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広電白島線、突然の廃止案に波紋

2007年06月21日

 広島市民の見慣れた風景が消えるかもしれない。道州制導入で広島市を「州都」にすることをめざす広島商工会議所が13日に広島市などに提言した交通体系の見直し案に、広島電鉄白島線(中区、八丁堀〜白島)の廃止が盛り込まれていた。渋滞解消策の一環としての提案は、広島市や白島線の地元に波紋を広げた。わずか1.2キロの路線だが、被爆で運休した広電市内線で最後に運行を再開した路線として復興の歩みと重ねる市民も多い。利用者から「さびしい」という声が上がる一方、ドライバーには歓迎の声も聞かれた。

写真渋滞発生の原因になっているとして、廃線案が提言された広島電鉄白島線=広島市中区の八丁堀交差点で

 広島商工会議所がこの日、同市と県に提出した交通体系の見直し案は、当事会社である大田哲哉・広電社長が会長を務める同会議所運輸部会が会員の意見を踏まえてまとめたという。大田社長は広島市役所で報道陣に「(白島線廃止によって)通りの(片側)4車線化も検討できる」と述べた。

 白島線は1912(大正元)年の開通で、広電で最も古い路線の一つ。被爆と同時に運休したが7年後、路線を被爆前の路線から100メートル東の白島通りに移して再開業にこぎ着けた。ピーク時より減ったが、現在も年間127万9000人(06年度)が利用している。

 ただ、白島通りは八丁堀交差点で中央通り(片側3車線)に接続し、市内を南北に貫く主要道路の役割を担うが、片側2車線のため「激しい渋滞の元凶」との見方も出ている。

 廃止提言について、終点の白島電停近くで暮らす広島市中区の服部節子さん(76)は「乗り慣れた電車をなくさないでほしい」と話した。

 白島線は毎週1回、教会に通うため欠かせない足。14歳のとき自宅で被爆し負傷した。「被爆から7年後に再開したとき、もとの広島に戻ったと喜んだものです」

 白島線のほぼ真ん中の縮景園前電停前で40年以上続くタバコ店を母と営む男性(70)は「渋滞がひどいとは思わない。電停の明かりが消えるのはさみしい」。八丁堀電停で電車を待っていた50代の女性は「特に高齢の方は困ると思う。白島線は一番安い(100円)し、利用しやすい」と驚いた様子で話した。

 一方、白島通り沿いで客待ちをしていた60代のタクシー運転手の男性は「(廃線で)渋滞は解消されると思う。朝夕のラッシュ時は片側4車線ないと厳しい」と話した。

 白島線は京都市電や大阪市電から移籍した旧型車両を中心に運行されて鉄道ファンらの人気が高く、広島市は「観光資源」の一つとして位置づけてきた。広島市都市交通部の幹部は「突然のことで驚いている。市としては十分な機能を果たしてもらっていると思っており、残してほしい気持ちが強い」と話した。

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