「退職したらお遍路に行こう」 体験記自費出版2007年06月17日 定年後のセカンドライフは歩き遍路から――。三重県伊賀市西高倉の仲川忠道さん(68)が、四国88カ所霊場巡りの体験をまとめた「退職したらお遍路に行こう」を自費出版した。定年後に始めた短歌と木版画を交えながら、道中の出来事や心中を日記風につづる。会社勤めなどを終えて、思うように意識を切り替えられない人も少なくない中、第二の人生に踏み出す「儀式」としての効用を説いている。
仲川さんは元鉄道マン。高校を出て関西の私鉄に入社。乗務員などを経て98年に定年を迎えた。「出世はしなかったものの趣味ももたず、まじめにやってきた」という会社人生に終止符を打ち、こんな歌を詠んだ。 会社とう仮面をとればその素顔のっぺらぼうのおばけでござる 「電車の運転に雑念はダメ。ATS(自動列車停止装置)がなかった頃は、碁や将棋が禁止されたこともありました。趣味は歓迎されなかったんです」と振り返る。 四国遍路にはいつかは行ってみたいと在職時から思っていたという。まとまった時間がようやくできた01年秋、あこがれの歩き遍路に旅立った。 和歌山から高速船で徳島へ。白装束姿で43日間かけて88カ所を一人で歩き通した。「出発前は不安もありましたが、案ずるより産むがやすし、です。構えるより前にヒョイと始めた方がいい。歩くのに道具も準備も要らないのです」 本では、道中に出会った遍路仲間や、遍路をもてなす「お接待」の様子などを当時のメモをもとに再現し、短歌も織り交ぜながら軽妙な文章でつづる。自ら撮った写真を参考に木版画も制作、カットとして挿入した。
さとることなけれど満ちるこころなり歩きへんろを終わりて師走
こう詠んだ仲川さんだが、「何もかもが無になった」という敗戦時の原風景を回想しながら、「行きづまったとき、すべてを失ったとき、戻る原点に遍路が加わった」とも記している。 団塊世代の大量退職時代を迎え、人生の再スタートをどう切るかが関心事になっている。 「家のことは妻に任せて、仕事一筋で来た人ほど昔を引きずりやすい。地位や栄光をいったん捨てて、まっさらになるには、歩き遍路が一番です」と仲川さんは語る。 A5判228ページ。1575円。問い合わせは仲川さん(0595・21・5508)へ。 PR情報この記事の関連情報コミミ口コミ
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