって、熱い討論が繰り広げられ、約120人が耳を傾けました。コーディネーターは尾関章・朝日新聞論説副主幹が務めました。(シンポの詳細は11月30日付の朝刊に掲載されました)

流域自治に挑む3知事/淀川ダムシンポに約600人

 国の大戸川ダム(大津市)計画に共同で反対を表明した大阪府の橋下徹知事、京都府の山田啓二知事、滋賀県の嘉田由紀子知事らを招いたシンポジウム「琵琶湖・淀川の流域自治を考える」(朝日新聞社主催、朝日放送後援)が11月23日、大阪市中央区の大阪商工会議所国際会議ホールで開かれました。3人の知事は上中下流で利害が相反する治水行政において、府県をまたがる流域の意思決定機関が必要との認識に至るまでの内幕を披露し、集まった市民約600人が聴き入りました。

 橋下知事は「淀川流域のことは国土交通相ではなく流域の首長がやるべきだ。淀川の治水は関西圏域で判断できる」との持論を述べました。嘉田知事も「流域の分権は責任を皆で分かち合うこと。琵琶湖淀川水系で、どのように流域自治を作っていくか」と問題提起し、広域の意思決定機関が必要との認識を示しました。山田知事は流域府県の利害調整について「広域連合も一つの手段だし、道州制も一つの手段。これらを段階的に踏まないといけない」と強調しました。元国交省河川局長の竹村公太郎・リバーフロント整備センター理事長が「首長たちが合意を得ようとする努力はすごい」と評価しました。公共事業に詳しい五十嵐敬喜・法政大教授は「すべての公共事業を一度全部やめ、必要なダムや道路を自治体の住民参加で作り直すことが必要だ」と指摘しました。

 これに先立ち、元建設省河川局長の尾田栄章さんが「住民参加と環境保全、河川法に込めた意味」のテーマで講演。国交省近畿地方整備局の谷本光司・河川部長が、淀川水系河川整備計画案を説明しました。コーディネーターは中村正憲・朝日新聞論説委員が務めました。(詳しい内容は12月1日付の大阪本社朝刊、東京・名古屋・西部各本社は11月30日付朝刊に掲載されました)

星浩編集委員が講演/会員交流会に約100人

 関西から情報発信するメッセージ集団を目指し、朝日新聞大阪本社が各界に呼びかけて発足した「朝日21関西スクエア」の08年度交流会が10月10日、大阪市北区のホテルで開かれました。年に一度のイベントとあって会員約100人が参加し、親交を深め合いました。

 最初にテレビ朝日「サンデープロジェクト」のコメンテーターとしておなじみの朝日新聞の星浩編集委員が「日本政治の課題」と題して講演しました=写真。

 今度の総選挙の持つ意味について、星編集委員は「自民党と民主党が第一党の座を競う日本の政治で初めての選挙であり、『天下分け目の戦い』になる」と強調。そのうえで「インド洋沖の給油延長問題や高速道路の無料化など、政治や政策を有権者の選択によって大きく動かせる機会」と語りました。

 争点としては、世界金融危機を受けて緊急性が増している景気対策や年金、税制、安全保障などを挙げたが、なかでも消された年金や天下り問題などで批判が高まる「『官僚制度の行き詰まり』が最大の争点」としました。

 「日本の教育は、試験では簡単な問題から取り組めと教え、80点とると評価して受験秀才を育てる。そのため、一番難しい問題は誰も手をつけずに残ってしまう」と教育論を絡めて「霞が関」の問題点を指摘。「官僚は80点をとるのは得意だが、不良債権問題や年金問題など、こじれた難しい問題は放ったらかしにしてきた。官僚制度を抜本的に改めないといけない」と語りました。総選挙が近いともいわれ、時宜を得たテーマだけに、集まった会員たちは熱心に聴き入っていました。

 その後、スクエア企画運営委員で大阪商工会議所副会頭の小池俊二さんが「この一週間、ニューヨークや東京の歴史的な同時株安で、世界はひとつであると痛切に感じた」とあいさつ。「活発に意見を出し合って活動していきましょう」という小池さんの発声で懇談会が始まり、和やかな雰囲気のなかで会員同士の意見交換が続きました。

