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2008年11月5日

ポン:このあいだ、家族で山奥の温泉に行ったよ。
藤井先生:いいなあ! おじさんも、のんびり温泉につかりたい。
ケン:その温泉は火山の熱が温めたものなんだって、パパに教わったよ。
藤井先生 温泉は火山のめぐみの一つだね。でも、火山はときに、おそろしい災害ももたらす。このところ、日本のあちこちの火山で少し活発な動きが見られるから、今日は火山の勉強をしておこうか。
●地下のマグマが出てきてつくる地形
◆1万年以内に噴火は「活火山」
◆活火山約500のうち108が日本
◆夏以降「小さな噴火」が起こる
ジャン:まず、火山ってどんなもの?
藤井先生:地下数十キロといった深いところに、岩などが熱でとけてどろどろになったマグマがある。このマグマが、地面やその近くまで出てきてつくる地形を「火山」というんだ。
ケン:日本に、火山は多いの?
藤井先生:過去1万年の間に噴火したことがある火山を「活火山」と呼ぶんだけれど、世界には五百ぐらいある。そのうち、百八の活火山が日本にある。富士山も、一番近い昔では約300年前に噴火した活火山だよ。
ジャン:火山は、どんなところにできるの。
藤井先生:地球の地下は「プレート」と呼ばれる厚い岩の板でおおわれているって、勉強したかな?
ケン:うん。そのプレートが日本の地下で4枚も押しくらまんじゅうしていて、地震を起こすんでしょ。
藤井先生:そう。火山のほとんどは、そのプレートが生まれ出るところ(海嶺)と、しずみこむところ(海溝)に沿って、点々とできているんだ。太平洋プレートやフィリピン海プレートがしずみこむ日本周辺は、太平洋をぐるりと取り巻く火山の連なりの中にあるよ。
ジャン:いま、その日本の活火山が、活発なの?
藤井先生:例えば、北海道の雌阿寒岳では、9月下旬から火山性の地震が増えている。地下のマグマが動いている証拠だ。群馬県と長野県にまたがる浅間山では、8月にごく小さい噴火が起き、その後もマグマの動きが活発だ。宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島連山の新燃岳も8月、17年ぶりに噴火した。鹿児島県の桜島も、7月には3000メートルをこえる噴煙を上げるなど活発なんだ。
ポン:にぎやかすぎて、心配だよ!
藤井先生:日本ではこれまで100年に5、6回くらいの割合で「大きな噴火」が起こっていた。でも、最近の100年間は、むしろ静かすぎたんだ。
ジャン:長崎県の雲仙・普賢岳の噴火は?
藤井先生:1990年から95年にかけての噴火だね。火山学では、噴火の大きさを、噴き出たマグマや溶岩などの量でみるんだけど、このときの噴火で出たのは0.2立方キロメートル。しかも、5年間かけて出た量だ。この規模は「大きな噴火」とはいわないんだ。
ポン:じゃあ「大きな噴火」って?
藤井先生:マグマなどの量が、1立方キロメートル以上。つまり縦・横・高さが1キロの箱をいっぱいにする量だ。それが数日〜数週間に噴き出る。そういう噴火は、100年ほど起こっていない。
ポン:どうして?
藤井先生:特に考えられる原因は見当たらない。「たまたま」としかいえないんだ。
ケン:じゃあ、そろそろ大きな噴火があるの?
藤井先生:いまのところ、大きな噴火の前ぶれはない。でも、正しい知識や情報をたくわえ、「いつ噴火が起きてもおかしくない」という気持ちでいることが大切だよ。
●きょうのポイント
▽地下のマグマが地面や地面の近くまで出てきてつくる地形が「火山」。
▽過去1万年の間に噴火したことがある火山を「活火山」という。世界に500ほどある活火山のうち108が日本にある。
▽夏ごろから、日本各地の火山でやや活発な動きがみられる。大きな噴火につながる前ぶれはいまのところないが、ふだんから正しい知識や情報を持っておくことが大切。
藤井 敏嗣先生(東大地震研究所・火山噴火予知研究推進センター教授/火山噴火予知連絡会会長)
提供:朝日学生新聞社