朝日21関西スクエア top
会報(最新号) 会報(バックナンバー) 会員・委員紹介 活動報告 行事予定 関西スクエアについて
TOP会報(バックナンバー)> 第110号 > 会員消息伝言板

バックナンバーmenu
チョン・インキョンの眼
新春エッセー
地球温暖化政策の
抜本的改革を!

会員消息伝言板

中之島から
  事務局から

ワークショップ
「3つの指令〔利他・負荷・傾聴〕」の試み

甲南女子大学教授の島田博司さんから

 近年、若者のコミュニケーション力の不足が大きな社会問題になっています。さまざまなことが二極化しつつありますが、コミュニケーション力にもその傾向がみられるのではないでしょうか。コミュニーション能力の高い人は生き生きと生きていますが、そうでない人はとても生きづらそうです。

 では、生き生きと生きている人は、どうしてそんなことができるようになったのでしょうか。彼らをみていて気づくことがあります。それは、「とりあえずやれることからやっている」ということです。それも、「やればできる」といった調子で、肩肘を張ってがんばっているといった感じではありません。これまでに「やるとできる」「やるとわかる」ことを体感してきているので、リラックスしながらも、いい意味での緊張感を保っている間に、いろんなことがどんどんできるようになるといった感じです。「自信があるからやっている」のではなく、「やりつつ、自信をつけている」様子がみてとれます。

 これをヒントに、「とりあえずやってみよう!」をキーコンセプトとして、学生に「3つの指令」をだし、各自で課題を自己設定して行動してもらいました。「3つの指令」とは、@人のためになることをする「利他指令」、A自分のキャパシティを少しこえる課題に挑戦する「負荷指令」、B相手の話に耳を傾ける「傾聴指令」、を指します。学生が選んだ課題は、車の座席を譲るといった「チョボラ」(ちょっとしたバランティア)や、毎日最低ひとつは人に親切にする、人の話を最後まで聞く、など。

 総じてみると、学生は自分なりの課題(目標)を把握し、最初の一歩を踏みだしさえすれば、どんどん変化(成長)していきました。とはいえ、難しいのはその「最初の一歩」を踏みだすことです。今回の指令は、いい意味で、その「きっかけ」となったようです。この試みの顛末を、『とりあえずやってみよう!―3つの指令〔利他・負荷・傾聴〕』(島田博司編、甲南女子大学教育研究ネットワーク叢書14)=写真=としてまとめました。興味のある方は、連絡いただければ幸いです。

丑年にちなみ新著『悟りの牛の見つけかた』を発刊
上方文化評論家の福井栄一さんから

 通算12冊目の著書にして、干支シリーズの第3弾である、新著『悟りの牛の見つけかた〜「十牛図」にみる関東と関西』=写真=が、技報堂出版から16日に発売されました。申すまでもなく、平成21年の干支である「丑(牛)」にちなんだ本です。B6判・上製本(角背)・88頁(40頁はカラー)。定価2,310円(税込み)。禅の世界には、『十牛図』という十枚一組の画が伝えられています。逃げた牛を追い求める牛飼いの姿を通して、人間が迷いから悟りへいたるまでの精神の十段階を象徴的にあらわしています。この『十牛図』の意味するところを、平易なことばでリズミカルに言いあらわしたのが、本書です。

 現代生活は、迷いや悩みごとに満ちています。みなさまがご自分の立つ位置を確認されたり、新しい一歩を踏み出したりされる際に、どうぞ本書をお役立て下さい。

 本書にはちょっとした仕掛けがあり、標準語編と大阪弁編との二つからなっています。標準語編では、天理大学附属天理図書館の十牛図(『五味禅』所収)を、大阪弁編では、オリジナルのイラストを、十牛図として収めています。標準語編は通常どおりの造本となっていますが、大阪弁編は、本をひっくり返して、裏表紙の方から開いて読み進めていただけます。東西の人生観や表現スタイルを比較しながら読み進めて頂くのも、一興です。さあ、悟りの旅へ出かけましょう。なお、福井栄一の「干支もの」は、『イノシシは転ばない』『大山鳴動してネズミ100匹』(いずれも技報堂出版)に続いて、今回で3冊目となります。

