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2008年05月07日


ジャン:東京の多摩動物公園で、トキのヒナが生まれたね。
ケン:トキは絶滅が心配される動物として大切に保護されている特別天然記念物だね。でも、トキがいるのは東京ではなくて、新潟県の佐渡島でしょう。
高橋記者:実は2007年の12月から、4羽が佐渡島を離れて、多摩動物公園で暮らし始めた。鳥インフルエンザなどの感染症による絶滅を防ぐためなんだ。
●飼う施設分けて感染症での絶滅防ぐ
◆避難先でヒナはスクスク
◆さらにすみか増やす計画
◆ツシマヤマネコも同様に
多摩動物公園(東京都日野市)でかえったトキのヒナ=東京動物園協会提供
ジャン:まず、トキのことを教えて。
高橋記者:トキは明治時代の初めごろまで全国各地にいたんだけれど、きれいな羽を取るためにつかまえられたり、田んぼに農薬が使われ出したためにエサとなるドジョウやカエル、タニシなどが少なくなったりして、数がどんどん減った。
ポン:かわいそうだね。
高橋記者:「このままでは絶滅してしまう」と心配した国や新潟県は、27年前の1981年、佐渡島に5羽だけ生き残っていたトキをすべてつかまえ、島内につくった「トキ保護センター」で育てることにした。でも、2003年にメスの「キン」が死んで、日本生まれのトキは絶滅してしまった。
佐渡から移されたこのペアからヒナが生まれました=多摩動物公園提供
ケン:今、佐渡島にいるトキは中国から贈られたものや、その子孫だね。
高橋記者:そう。1999年に中国からオスとメスのペアが贈られた。今では百羽くらいにまで増えた。
ポン:すごいね。
高橋記者:でも、2004年ごろから、国内でも鳥インフルエンザが発生し、農家の鶏などがたくさん死んでしまった。万が一、佐渡島のトキが感染すれば……。
ジャン:みんな死んでしまう!
高橋記者:そこで、去年の12月、センターのトキから2組のペア、計4羽を選んで東京都日野市にある多摩動物公園に「避難」させた。これを「分散飼育」というんだ。
ポン:多摩で生まれたヒナは、その赤ちゃんだね。
高橋記者:そう。1組のペアの間に生まれた卵を、孵卵器で人工的に温めた。そして4月22日の朝、ヒナの誕生が確認された。
ケン:やったね!
高橋記者:27日には2羽目が誕生。飼育員さんに注射器でエサをもらいながら元気に育っている。60グラム足らずだった1羽目のヒナは、いま300グラムあまりにまで成長した。5月中にも、さらにヒナが生まれる可能性がある。
ジャン:国内のトキは、佐渡島と多摩動物公園の二か所にしかいないの。
高橋記者:今はね。けれど、2か所だけでは安心できない。環境省は石川県、島根県出雲市、新潟県長岡市の3か所を新たな分散飼育の候補地に考えていて、今年中には新たな飼育場所が決まる予定だ。
ケン:分散飼育をしているのは、トキだけなの。
高橋記者:同じく絶滅が心配されているツシマヤマネコの例がある。対馬(長崎県)の保護施設や福岡市動物園から東京(井の頭自然文化園)、横浜(よこはま動物園ズーラシア)、富山(富山市ファミリーパーク)などに移して飼育されていて、お客さんが見ることもできるよ。
ケン:トキに会いに行くことはできるの。
高橋記者:佐渡島の「トキの森公園」では、大きなケージ(飼育用のおり)の中で何羽ものトキが生活しているようすを見学できる。
ジャン:東京でもトキに会えるの?
高橋記者:多摩動物公園では、残念ながら非公開。静かな環境で子どもを増やすことができるよう大切に飼われているよ。
ケン:今年の秋には佐渡島で、トキを自然界に放す計画があるんだよね。
高橋記者:うん。10羽くらいをケージから出して、佐渡島の自然に放す予定だ。島の人たちも、できるだけ農薬を使わない農業を研究したり、ドジョウやカエルが暮らせる水辺を復活させたりといった取り組みを始めている。
ジャン:トキが暮らしやすい環境をつくることが、地球や地域の環境を守ることにもつながるんだね。
●きょうのポイント
▽新潟の佐渡トキ保護センターのトキのうち2組のペアが2007年12月、東京の多摩動物公園に移された。感染症などで全滅してしまうのを防ぐための「分散飼育」という取り組みだ。
▽お客さんに公開しない静かな環境で飼われ、4月22日には「東京生まれ」の最初のヒナが誕生した。分散飼育の施設は、これからさらに増える予定。
▽ツシマヤマネコも、分散飼育されている。
記者:高橋淳記者(朝日新聞佐渡支局長)
提供:朝日学生新聞社