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特急券は不要、「ちょっとお得な」特急列車で峠越え

2007年04月17日

 特急列車なのに特急券がいらない――。そんな不思議な列車が、北海道内にある。JR石勝線の新夕張〜新得間、89.4キロ。沿線に住む人が少なく、普通列車が1本も走っていないための特例措置だ。所要は約1時間。ちょっと得した気分になれる列車の旅だ。

写真雪深い峠越えのルートを走るJR石勝線の特急列車=夕張市で

 札幌と十勝地方を結ぶJR石勝線は、81年に開通した厳しい峠越えのルート。札幌と道東を結ぶ特急列車が1日約15往復も走る幹線だが、新夕張から新得までの4駅間は普通列車の運行がない。JR北海道では「沿線住民が少なく需要がほとんどない」と話す。

 だが、少ないとはいえ利用者はいる。このためJRでは、区間内の利用に限り乗車券だけで特急に乗れる特例を設けた。普通列車がないことでの特例は、全国でも石勝線と青函トンネルを走る津軽海峡線だけだ。

 通常なら1100円の特急料金が、この区間では無料。でも座席は2人掛けのリクライニングシートで、大きな窓には雄大な北海道の原生林や狩勝峠の眺望が広がる。もうすぐ雪も消えて、十勝平野に広がる牧草の緑がまぶしい季節だ。車内販売でコーヒーや名物駅弁を楽しみながら、快適な1時間を過ごせる。

 地元の利用者は数えるほどだが、全国には根強いファンが多い。普通列車だけ乗り放題の「青春18きっぷ」で旅行する若者たちにとっては、この区間は「無料で味わえる貴重なぜいたく」なのだとか。学生の夏休み時期などには、乗車を目当てに全国からファンが集まる。

 鉄道に詳しい旅行作家の野田隆さん(54)は「手つかずの自然や、峠から眺める十勝の開けた車窓は北海道ならでは。これが特急券なしで堪能できるのだから得した気分になりますね」と魅力を話す。

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