 技報堂出版(株)の問い合わせは
 電話:03-5217-0885 FAX:03-5217-0886
 URL:http://gihodobooks.jp/ ▲

行ってみたまちを「新しい文字文化」でクリエートする
(株)あんどシステム顧問の池田順一さんから

 行ってみたいまち大阪という広告を『Big Issue』創刊号に掲載したのは5年前です。当初から販売員の方が道案内をよく聞かれるので、私が担当していた梅田のエリアマップを数百部提供しました。親切に教えているとどうしても時間がかかります。地図でここといって渡せば済むことが多いのです。販売チャンスを失うことのないためにという理由で協力しました。その地図は毎年1万部印刷して、単価が約50円かかっていましたので、もっと単価を下げた案内ができないかいろいろな企画を考案しました。なかなか、実行にいたらないまま、時が過ぎました。

 でも、夢はまだ消えてはいませんでした。BasicでExcitingな夢は時間とともに深く潜行して成長するものです。5年を経由してその企画が最近復活しました。しかも、ステージを数段上げての夢に成長してのルネッサンスです。そのチャンスは「北区商業活性化協議会」に呼ばれて、キタの商業活性化に関するプレゼンテーションをするときにやってきました。「文字文化創造」による「キタキタお店お宝発信」プロジェクトです。簡単に紹介させていただきますと、「文字文化」というのは「フォント文化」のことです。あたらしい文字:案内文字や絵文字によってお店とお宝を発信するプロジェクトです。印刷文明の活字が写植機に取って代わり、データに主役が変遷する中で、文字フォントの成長を支えるビジネスを牽引しているのが大阪の企業です。この企業の鮮やかなビジネスモデルとの出会いは私には眼からうろこの落ちる出来事でした。それ以来、この夢がルネッサンスしています。「案内文字」や「絵文字」という新しい分野のフォントを使いよくすることが当面の目標です。さて、うまく展開できるかどうか、未熟な段階ですが、なんとか実現への確実なステップを踏み出したいと願っています。皆様のご支援bィ願いします。  ▲

『銀のみち一条』上下巻(新潮社・刊)を
上梓しました!

作家の玉岡かおるさんから
 

2年半かかりで雑誌「婦人之友」の百周年記念に連載した作品に、大幅加筆し、単行本(2巻組)=写真=として発表することができました。表紙も、話題作となった前作『お家さん』の装丁を手がけてくれた蓬田やすひろさんのオリジナル描きおろしです。 上巻が、川に沿う一本道にたたずむ女、ひとり。下巻は、東洋一と言われた大煙突を誇る鉱山の工場をみおろす男と女、二人の図。そう、今回は、逆風に耐えてこころの自立をさぐる女の迷い道、驀進する男の近代化という名の一本道、そして、女と男の、ともに寄り添いささえあって歩む登り道を、恋愛小説の味わいにくるんで描きました。またしても上下2巻組、1500枚の長編大作です。これで『天涯の船』『お家さん』、そして『銀のみち一条』と、玉岡かおるの“明治三部作”がそろい踏みです。

 銀山というと、近年、世界遺産になった島根県大田市の石見銀山がにわかに有名になりましたが、生野は日本最古、金鉱も含む日本最大の鉱脈を誇り、昭和48年まで操業していた山です。幕末には、維新の財源とすべく、この山で、天誅組と呼応した志士たちが生野義挙を起こしたように、長く日本の経済基盤を産み出す地として認識されてきました。当然、維新政府はこの銀山の近代化を最優先課題とし、フランスから鉱山技師を法外な代償を払って招いてきました。その後、銀山は明治天皇の御料所となり、やがて民間に払い下げられて、昭和の閉山まで三菱の経営下に置かれます。

 そんな鉱山の町に、生まれあわせた男と女。明治という、この国がいちばん純粋に前をめざして進もうとしていた時代、古い体制の中でみずからの進むべき道をさがして懸命にあがき、もがいて光をみいだしていった、そんないとおしいまでの人間の姿を描きました。

 ぜひぜひ前作と変わらぬ応援を、よろしくお願いします。

こんな話―正月の思い出
漫画家の河村立司さんから

 昭和ヒトケタ時代は、不況と享楽と軍国調がごっちゃまぜになっていた。

 私など子ども心にも、なんとなくそれを感じていた。隣の家へ大阪からやってくる娘さんは、土産に持って来たレコードをジャンジャンかけるので、「赤い灯 青い灯 道頓堀の川面にあつまる恋の灯・・・・・」なんて歌詞を自然におぼえてしまった。小学校高等科を出てすぐ大阪の大丸へ就職したKサンは、村に帰るたびに、キャバレーやカフェの話をしていた。女の子も、うっとりと聞いていた。