池坊由紀さんが生け花実演/京都・池坊会館で懇談会開催

 「朝日21関西スクエア」の懇談会が9月26日、京都市中京区の池坊会館で開かれました。企画運営委員でもある華道家元池坊の次期家元、池坊由紀さんが、あらゆる命に美を見いだすいけばなの精神を、実演して解説しました。

 いけばな「池坊」は、聖徳太子創建という六角堂(紫雲山頂法寺)の住職が仏様に花を供えたのが始まり。その名は、寺内の池のほとりに僧の住坊があったことに由来するといいます。六角堂の僧侶の始祖と伝わる小野妹子が「専務」を名乗ったので、代々の家元の名に「専」の字を使うようになったそうです。

 素朴な供花だったいけばなの転機は室町中期。「書院造りの建築様式が生まれ、床の間という空間に置く座敷飾りとして芸術的な規則性を持ち始めた」。15世紀後期の史料「碧山日録」には、12世家元・専慶が生け花の名手とする記述があるといいます。16世紀前半、28世家元の「専応口伝」は美しい花のみ称賛する価値観を否定。割れた瓶や古い枝にも年月の積み重ねや独自の趣があると説き、現代に至るいけばなの精神を確立しました。「専応は『枯れた花にも花がある』と唱え、花の姿を通してこの世の摂理にまで思いを巡らした」

 この後、池坊いけばなの3様式「立花」「生花」「自由花」を実演しました。立花が最も古く、生花はそれを江戸期に簡略化。自由花は、西洋化した現代の生活にあわせて生み出されたといいます。この日の立花は現家元45世・専永氏が現代風にアレンジした「立花新風体」で、黄色くなった虫食い葉などを用いて優雅な立体を作りあげました。

 「いけばなも高齢化が進み、伝承が難しくなっている」と話し、国士舘大、立命館大などで講義に導入していることも紹介しました。

09年度上半期の共催3大学を募集中、締め切りは11月20日/
朝日・大学パートナーズシンポジウム

 朝日・大学パートナーズシンポジウム「異端がひらく未来―大阪近代化の幕開けと福沢諭吉―」(慶応大、朝日新聞社共催)が9月20日、大阪市福島区のABCホールで開かれ、約300人の聴衆が耳を傾けました。

 関西学院大大学院教授で大阪大名誉教授の宮本又郎さんが「慶応義塾と関西の企業家たち」と題して講演。阪急グループ創業者の小林一三氏ら、慶応にゆかりのある関西の企業家の功績を紹介しました。作家の北康利さんは「福澤諭吉 国を支えて国を頼らず」の題で、「民」「私」にこだわった福澤の精神を見つめ直すべきだと説きました。

 パネル討論には、大阪大名誉教授で適塾記念会理事の芝哲夫さん、関西にこだわり続けている作家の玉岡かおるさん、慶応義塾大福澤研究センター准教授の西澤直子さん、松下電器産業副会長の松下正幸さん、大阪大大学院教授でアンジェスMG創業者の森下竜一さんの5人が登壇しました。各パネリストは「大阪スピリッツ、ここに在り」をテーマに、関西復権に向け、民間の力をいかすことや、道州制を実現する大切さなどを訴えました。コーディネーターは曽根宏司・朝日新聞大阪本社編集局長補佐が務めました。(シンポの詳細は9月29日付朝刊に掲載されました)

福澤諭吉と大阪をテーマに/慶応大学とのシンポに約300人

 朝日・大学パートナーズシンポジウム「異端がひらく未来―大阪近代化の幕開けと福沢諭吉―」(慶応大、朝日新聞社共催)が9月20日、大阪市福島区のABCホールで開かれ、約300人の聴衆が耳を傾けました。

 関西学院大大学院教授で大阪大名誉教授の宮本又郎さんが「慶応義塾と関西の企業家たち」と題して講演。阪急グループ創業者の小林一三氏ら、慶応にゆかりのある関西の企業家の功績を紹介しました。作家の北康利さんは「福澤諭吉 国を支えて国を頼らず」の題で、「民」「私」にこだわった福澤の精神を見つめ直すべきだと説きました。

