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2008年03月05日

ケン:植物園が協力して、絶滅のおそれのある植物を守っていくんだって?
米山記者:そう、ちょっと難しい名前だけど、「植物種多様性保全拠点園ネットワーク」というのをつくって活動を本格化させているんだ。
ジャン:どうして始めたのかしら。
米山記者:日本植物園協会というところでは「絶滅危惧種(絶滅のおそれがある種)の50%を2012年度までに国内の植物園で守る」という目標を立てている。国際的な約束からも、各国がこうした取り組みを進める必要が出ているんだよ。
●絶滅危惧種約2000種を協力して守る活動始まる
◆地域・分野ごと、のべ39の拠点 研究や情報をデータベース化
ケン:絶滅の恐れのある植物って、どのくらいあるの?
米山記者:環境省は07年に発表したリストで、今あるいは将来に絶滅のおそれのある種を1945種とした。国内では約7000種の植物が知られているから、全体の約4分の1に、絶滅の可能性があるというわけだ。
森林が切り開かれたり、湿地が開発されたり、生命力の強い外来種との競争に敗れたり、シカによる食害など、いろいろな理由で減ってきている。
ポン:例えばどんな植物があぶないの?
米山記者:北海道の礼文島だけにあるレブンアツモリソウ、九州の草原で育つハナシノブなどは有名だね。とてもきれいなので栽培を目的に勝手に持ち去る人が後を絶たず、数が減ったようだ。
身近にあった植物にも開発工事などで危機がせまり、秋の七草に数えられるキキョウやフジバカマ、そのほかサクラソウ、タチバナ、カキツバタといったものも減ってきている。
ジャン:ネットワークではどんなことをするの。
米山記者:北は北海道から南は沖縄まで、各地で保全(守り保っていくこと)の中心となる植物園二十か所を決めた。また、水生植物とか薬草とか、あつかいに慣れた植物に力を入れる園も十九か所(一部は重複)。これらの園を中心に、全体で目標を実現することにした。
各園が持つ絶滅危惧種は、すでに約八百種にのぼっている。これからは栽培の難しい植物の保全にも挑戦しなければならないが、努力すれば目標に届く状況にあるといえる。
ポン:そのほかは。
米山記者:植物をうまく育てるための研究もするし、冷蔵庫を使った種子の保存や、情報をみんなで使えるようにするデータベース化なども協力して進めるそうだ。植物をもともとの生息地で守ることも重要なので、そんな取り組みもしていくようだよ。
◆多様な生き物が生活を豊かに 可能性秘めた動植物を大切に
ジャン:似たようなことを動物園でもしてるって聞いたことがあるわ。
米山記者:そう、野生の個体が減っているゴリラやトラなどを対象に、繁殖に適した動物を貸し借りして子どもを増やしている。国内にすむ数の少ない野生動物でも、ツシマヤマネコなどを動物園で増やそうとしているよ。
ポン:植物園ではなかったの?
米山記者:小笠原諸島の希少種を増やしてきた東京大学付属植物園など、植物でも個別の活動はあったのだけれど、動物に比べると目立たなかったようだ。植物園の国際的な組織から「日本の植物園もがんばって」といわれたこともあり、活動に力を入れることになったんだ。
ケン:なぜ、絶滅のおそれのある種を守るんだろう?
米山記者:地球の環境は、さまざまな生きものがいて成り立っているよね。いろいろな動植物は、わたしたちの食料になったり、生活に欠かせない服や住宅の材料になったりしている。今はまだ役に立っていないと思われる生きものも、将来どんな力を発揮するかはわからないから、あらゆる生きものを守ることはとても大切なんだ。
ケン:そうか。
米山記者:生物多様性という言葉を知っているかな。長い歴史のうえに現在、地球上に3000万種ともいわれる生きものとそれらがつくるつながりがあり、そこにさまざまなちがいが見られることを指す。
生物多様性が守られていることで、わたしたちの生活は豊かになり、お花見など国や地域に独特の文化も育まれている。だから世界の国々は、条約という約束を結んで生物多様性を守っていこうとしている。絶滅危惧種を守ることは、そうした条約の中でも求められている大切な仕事なんだよ。
●きょうのポイント
▽国内の植物園が、絶滅危惧(きぐ)種を守る活動を本格化させる。地域や得意分野ごとに中心となる園を決め、数を増やしたり、種子の保存などを進める。
▽日本にある植物は、全体で約7000種といわれる。絶滅のおそれのあるものは2000種近く、約4分の1を占める。
▽生きものは、人の役に立つ可能性をひめている。また、いろいろな生きものがいることは、人間の生活を豊かにしてくれる。だから、今あるあらゆる種を守っていくことは人間の大切なつとめ。
記者:米山正寛(朝日新聞科学グループ)
提供:朝日学生新聞社