 そのころ集落の小さな丘には「青年倶楽部」の木の看板をかかげた木造の平屋建てがあり、十畳ほどの真ン中には囲炉裏もあった。

 婦人会の役をしていた母親の話では、若い男女の「歌垣」、自堕落防止、衛生思想の普及、読書会、在郷軍人の講話、料理の講習、台所改善などを目的に、明治か大正のはじめに、共有林の木を伐り、集落総出で建てたらしく、かなり古びていた。

 とっぷり暮れて、ドタン、バタンと音がする倶楽部を破れ窓から覗くと、青年団員が素人芝居の稽古をしたり、正月の注連飾りを作ったりしていた。ときおり、逢引きに活用する若者もいたそうだが、集落のひとたちはおおらかだった。ムラの平和の原点はそれらしい。

 正月休みのある晩、姉に連れられ(ガードマン役)倶楽部貸し切りの「歌加留多の会」に参加した。女学生、村会議員の娘、女子師範学校生、農家を継ぐ娘さん、村長の孫娘とかで、にぎやかに30人ほどが集っていた。

 私には、大阪から帰っていた隣組のお姉さんが「ハイ、お土産!」とくれた粟おこしとチョコレートがなによりもうれしかった。

 だが、ぷんぷんする晴れ着のナフタリンと、甘く、くすぐったいお化粧の匂いに、ぼーっと酔ってしまい、お姉さんたちのかるた合戦の弾んだ声を子守唄に、座布団の上で寝てしまったようだ。寝ぼけ顔で、逃げて帰ったようにも記憶しているが、生まれてはじめての「女の園のなまめかしさ」の洗礼だったのだろう。

 あくる朝、姉は、こんな事も言っていた。

 「あんたが寝とる間に、おいしいぜんざいも出たんよ。お人形のくじ引きもあったんよ」「あんたに勉強を教えてあげようかと言うひともいたんよ」

 だけど、山里育ちのガキには、やっぱり山や小川がよいと、そのとき思った。

活き活き、生きてこそ
京大病院小児科ボランティアグループ「にこにこトマト」事務局代表・コーディネーターの神田美子さんから

 「今年は、息子に女の子の可愛いドレスを着せるつもりなのよ」あるお母さんがクスッと笑った。「こんなチャンスでもなければ、また反抗期にでもなったら親は楽しませてもらえないものね」「あら、大きくなってから恨まれるわよ〜。しーらない!」と私たち。また、小学生の女の子が、「このドレスの後は、あれが着たいんだけど、そんなにたくさん着がえてもいい?」 「いいよ、記念写真をいっぱい撮ろうね」 「わーい!」

 これは、病院で10月に毎年行っている大規模なイベント、「ハロウィーン・ファンタジー」での付添いの家族や子どもと、私たちスタッフとの会話だ。このイベントは、100着近い着ぐるみや衣装の中から好みのものを身にまとい、夜空や草原の描かれた背景の前で写真におさまる、いわゆるコスチュームプレイだ。病棟は朝から熱気にあふれ、楽しいことが始まる予感に子どもたちはソワソワ、ワクワク。衣装の周りには人が集まり、病気以外の話で盛り上がる。撮った写真には笑顔笑顔。車いすや看護師の制服が写っていなければ、だれもこの舞台が病院だとは気付かないことだろう。
病院内でハロウィーンパレードに参加する入院中の子どもたち

 しかし、こんな明るくのんきな景色の裏には、入院にまつわる実に厳しい現実がある。京大病院には決して簡単でない病気の治療を受けに、全国ときには外国から子どもたちがやってくる。子どもの家族の肩には、入院する子のいのちの行方だけでなく、距離的な移動の負担、経済的な問題、残されたきょうだいや家族との摩擦、退院後の社会復帰(学習・人間関係・成長の遅れ…)に対しての不安などが重くのしかかる。そして、それらをサポートするシステムは社会にも病院の中にも絶対的に少なく、家族は孤独感とも闘うことになる。

 私は、京大病院小児科に娘が入院した経験から、1995年に、入院中の子どもと家族に「楽しく豊かな生活」を届けようと、「にこにこトマト(通称:にこトマ)」というボランティアグループを立ち上げた。現在70名のメンバーは、20ほどのグループに分かれて交代で病院に通い、自分の特技を生かす。だから病棟では1か月に約20種類のお楽しみの時間があり、月に70〜80名が常に出入りしているので、子どもたちやその家族、また医療スタッフに、活動は生活の一部だと評されている。私たちは、病棟では「にこトマさん」と呼ばれ、病院の外(社会)から吹いてくる風として、自然に受け入れられているようだ。