 パネル討論には、大阪大名誉教授で適塾記念会理事の芝哲夫さん、関西にこだわり続けている作家の玉岡かおるさん、慶応義塾大福澤研究センター准教授の西澤直子さん、松下電器産業副会長の松下正幸さん、大阪大大学院教授でアンジェスMG創業者の森下竜一さんの5人が登壇しました。各パネリストは「大阪スピリッツ、ここに在り」をテーマに、関西復権に向け、民間の力をいかすことや、道州制を実現する大切さなどを訴えました。コーディネーターは曽根宏司・朝日新聞大阪本社編集局長補佐が務めました。(シンポの詳細は9月29日付朝刊に掲載されました)

大阪の暑さ和らげよう/環境まちづくりシンポに700人

 地球温暖化とヒートアイランド現象で深刻さが増す大阪の暑さを、どうしたら和らげられるのか――。自然を生かした対策とまちづくりを考えようという「環境まちづくりシンポジウム〜風・水・緑で都市を冷まそう!」(大阪市、朝日新聞社主催)が9月6日、大阪・中之島の市中央公会堂で開かれ、約700人が参加しました。最初に哲学者の梅原猛さんが「環境問題と哲学」と題して特別講演しました。パネル討論には、環境ジャーナリストの枝廣淳子さん、NPO法人渋谷川ルネッサンス代表の尾田栄章さん、大阪ガスエネルギー・文化研究所主任研究員の加茂みどりさん、神戸大学大学院教授の森山正和さんが参加、涼しい海風を内陸部に呼び込む「風の道」や、打ち水、緑化などの具体策や市民参加のあり方について話し合いました。司会は中村正憲・朝日新聞論説委員が務めました。(シンポジウムの詳しい内容は9月13日付特集面に掲載されました)

 梅原さんの講演要旨は次の通り。

 環境破壊は、近代西洋の創造した、産業革命以来の科学技術文明が生み出した。人間はこの近代文明によって母なる自然を奴隷のごとく酷使した。根底にあるのがフランスのデカルトや英国のベーコンが基礎づけた近代西洋哲学だ。デカルトの有名な言葉に「我(われ)思う、ゆえに我あり」があるが、デカルトは、考えている我、理性的な我が、絶対確実と考え、我を世界の中心に置いて自然と対立させた。このような人間中心主義の起源はソクラテス、プラトンのギリシャ哲学にあり、デカルトにおいて拡大されたとドイツのハイデッガーは唱えた。

 私は、京都大学でもともと西洋哲学を研究していたが、人間中心主義の考え方は、どうも間違っているという予感があった。そして、近代西洋哲学の誤謬(ご びゅう)をいやすような思想が、東洋あるいは日本にあると考え、40歳のころ、日本思想の研究に転向した。その後の研究により、日本の思想の根底には「草木国土悉皆(しっ かい)成仏」という天台本覚論の思想があると考えている。これは、草も木も、無機物である国土までもが仏性を持ち、成仏できるという考え方で、鎌倉仏教の共通の思想的源となった。生きとし生けるものの中に人間が生きているという自然中心主義で、能楽、和歌、俳句、華道などの根底にあると思う。

 あえて過激なことを言うと、人間を中心にすべてのものが回っているとする西洋近代哲学の考え方は、コペルニクスの地動説以前の天動説に似ている。そういった人間中心の哲学を、太陽中心、自然中心の哲学に、今こそ転換するべき時なのである。

『南北首脳会談への道――林東源回顧録』(日本語版)が刊行されました/
訳者は元朝日新聞社編集委員の波佐場清さん

 今年6月、ソウルで発刊された『林東源回顧録 ピースメーカー』の日本語版。著者の林東源(イム・ドンウォン)氏は1980年代末以来昨年まで約20年間、その多くの期間を韓国政府の中枢またはその周辺にいて対北朝鮮政策に深くかかわり、とくに金大中政権下、金大統領の右腕として太陽政策を推進した人物として知られている。

 2000年6月の南北首脳会談の舞台裏や両首脳の具体的なやりとり、90年代初めの盧泰愚政権下の南北高位級会談の展開過程など、自らかかわった交渉の中身と周辺を克明に記録。冷戦終結後の朝鮮半島南北関係史そのものといえる内容になっている。大統領特使として繰り返し、長時間にわたって直に接した金正日総書記の素顔もリアルに描き出される。岩波書店刊、税込み2940円。

