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「対決」展支えた120年の実績 「國華」河野主幹
(2008年07月31日)

俵屋宗達「松図襖」の前で話す河野元昭・「國華」主幹=東京国立博物館、高波淳撮影
東京・上野の東京国立博物館で開かれている「対決―巨匠たちの日本美術」展が大盛況のうちに、会期を折り返した(8月17日まで)。「運慶vs快慶」「宗達vs光琳」「歌麿vs写楽」と、名品が対決形式で並ぶ、異色にして出色の展示。同館、朝日新聞社とともに主催者を務める、日本・東洋美術史の月刊研究誌「國華」の120年の実績があって、実現したものだ。
「今までの出版、研究、調査の蓄積がなければ、絶対に不可能だった、と自負しています」と、東京大名誉教授(日本美術史)で秋田県立近代美術館長も務める河野(こうの)元昭・「國華」主幹は語る。「国宝、重要文化財を含む今回の名品には、『國華』に解説や論文が載って世に知られたものが少なくないのです」
「國華」は、現存する美術専門誌としては世界最長寿とされる。1889(明治22)年に、岡倉天心らが中心となって創刊した。創刊の辞で「美術ハ國ノ精華ナリ」とうたったが、当時目指していたものは、現在の姿とは少し違っていたという。
「天心にはジャーナリスト的な面もあり、実生活に直結した新しい日本の美術の創造には、古い美術をよく知る必要があると考え、創刊した」と河野さんは見ている。
しかし間もなく経営難に陥り、朝日新聞社の創立者、村山龍平と上野理一が支援。1901年に設けられた主幹に就き45年まで務めた瀧精一の方針もあって、「創造」よりも「学術研究」に重きを置くことになったという。
89年の創刊100年記念「室町時代の屏風(びょうぶ)絵」展も研究成果を示す性格が強かった。これに対し「対決」展は、「研究実績に加え、多くの人に日本美術の豊かさを感得してもらいたい」という編集委員たちの考えに基づくものだ。当初の天心の考えを反映させているともいえる。委員たちは出品交渉も担当。河野さんも俵屋宗達「松図襖(ふすま)」などの出品に力を尽くした。
「國華」は朝日新聞出版が発売する現在も、和とじ。月額4600円と高価でもある。河野さんは伝統は守りつつ、より広い読者層を意識した編集も考えている。近年は、丸谷才一さんやドナルド・キーンさん、渡辺保さんといった学問的背景を備えた書き手たちによる原稿を掲載。会員制特別鑑賞会組織「國華清話会」も、辻惟雄(のぶお)・前主幹時代の02年に復活させた。
追い風は日本美術ブーム。「身近なものを見直す動きなのか、大きな波を感じる。今回出品されている狩野永徳の?風の『発見』の論文をいち早く掲載したように、速報性も高めてゆきたい」(大西若人)