 入院生活は誰にとっても治療の苦痛を伴い、決して楽でも愉快でもない。しかし、子どもたちの前向きな姿勢はどうだろう。「遊びをせんとや生まれけむ。戯れせんとや生まれけん(梁塵秘抄)」と昔の人も言ったように、子どもたちは遊ぶためには、痛くても、熱があっても、ストレッチャーに乗ってでも、車いすでも、這ってでもプレイルームに来ようとするのだ。私は、このような姿を見て、遊ぶことと生きることは子どもには同じ意味だと実感している。

 子どもと大人の入院の決定的な違いは、子どもたちが成長過程にある点だ。大人が造った無機質で無刺激な病院という器の中では、成長は阻害されるといっても過言ではない。そのような空間で長期間を過ごせば、日々成長している入院していない子どもとの溝は深まり、社会復帰は一段と難しくなる。入院体験が次の難題を引き起こすのだ。また、万が一の事態に至れば、子どもは辛い・痛いことに埋め尽くされた一生を終えることになりかねない。

 あるとき、ターミナル期(と後で知った)の子どもが父親に抱かれてプレイルームやってきた。座っている力もなく、ずっと膝枕でコンサートに参加した。見ているこちらが辛くなるような様子だったが、ふと見ると、子どもの足が歌に合わせてリズムを刻んでいる!限界を超えるほどのからだの状態にもかかわらず、きっとその子の心には笑顔があふれていたに違いない。

 入院中の子どもも遊びたい。それは現実だ。病院という閉ざされた世界にいる子どもの気持ちを叶えたい。これは大人の自然な思いだ。病気は治せなくても、病院の中に子どもと大人の双方が活き活きできる場はたしかに築けるのだ。いのちは今という瞬間に「活」き「活」きと輝き、子どもは子どもらしく「生」きる。それを私は「生活」と呼びたい。

映画評論本、寄贈希望校募集!
弁護士で映画評論家の坂和章平さんから

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

 2009年の1月26日に私は満60歳になり還暦を迎えます。そして私の映画評論本『SHOW-HEYシネマルーム』は、2月に『パート20』が出版されます。

 昨年は中国語による映画評論+旅行記出版の準備作業やテレビ出演(『スカパー!』のプロモーションチャンネルで10/31から11/27まで放送された『祭りTV!吉永小百合祭り』に俳優の浜田光夫さんとともにゲスト出演し、吉永小百合さんの出演映画やその魅力について熱く語りました)など未知の扉も開き、これからますます楽しみです。弁護士としても映画評論家としても、気持ちをあらたに頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致します。

 さて私は、映画は娯楽というだけではなく、人生、歴史、法律などさまざまなことを楽しみながら学ぶことができる教材であると考えているため、大学や各団体での講義・講演などでも映画ネタを活用し、広く好奇心をもつことや自分の頭で考えることの重要性などを訴えています。そして私としては、学生や社会人一年生らをはじめとしてさまざまな年代の人に私の著書を読んでいただき、学ぶことや考えることの楽しさを知ってもらいたいと考えています。そこで還暦を迎える今、学校や企業、公共施設等でこんな私の考え方に賛同し、活用していただけるのであれば、既刊の『シネマルーム』1〜20を寄贈したいと考えています。この記事をご覧になって寄贈を希望される施設や前向きに検討をしたいという施設がございましたら、当職の事務所まで簡単にどのような活用を考えられているかを記入いただき電話・FAX・メールで御連絡下さい。なお、購入申込みはいつでも大歓迎ですので、購入の方もよろしくお願い致します。

 坂和総合法律事務所
 TEL06(6364)5871、 FAX 06(6364)5820
 メール office@sakawa-lawoffice.gr.jp ▲

中国・桃源郷で深呼吸!
雲南省・シャングリラ、麗江で悠久の歴史と自然に包まれる

(財)大阪21世紀協会チーフプロデューサーの高橋(村上)英子さんから

 数々の感動を呼んだ北京五輪。あの開閉会式の演出で世界の注目を浴びたチャン・イーモウ監督がプロデュースする大スペクタクルショーが、高倉健主演映画「単騎、千里を走る」の舞台になった、雲南省・麗江で繰り広げられている。玉龍雪山を背景に、山肌を舞台にした野外会場で500人の少数民族と100頭もの馬が繰り広げるショーを見に、世界遺産の古都・麗江に飛んだ。