核兵器廃絶、NGOの道探る/長崎の国際平和シンポジウムに約300人

 国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道 NGOとミドルパワーの可能性」(長崎市、長崎平和推進協会、朝日新聞社主催、広島市、広島平和文化センター、長崎文化放送、広島ホームテレビ後援)が7月27日、長崎市のブリックホールで開かれました。約300人が集まり、具体的な核兵器廃絶の方法を探る中で、NGOや中堅国家が果たす役割や可能性を考えました。平和シンポは14回目。06年からは長崎と広島で交互に開いています。

 第1部には昨夏、米国のケーブルテレビで放映されて反響を呼んだ映画「ヒロシマナガサキ」のスティーブン・オカザキ監督が登場。長崎市の活水高校3年、香田理奈さん(18)、長崎西高校3年、草野昂志郎さん(18)と対話しました。高校生2人は、長崎市を拠点に核兵器廃絶を求める「高校生1万人署名活動」のメンバー。

 オカザキさんは「大変だが、日系人でもあるので全力を挙げて作ろうと思った」と、被爆者のドキュメンタリー「ヒロシマナガサキ」制作の思いを語りました。1万人署名の仲間と被爆者の証言を集めたDVDを完成させた香田さんは「オカザキさんの映画を参考にした」と話しました。進行役は加藤千洋・朝日新聞編集委員が務めました。

 シンポジウムでは、遅々として進まない核廃絶への道に実効性を持たせる手段として、対人地雷やクラスター爆弾の禁止条約作りの原動力となった国際NGOとカナダやノルウェーなどの働きに着目。第2部で、国際NGOに参加した、難民を助ける会理事長の長(おさ)有紀枝さんが特別報告をしました。

 第3部では、長さん、米メリーランド大国際・安全保障問題研究センター研究部長のナンシー・ギャラハーさん、平和・安全保障研究所理事長の西原正さん、東京大学公共政策大学院客員教授の鈴木達治郎さん、元長崎大学長の土山秀夫さんが討論しました。大統領選を控えた米国で、元政府高官が核廃絶の必要性を訴えるなど、核政策に変化の兆しが現れている点を踏まえ、被爆国日本やNGOの果たすべき役割を考えました。(詳しい内容は8月2日付の朝刊に掲載されました)

「福田外交、よくやっている」/懇談会で中西寛委員

 朝日21関西スクエアの懇談会が7月11日、朝日新聞大阪本社で開かれ、企画運営委員の中西寛・京都大学公共政策大学院教授(国際政治学)が、福田首相のこれまでの外交への評価や、洞爺湖サミット後のG8の行方などを語りました。

 中西教授は、福田首相が識者の意見を聞くために設けた「外交政策勉強会」の一員。「外交だけ見れば、首相は比較的よくやってきた」と見る。「日中関係では、5月の胡錦濤国家主席の訪日時に、歴史認識などの問題で日本の立場をあまり苦しくしなかったし、東シナ海のガス田では共同開発合意にこぎ着け、新たな基本枠組みを作った」「今年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、地球温暖化対策に向けた基本指針に関して演説。5月は横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD)を開催。そして6月には温暖化対策の包括提案『福田ビジョン』を出した」と解説。

 G8については、「環境問題に代表される『グローバル・ガバナンス』(地球規模の統治)に関心が高まる中、一部の国だけの議論に今後、どれほどの意味があるか。最終日の16カ国による主要排出国会議(MEM)の首脳会合が、来年以降も継続される意味は大きい。G16のような新たな枠組みの可能性が出てきた」。その結果、日本の存在感は弱まってきているとし「例えばCO2排出量削減で、東アジアの地域枠組みを日本が代表して発言するなどすれば、重みが出るだろう」と語りました。

大阪の観光「食で活路」/大阪観光大学とのシンポに約400人

 朝日・大学パートナーズシンポジウム「観光交流時代のアジアと大阪――食べあるきが大阪をおもろい街にする」(大阪観光大、朝日新聞社共催)が7月5日、大阪市北区の大阪国際会議場で開かれました。日本を訪れる外国人観光客の7割をアジアの人たちが占める時代に、大阪はどう集客を図ればいいのか、約400人の聴衆が聴き入りました。

