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2008年03月26日
ジャン:最近、子どもが虐待されて死亡したというニュースを聞いたよ。
ケン:虐待って何のこと?
高橋記者:親が子どもに暴力をふるったり、世話をしなかったりすること。子どもは体と心の両方に大きな傷を負うことになってしまうの。
ポン:そんな悲しいことが起きているの。
高橋記者:増え続ける虐待から子どもたちを守ろうと、4月から児童虐待防止法が厳しくなるよ。
●子どもを親の暴力から守るため強化
◆事件数300件、03年の倍に 児童相談所も手いっぱい
ケン:児童虐待ってどういうことを指すの。
高橋記者:4つに分けられている。(1)なぐったりけったりする「身体的虐待」(2)食事をあたえない、おふろに入れないなどの「育児放棄(ネグレクト)」(3)言葉によるおどしや無視などの「心理的虐待」(4)性的な暴力やいやがらせなどの「性的虐待」。1番多いのは身体的虐待で、最近はネグレクトの増加が目立つ。今月も埼玉県で、母親から何日も食事をあたえられず、2歳の男の子が亡くなる悲しい事件が起きた。
ジャン:件数は増えているの?
高橋記者:警察庁によると、2007年の児童虐待事件はこれまでで最も多い300件。被害にあった子どもは315人で、うち37人が死亡した。03年に比べて事件数は143件、被害児童数は149人も増えた。
子どもに関する相談にのる児童相談所(児相)が06年度に対応した虐待も3万7323件で、これまでで最も多かった。1996年度の9倍だよ。
ケン:そんなに増えて、相談所の人手は足りているの。
高橋記者:対応の中心となるのは児童福祉司と呼ばれる人。07年4月時点で、全国に2263人いる。06年より124人増えたけれど、増加のスピードには追いついていない。児相だけで問題を解決しようとするのではなく、市町村や医療機関、警察などが協力することが、ますます大切になっているよ。
ジャン:防ぐための法律もあるの?
高橋記者:児童虐待防止法は、父母らが子どもを虐待することを禁止している。虐待されている疑いのある子どもを発見した人は、児相などに連絡しなければならないことも定めている。早めに対応すれば、被害を小さくできるからね。
◆「調査拒否」の障害を取り除く 許可を取れば強制的に自宅へ
ケン:改正された法律が四月にスタートすると、どんなところが厳しくなるの。
高橋記者:いまは虐待の疑いがあっても、児相の職員は、親から「しつけ」などを理由に面会をこばまれれば、家に入って調査することができない。このため、子どもの安全確認がおくれて、死亡するケースもあるんだ。
4月からは、調査をこばんだ親に対して、都道府県の知事は子どもといっしょに児相に出向くよう求めることになる。それにも応じない場合、裁判所の許可状を取れば、児相は強制的に家に入って調査できる。
ジャン:ほかにどんな取り組みがあるの。
高橋記者:虐待を受けて保護された子の心と体の治療も大切。いまは、子どもたちの多くは施設に預けられるけれど、国は家庭的な環境で生活する方が望ましいと考えている。そこで、一般家庭で子どもを育てる「里親」を増やそうとしている。
ジャン:もしも身近に、虐待かもしれないと思われるケースがあったら……。
高橋記者:友だちの体にいつもあざがある、など気になることがあったら、おうちの人や学校の先生に相談してみよう。虐待でないにしても、何らかの解決に動いてくれるはずだよ。
ポン:一番いいのは、そういうことが起きないようにすることだよね。
高橋記者:その通り。全国の市町村では、児童委員や子育て経験者らが生後四か月までの赤ちゃんがいる家庭を訪問している。母親らの育児相談にのることで、虐待の原因ともなる不安や悩みを取り除こうという取り組みだよ。
●きょうのポイント
▽親などが子どもに暴力をふるったり、世話をしなかったりすることを児童虐待という。2007年の事件数は300件。03年のほぼ倍と増え続けている。
▽子どもに関する相談にのる児童相談所でも、虐待についての相談は増え続けている。対応する児童福祉司を増やしているが、医療機関や警察などとの協力も必要。
▽児童虐待防止法が08年4月から厳しくなる。親が児童相談所の調査をこばんだ場合も、手続きをふめば強制的に自宅を調べられるようになる。
記者:高橋福子記者(朝日新聞生活グループ)
提供:朝日学生新聞社