 圧巻! 圧倒! しばし絶句。抜けるような青空。と思いきや、山の天気は一変して、豪雨。自然の成すがままに、目の前でくり広げられるスぺクタクルショー。何なんだぁ!テレビ画面にくぎづけで、北京五輪の開会式をわくわく見続けた興奮が蘇る。

 ヒマラヤ山脈の東の尾根に繋がる玉龍雪山。南北約35km、東西20kmの雪山を背景にした大型実景会場。10の少数民族出身500人もの役者が歌い、踊る。100頭の馬も会場の山肌の道を駈ける。ナシ族の歴史を中心に小数民族の願いや、悲恋を物語り仕立てで歌い上げる1時間30分。玉龍雪山を人馬が疾走するかのような錯覚。大型スクリーンには、シーンごとにあらすじが映しだされる。が、もちろん中国語はわからない。が、十分に楽しめる。観客もほとんどが、中国人だ。愉快な場面では、大いに笑い、野次を飛ばし、拍手し、大会場の一体感。チャン・イーモウ監督によるこの手の実景ショーは、「印象・麗江」「印象・劉三姐」「印象・西湖」と中国全土3カ所でおこなわれているとのことだ。うーん全部まわりたい。
玉龍雪山(標高5596m)をバックに繰り広げられる「印象・麗江」。雲南省の少数民族約500人、馬100頭が参加するチャン・イーモウ監督による大スペクタルショー
 

 そもそも今回の旅は、世界遺産・麗江を訪れ、南のシルクロード・茶の道の中継地点であるシャングリラにも足を伸ばし、世界的スパリゾートのバンヤンツリーに宿泊するという欲張った中国満喫の旅であった。が、乗り継ぎの昆明空港で合流したガイド青年が、どこかで見たことのあるイケメン?「健さんの映画で日本語ガイド役で出演しました。喬です」。自己紹介の瞬間から、麗江ロケ地めぐり散策が加わったという次第。

 2006年に公開された日中合作映画「千里走単騎」(単騎、千里を走る)は、チャン・イーモウ監督が敬愛してやまない健さんを主演に据えた作品だ。この冒頭で日本語ガイド役で出演している喬國恩(キョウ・コクオン)さん。なんと元ハルピンの歌手という経歴を持つ。ハルピンでは日本語を話す中国人が多く、ガイドの仕事にあぶれ、雲南省まで来たという。喬さんの案内で水路が張り巡らされた旧市街のみやげ物屋や世界唯一といわれる象形文字・トンパ文字のはんこやさんなどをめぐり、少数民族手作りの刺繍の雑貨や小物をダース買い。こんなに安くていいのかしらと思いつつ「この人形20個買うたらいくら負けてくれる?」と大阪弁で値切っている。「この橋のこの位置に健さんは立ちました」というスポットが目白押しだ。
シャングリラ・ブルーの青空の下で、ヤクと記念撮影。
飼育人の独唱付きで10元(約150円)
 

 1997年に世界文化遺産に認定された、麗江の街づくりは、800年ほど前の宋の時代までさかのぼる。旧市街は、石畳の路地が入り組み、青の民族衣装を着たナシ族の女性たちに出くわす。住人らは、「三眠井」という段差のある共同井戸で、野菜を洗ったり洗濯をしたり、自然の恵みの水を余すところなく使いきっている。旧市街の高台から、麗江の街を眺める。甍の波うつ黒い瓦屋根が隙間なく広がる。この光景も圧巻。中国の底力をこれでもか、これでもかと目の当たりにする。

ちなみのこの旅に同行した男性のうち1人が高山病で、旅の後半から調子を崩し、トウモロコシしか口にしなかった。旅の間、彼をトウモロコシ王子と呼び、ガイドの喬さんをハルピン王子と勝手に呼び続けた。