 最初に同大学の学生たちが、大阪の飲食店は外国人観光客にどのような接客の工夫をしているのかを調べた結果を報告しました。続いて北海道大学観光学高等研究センター長の石森秀三さんが講演で「大阪の人たちがこの街の生活を楽しまないと、よそから人は訪れない」などと語りました。作家でジャーナリストの莫邦富(モーバンフ)さんも、関西の諸都市が協力して歴史や文化をアピールする大切さを説きました。

 パネル討論では石森さん、莫さんに加えて、大阪観光大学長の塩澤潔(いさお)さん、元あまから手帖(てちょう)編集長代理の島田勤子(いそこ)さん、日本コナモン協会長の熊谷真菜さんが、食文化を通して大阪の魅力を高めるためのアイデアを出し合いました。

 コーディネーターは林梓生・朝日新聞記者が務めました。(シンポの詳細は7月17日付朝刊に掲載されました)

APSシンポ「シルクロードの女性たち」に約400人

 高松塚古墳の壁画や敦煌石窟寺院の供養者像などの画像資料や、陶磁器などの考古資料に描かれた女性たちの姿から、シルクロードをめぐる生活文化交流史を新しい視点から考える朝日・大学パートナーズシンポジウム「シルクロードの女性たち―飛鳥から敦煌・ペルシャへ―」(京都橘大学、朝日新聞社共催)が6月22日、大阪・中之島の大阪国際会議場で開かれ、約400人が参加しました。

 最初に、百橋明穂・神戸大大学院教授が「シルクロードと古代日本―女性たちの道―」、杉村棟・国立民族学博物館名誉教授が「古代オリエントのヴィーナスたち」をテーマに基調講演。続いて王衛明・京都橘大教授が「敦煌莫高窟にみる女性供養者像の表現形式」をテーマに特別講演。パネル討論には百橋教授のほか、猪熊兼勝・京都橘大名誉教授、小笠原小枝・日本女子大教授、谷一尚・岡山市立オリエント美術館長、弓場紀知・京都橘大教授が加わり、染織、ガラス、陶磁器などの文化交流史に女性が果たした役割などをめぐり、活発な議論が交わされました。コーディネーターは朝日新聞記者・天野幸弘が務めました。(シンポジウムの詳細は6月30日付朝刊に掲載されました)

シンポジウム「『高松塚』からの出発」に約400人

 「考古学の戦後最大の成果」といわれた1972年の発見から36年。高松塚古墳(奈良県明日香村、特別史跡、7世紀末〜8世紀初め)の国宝壁画が、同村の修理施設で初めて一般公開されました。それを記念して5月31日に大阪市のリサイタルホールでシンポジウム「『高松塚』からの出発」(同村、朝日新聞社主催)が開かれました。

 最初に国立西洋美術館長の青柳正規さん(ギリシャ・ローマ美術考古学)が基調講演。青柳さんは「『熱い文化』と『冷たい文化』の縦軸と、『循環文化』と『蓄積文化』の横軸で座標をつくると、日本は伝統的には『冷たい』『循環』の方向にかなり振れるが、今は『熱い』『蓄積』の方向に近づいている。伝統的な文化と、現在向かっている方向に距離がありすぎることが、さまざまな社会の不機嫌や不整合を生み出している。現在の文化を旧来の文化へ近づけ、伝統と活力の融合を目指せば、日本の文化はもっと充実した、満足できるものになるはずだ」などと述べました。

 シンポジウムでは青柳さんに加えて芳賀満・京都造形芸術大学教授(古代オリエント考古学)、松村恵司・奈良文化財研究所都城発掘調査部長(考古学)、徐光輝・龍谷大学教授(中国考古学)、佐古和枝・関西外国語大学教授(考古学)の計5人のパネリストが、壁画が劣化し、修理のために石室が解体された経過を考古学者らが振り返り、文化財を保存することの意味や、その公開、活用のあり方について白熱した議論を交わしました。司会は朝日新聞記者・天野幸弘が務めました。

 またこの日、シンポジウムにあわせて、朝日新聞大阪本社1階のアサコムホールでは、関西大学が作った実物大の高松塚壁画パネルが展示され、シンポ参加者ら大勢の考古学ファンが鑑賞に訪れました=写真。(シンポジウムの詳細は6月7日付朝刊に掲載されました)

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