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2007年10月31日


ケン:テロ対策特別措置法(テロ特措法)ってよく聞くよ。
金子記者:暴力で政治上の考えをおし通そうとすることをテロという。テロを起こそうするテロリストに、お金や武器がわたるのを防ごうと、インド洋でいろんな国の軍艦が見張っているんだ。
ジャン:日本も関係あるの?
金子記者:日本の海上自衛隊の船も参加し、外国の軍艦に燃料や水を配っている。テロ特措法は、その活動をするための法律。11月1日に期限が切れるので、どうするかが問題になっているんだよ。
●自衛隊が軍艦へ補給活動をするための法律
◆新法案で活動を続けたい与党 「貧困対策優先すべき」と野党
ポン:インド洋で見張っているのは、いつから?
金子記者:2001年9月にアメリカで起きた同時多発テロ事件がきっかけだ。テロリストが民間の飛行機を乗っ取って、ニューヨークの世界貿易センタービルなどにぶつけた事件。3000人近い人が巻きこまれて亡くなった。それで、アメリカなどが、犯人のテロリストの集団が活動していたアフガニスタンを攻撃したんだ。
ケン:どうして日本も手伝ってるの?
金子記者:世界の多くの人が事件におこったし、事件で亡くなった日本人もいた。それで、日本も「テロとの戦い」に参加しようと考えた。
でも、日本は憲法で、戦争はしないと決めている。外国の軍艦に燃料や水を配ることなら、戦争に参加することにはならないと、自衛隊を派遣するための法律を作って「補給艦」などをインド洋に送ったんだ。その法律が11月1日で期限切れになるんだよ。
ジャン:それで、どうするの?
金子記者:中断する活動を改めて続けるには、新しい法律を作らないといけない。政府はそれで「補給支援特別措置法」という新法案を国会に提出したんだ。国会では、新法を成立させたい与党(政権をとっている自民党と公明党)と、新法に反対する野党(政権をとっていない党)が対立している。
ケン:なぜ野党は反対なの?
金子記者:例えば、野党の民主党は「アメリカなどのアフガニスタン攻撃は、国連がはっきりと認めた行動じゃないし、テロを減らすのにも役立っていない。だから、軍艦に燃料をわたすべきじゃない」と言っている。その代わりに「テロが起きる原因の一つは貧困だから、アフガニスタンの人が食べ物に困らないようにするなど、生活に役立つことをした方がいい」とうったえているんだ。
ジャン:野党が反対すると?
金子記者:夏の参議院(参院)選挙で民主党が議席を大幅に増やし、参院では野党が過半数を占めた。野党が反対していると、参院で法案が否決される。その場合は、もう一度衆議院(衆院)で採決し、3分の2以上の賛成があれば成立する。衆院では与党が3分の2をこえているから、理屈の上では野党が反対しても成立させることはできるんだ。でも、実際には簡単じゃない。
ポン:どうして?
金子記者:参院で否決された法案を成立させると、野党が「福田康夫首相のやり方は問題だ」とおこり、首相の責任を問う「問責決議」が参院で可決されるかもしれない。すると、野党は「そんな政府が出した法案の審議に応じる必要はない」と言い、国会が動かなくなる心配もある。
◆審議以前の問題もいろいろ 成立には国民の支持が必要
ジャン:大変そうだね。これから、新法はどうなるの?
金子記者:難しい質問だな。実は審議以前にもいろいろな問題があるんだ。
日本の船が燃料を提供した軍艦が、見張りじゃなくて、イラクと戦っていたんじゃないかという疑いが出てきた。また、防衛省の官僚(役人)のトップである事務次官だった人が、企業からゴルフや食事の接待を受けていた問題も出てきた。
ケン:新法の審議どころじゃないってことか。
金子記者:多くの国民が「燃料の提供を続けてほしい」と考えるようになれば、野党の反対をおし切って成立させるかもしれない。でも、国民の支持がなければ強行は難しい。
だからこの国会では採決せず、来年に先送りしようというアイデアも出ているよ。
●きょうのポイント
▽2001年の同時多発テロをきっかけに、テロリストにお金や武器がわたらないよう、インド洋でいろんな国の軍艦が見張るようになった。日本の海上自衛隊の船は、軍艦に燃料や水を配る活動をしている。
▽自衛隊のこの活動を決めているのが、テロ対策特別措置法。11月1日に期限が切れるため、政府は補給支援特別措置法という新しい法案を提出している。
▽野党は、活動はテロを減らすのに役立っていない、貧困対策の方が大事などと、新法案に反対。参議院で野党が過半数を占める今、与党の強行採決は簡単ではない。
金子桂一記者(朝日新聞政治グループ)
提供:朝日学生新聞社