 ひときわ高級感漂うリゾートホテル・バンヤンツリーが2006年に中国南西部のチベット近く海抜2400mの古都・麗江に進出した当時、5つ星以上と注目を浴びたそうだ。古代中国の叙事詩を思わせる山々を眺め、プライベート・ビラでくつろぐ至福の時。ほんま、1人で泊まるのは、もったいないほどのスペース(贅沢に慣れていないせいで、にわかセレブ気分も身につかず)、マイジャグジー(小さいプールだ)につかり、満天の星空を仰ぎながら、「えーわぁ」とどれだけつぶやいたことか。標高が高いので空が近い。夜は天の川が見えた。シャングリラでの2泊は、チベット様式の2階建てビラ。漆黒の闇のなかで、静寂の時を過ごした。昼間は空の色はシャングリラ・ブルー。絵はがきのような澄み切ったクリアな青い空に真っ白な雲がぽっかり。鮮やかなコントラストだ。大草原に大の字に寝転んでみる。

 「ここが、桃源郷かぁ。ユーミンのシャングリラしか知らんかったけど、これが、ほんまのシャングリラなんや」

 我53歳の秋にして、桃源郷を知るかぁ。

『おんなの浮気』韓国語版が出ました
大阪府立大学教授の堀江珠喜さんから
 

 2006年にちくま新書=写真左=で出版した『おんなの浮気』の韓国語版=写真右=が出ました。以前、やはり拙著『男はなぜ悪女にひかれるのか』(平凡社新書)の韓国語版が出たときもそうでしたが、「新書」の制服を脱いで、多少セクシーな表紙をつけられ、まったく雰囲気が変わり、面白がっております。両者の写真を添えますので、どうぞ比べてみてくださいませ。

 この女性は赤いハイヒールを履いています。この本が手元に届く直前、つまりまだ表紙を知る前に、私、ニューヨークの宝石店で、ほぼこれと同じ大きさの、赤いハイヒールのペンダント・トップを見つけ、「これぞ、私のシンボル!」と、すぐに買い求めました。嬉しい偶然の一致です。

 韓国のデザイナーは、私の好みを全く知らないのに、本の内容から判断して描いてくれたのでしょう。

 さて、『おんなの浮気』の続編というわけではないのですが、2009年中には、新潮新書で『浮気された男たち』(仮題)を出す予定です。無事に出ましたら、また報告させていただきます。

楽しくにぎやかに「ピンホール写真講座」を開催
ピンホール写真芸術学会事務局の合津文雄さんから

 ピンホール写真芸術学会(PPAS)は11月9日、京都市内の京都芸術センターでピンホール写真のワークショップを開催しました。会場は廃校となった小学校をリサイクルした施設で、床、階段、窓枠は木造。当日は朝から雨がぱらつく、あいにくの天気でしたが、一般の方12人が参加されました。今まで写真にはまったく関わりがなかったのですが、ちょっと面白そうだからと覗いてみた人や、写真の仕事を始めたばかりという人、京都在住の外国人留学生などが集まりました。

 第一部では講師の鈴鹿芳康(PPAS会長、京都造形芸術大学教授)からの趣旨説明に続いて、いきなり作業開始。カメラを体験するために参加者全員で会場の部屋の窓を塞いで暗い部屋を作りました。照明を消してみると、まだまだ、光が差し込みます。そこを塞いで、またチェック。なんとか暗くなりました。

 そこで、講師から写真の原理についてひとくさり、フーンそんなもんですか…。では、カメラを体験してみましょう。照明を切って暗黒に耐えます。だいぶ目が慣れてきたところでガラス窓に取り付けた直径5mmのピンホールを開けると、教室の中につるしたスクリーンに何か映っているのが見えてきます。オー、これはなんだ?ちょっと暗くてわかりにくい。今度は、直径12mmのピンホールを開けるとしっかり見えます。ちょっとぼけているけど教室の外の廊下とその先の中庭が上下逆転して映っています。オーオー。一同感心しきり。続いて直径95mmのレンズに替えると、こんどは明るくはっきりした像が映りました。アシスタントが廊下を行き来すると、逆さまに歩いている様子が見えます。オー。
講師(右から2人目)の説明を聞くピンホール写真講座の受講生ら

 暗闇のなかで、写真の原理についての講義の続きが展開されます。レンズの焦点距離は1200mmで、スクリーンを前後するとピントがあったりぼけたりします。これはピンホールにはない現象です。カメラを体験しながらの講義に一同納得。

 照明をつけて、大型カメラを使った講義を続けます。外へ出て、インスタントフィルムを使って、その場で映像を見ながら、学びました。レンズをつけて被写界深度の勉強。

 続いて、ピンホールでの撮影、少し明るくなってきた外でもピンホールでの撮影は一枚に20分以上かかります。講義を聴きながら、時間を待ちます。出来上がりにはみんな興味津々です。相反不規という現象で、プリントは青っぽくなっていますが、動かないものははっきりと、動いていたモデル役はぼやーっと写っています。

