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パキスタンで何が起こったの?

2008年01月16日

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ブット元首相の地元では、暗殺から3日たった2007年12月30日も、多くの人がブット氏のカレンダーを買っていました=パキスタン南部のカラチで
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ジャン:パキスタンで年末にだれかが暗殺されたって聞いたわ。

貝瀬記者:ベナジル・ブット元首相のことだね。車から支持者に手をふっていたときに、だれかが銃をうち、爆弾も爆発させたんだ。

ポン:だれがそんなことをしたの?

貝瀬記者:パキスタン政府は「イスラム過激派の犯行」といっているけど、ブット氏の支持者は政府が関係していたのではと疑っている。まだ本当のことは分かっていないんだ。

ケン:何だか複雑な事情があるみたい。背景をもっと知りたいな。

●選挙活動中にブット元首相が暗殺され政情不安に

◆再び首相を目指した矢先に ムシャラフ大統領とは対立

貝瀬記者:パキスタンの大きな野党(政権をとっていない政党)の指導者だったブット氏は、今月8日に予定されていた総選挙の運動をしていたんだ。たくさん議席がとれれば、首相に返り咲くことも可能とみられていた。

ジャン:それをじゃましたい人たちがいたんだね。

貝瀬記者:ブット氏は、アメリカと関係がよく、イスラム過激派(イスラム教徒のうち、過激な方法で自分たちの考えを実現しようとする人たち)のテロを批判していた。だから、アメリカを敵とみる過激派によく思われていなかった。

 でも、政府に犯人と名指しされた過激派は犯行を否定している。ブット氏の支持者らは、軍や政府の情報機関がやったとうったえているんだ。

ポン:何で政府がそんなことを。

貝瀬記者:「選挙で野党が勝ったら、ムシャラフ大統領の権力がおびやかされるから」というのが野党側の言い分だ。こんな疑いが出るのも、激しい権力争いの歴史があるからだ。

 この国では、武力で政権をくつがえす軍事クーデターがくり返されてきた。1977年のクーデター後には、首相だったズルフィカル・アリ・ブット氏が処刑された。この人は、暗殺されたブット氏のお父さんだよ。

ケン:親も殺されていたなんて。

貝瀬記者:父の政党を継いだブット氏は88年の選挙で勝ち、女性の社会進出が進んでいないイスラム圏で、初の女性首相になった。93年の選挙で2度目の政権についたが、汚職の疑いで当時の大統領に解任され、イギリスなどで事実上の亡命生活をしていた。

ポン:ムシャラフ大統領はどんな人?

貝瀬記者:ムシャラフ氏は九九年に陸軍参謀長としてクーデターを起こし、当時の首相や大統領を追放。2001年に大統領になり、去年10月に参謀長兼務のまま再び大統領になろうとして、国内外から厳しい批判を浴びた。

◆核を持ちテロとも最前線の国 2月に延期された選挙に注目

ジャン:ブット氏はどう思ってたの?

貝瀬記者:ムシャラフ氏を「軍事独裁者」と批判し、参謀長をやめるよう求めた。でもその一方で、総選挙後にはおたがい協力していくことを考え、話し合いも続けていたんだ。

ポン:何で?

貝瀬記者:2人は対立していたけれど、アメリカとは仲良く過激派には反対、という立場では一致している。これに目をつけたアメリカが、協力を強く働きかけたらしい。この点でゆずってでも、政治の表舞台に復帰したいとの思いが、ブット氏にはあったようだ。実際、去年10月に八年ぶりの帰国を許された。

ケン:でも、結局はうまくいかなかったんだよね。

貝瀬記者:ムシャラフ氏が11月に、反対派のおさえこみのために非常事態を宣言するなど、強い態度をとったため、ブット氏は再び対決姿勢になった。ブット氏の党は、総選挙で与党をおびやかす存在になっていたんだ。

ジャン:世界も動きを注目しているらしいけど。

貝瀬記者:何といっても、パキスタンは核兵器を持っているからね。政治が混乱すれば、核が過激派の手にわたる危険もある。

 それにとなりの国は、テロを起こす人がひそんでいるといわれるアフガニスタンだ。「テロとのたたかい」の最前線として、アメリカはパキスタンに、自分たちと親しく安定した政権をつくろうと必死なんだ。

ポン:これからどうなるのかな。

貝瀬記者:注目は2月18日に延期された総選挙だ。選挙戦でまたテロが起きたりすれば、混乱はより大きくなる。選挙が無事に行われても、不安定な状況が収まるかどうかはまだわからないけどね。

●パキスタンはこんな国

●面積 79万6000平方キロメートル(日本の約2倍)

●人口 1億5680万人(2006/07年)

●首都 イスラマバード

●識字率(字の読み書きができる人の割合) 54%(05/06年)

●宗教 イスラム教(国教)

●産業・経済 農業と綿工業が産業の中心。最近、経済はよくなっているが、物価の上がる率や貧困率の改善はまだ課題

●日本との関係 日本は主要援助国の1つ。貿易では、綿糸や繊維製品、石油製品、革製品などを輸入し、日本からは自動車やその部品、機械、金属品などを輸出している

(外務省のウェブサイトを参考にしました)

●きょうのポイント

 ▽パキスタンで2007年12月27日、選挙活動中のベナジル・ブット元首相が暗殺された。ブット氏は1988年、イスラム圏で初の女性首相になった人。

 ▽ムシャラフ大統領は07年10月、参謀長のまま再び大統領になろうとして批判を浴びた。ブット氏は大統領を批判しながら、一部で協力する交渉をしていたが、うまくいかなかった。

 ▽核を持っている国、「テロとのたたかい」の最前線として、パキスタンの情勢が注目される。まずは2月に延期された総選挙の結果がどうなるか。

記者:貝瀬秋彦(朝日新聞外交・国際グループ)

提供:朝日学生新聞社

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