 午後からは第二部。まず暗い部屋の解除です。暗幕と遮光紙をはずします。つづいて、スクリーンを延ばして、液晶プロジェクターを設置します。デジタルカメラを三脚にセットして、ビデオ出力ケーブルをつなぎます。教室の後ろの方には、プリント用のPCとプリンターがスタンバイ。これで、準備完了。

 ピンホールカメラの基本について講師から講義。午前中の実習を思い起こしながらカメラオブスキュラの話を聞きます。

 続いて、道具が配布され、ピンホールを作って、それをデジタルカメラにつけて撮影する手順の説明を聞きます。材料はみんなが持ってきたアルミ缶です(スチールのお菓子箱を持ってきた人は誰ですか?これをナイフで切るのは大変)。カッターナイフを使って、アルミ板を切り出し、ハサミで大きさを整え、針を立てて孔を開け、サンド・ペーパーでバリを取る。ワイワイ、キャッキャと作業が続きます。できた人から、順番にデジタル・カメラに簡易アダプターで装着してもらって、撮影です。自分がつくったピンホールで、教室の仮設スタジオで5秒から20秒の撮影です。シャッタースピードは尋常じゃないけど、その場で、スクリーンに結果が映し出されます。ウーン、オー、キャー、教室は喚声、歓声?に包まれました。

 理論計算によれば、直径0.3mmが最適なのですが、実際作っていろいろやってみるに限ります。だいたい、肉眼では直径はわかりません。大きすぎても、ゆがんでも、面白い写り方をするし、小さすぎると、露光時間が長くなって、人はほとんど写らなかったりします。どういうわけか、人によって特別な色がつくことがあります。フィルターが付いているわけではないのにどうしたことでしょう。ピンホールをいくつもあけて幽玄な映像を作った人もいます。ピンホールに液体をたらしてみた人もいます。ここから後は、理論というより、感性がより大切な世界のようです。

 しっかり丁寧に作る人、新しいことをいろいろやってみる人、友達と一緒にポーズを決めて写す人。みんな、思い思いの工夫を重ねて、つぎつぎやってみる。楽しい時間はあっという間に過ぎました。撮影されたものはまとめてプリンターでプリントしました。12人の参加者でプリントはなんと87枚。みんな、工夫を凝らしたひと時でした。

「紙の本のゆくえ」
テーマに講演&トークセッション

夙川学院短期大学准教授の湯浅俊彦さんから

 日本の出版業界では1996年をピークに出版物の販売金額が減少を続け、危機的な状況に見舞われています。新古書店と呼ばれる新刊本を中心に扱うリサイクル型の書店、まんが喫茶/インターネットカフェ、あるいはインターネットで本を販売するオンライン書店における「中古本の出品サイト」の出現といった流通ルートの多様化だけでなく、インターネットによるコンテンツ流通がもたらす出版メディアの相対的な地位の低下が指摘されているのです。

 そのような状況のなか、「出版コンテンツのデジタル化」をめぐる話題が近年急速に増えてきています。たとえば毎日新聞社と全国学校図書館協議会の「第54回学校読書調査」(2008年6月調査)によると、「ケータイ小説」を実際に読んだ媒体について、「携帯電話」が小学生5%、中学生8%、高校生33%、「出版された本」が小学生10%、中学生28%、高校生13%、と高校生になると携帯電話で読む人の方が多いという現象が起こっていることが分かります。

 一方、2007年11月に日本の公共図書館で初めて、東京・千代田区立千代田図書館が電子書籍の貸出サービスを開始し、同じく11月に紀伊国屋書店が提供する大学図書館向け電子図書サービス「NetLibrary」に和書コンテンツが本格的に搭載されました。

 このような読書をめぐる環境の変化は、出版コンテンツのデジタル化とネットワーク化というキーワードであらわすことが可能かと思われます。

 そこで、このような時代状況において文学とはなにか、文学作品の流通・利用・保存とはなにかという論点と、従来、紙の資料を中心に収集・整理・提供・保存を担ってきた図書館の役割とはなにかという論点を同時に考える講演とトークセッションを企画しました。

 電子書籍における著作者の権利、貸出しの問題、長期保存の課題など多岐にわたる話題が提供され、討論が展開されます。

 文学者、図書館関係者、学校関係者はもとより、メディア関係者や本が好きな多くの人たちに参加を呼びかけます。

 どうぞお気軽にお越しいただき、これからの紙の本のゆくえについて考える時間をゲストのみなさんと共有していただければ幸いです。

<日本ペンクラブ・追手門学院共催セミナー>
講演&トークセッション「紙の本のゆくえ〜文学と図書館の新しい挑戦」

第1部 講演
「ネット社会と文芸著作権」(三田誠広・作家、日本ペンクラブ・言論表現委員会委員)
「ディジタル時代の図書館の役割」(長尾真・国立国会図書館長)

第2部 討論
「紙の本のゆくえ〜文学と図書館に何が起こっているのか」

パネリスト:三田誠広、長尾 真、永吉雅夫(追手門学院大学・国際教養学部長)、中西秀彦(中西印刷専務取締役、日本ペンクラブ・言論表現委員会委員)
司会:湯浅俊彦(夙川学院短期大学、日本ペンクラブ・言論表現委員会副委員長)
主催:社団法人日本ペンクラブ、学校法人追手門学院
日時:2009年1月24日(土)13:30開場、14:00開演17:00終了
会場:追手門学院大阪城スクエア(定員400名)
〒540-0008 大阪市中央区大手前1-3-20(追手門学院 大手前中・高等学校本館6階)
TEL 06-6942-2788 FAX 06-6942-2744  
アクセス:京阪電車「天満橋」駅下車 東出口14番より東へ徒歩7分。大阪市営地下鉄谷町線「天満橋」駅下車 1号出口より東へ徒歩7分。
http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html
参加費:500円(当日受付で徴収します)
申し込み方法:FAX、またはホームページ。
FAXの場合:申込書に必要事項(氏名、性別、職業・所属、住所、電話番号、FAX番号、メールアドレス)を記入して、FAX番号(06-6942-2744)までお送りください。申し込みは、お一人様1枚。
ホームページの場合:当セミナー案内からリンクしている「申し込みフォーム」で。学校法人追手門学院大手前センター http://www.otemon-osakajo.jp 
 お申し込みいただいた方へは、追って聴講票をFAXまたはメールでお送りします。会場の都合により、ご参加いただけない場合は、その旨連絡します。
 問い合わせ先:学校法人追手門学院大手前センター  
 TEL 06-6942-2788

オバマ氏の人を惹きつけることば戦略
立命館大学教授の東照二さんから

 その日(2008年11月4日)は、肌寒い雨の降る日でしたが、私が滞在しているユタ州ソルトレーク市は、得体の知れない熱気につつまれていました。夜9時を過ぎて、その熱気の源が何であったか、はっきりとわかりました。アメリカの歴史始まって以来、初の黒人大統領が誕生した歴史的瞬間です。興奮、喚起、涙、歓声…オバマ候補当選を伝えるCNNは、しばらく無言で、全米各地の様子を映しています。あらかじめ予想されていた選挙結果とはいえ、現実になってみると、あまりの事の重大さに、正に、声をなくしたCNNでした。そして、その後、20万人の聴衆の前で行われたオバマ次期大統領の勝利演説。日本でも、きっと感銘を受けた人も多かったのではないでしょうか。

 オバマ氏当選の背景として、インターネットの活用、選挙戦術の巧妙さなど、いろいろ指摘されていますが、やはり何といっても決め手は、オバマ氏の「言語力」でしょう。一言でいうと、従来のプロの政治家のことばから、YES WE CAN に代表される一般国民を巻き込むことばへの、新鮮で大胆な変換(スイッチ)にあったといえるのはないでしょうか。

 そこで、このことばのスイッチということに注目して、日本のテレビ、新聞、文学、映画、宣伝、日記、政治家…、(そしてもちろんオバマ氏の演説)などを題材にして、「言語力」とは何か、私なりに調べて、本にまとめてみました(『人を惹きつける「ことば戦略」:ことばのスイッチを切り替えろ!』研究社)。そこで、会員のみなさんに聞いてみたいのですが、日本でも、そのうち、10万人の聴衆を集め、魅了するような演説をする首相が出てくるのでしょうか?さー、どうでしょう?  ▲

お願い

会報への原稿は随時、受け付けています。
次号に掲載を希望される場合は20日までにお寄せください。
ただし、紙面の都合で掲載できない場合は
その次の号に回すこともございますので、ご了承ください。

Copyright 1998-2009 AsahiKansaiSquare21 All rights reserved.                上へ▲