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安楽死寸前、オノゾミドオリ救われた ウララの弟

2008年01月15日

 113連敗で知られる高知競馬のハルウララ(06年引退)の弟で同競馬にも所属したオノゾミドオリ(8歳)が、南国市の乗馬クラブで余生を送っている。昨夏、歩行ができないほどのけがを前脚に負い、飼い主は安楽死させることも考えたが、県内の多くの競馬ファンが励ましに駆けつけると、急速に回復。飼い主は「人の気持ちの力はすごい」と驚き、喜んでいる。

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すっかり元気になったオノゾミドオリと飼い主の伊尾木舜祐さんと妻の和子さん=南国市東崎で

 オノゾミドオリはレース引退後の06年5月、高知県南国市東崎で「南国ホースパーク」を営む伊尾木舜祐さん、和子さん(ともに60)夫婦に引き取られた。右前脚のつめを悪くしていて、人を乗せて走ることはほとんどできなかったが、「ノゾミ」と呼ばれながら「第二の馬生」を静かに過ごしていた。

 つめをかばっていたためか07年夏ごろ、左前脚の腱(けん)を痛めた。前脚を踏ん張れず、立ち上がりはできるが、ふらふらとして、向きを変えることもできないほど。快方に向かう兆しは見えなかった。「せめて自分の脚で馬運車に乗れるうちに」と伊尾木さん夫婦は、泣く泣く安楽死を決断した。

 馬運車が迎えに来る日の朝。以前に和子さんが投稿していたノゾミの現状を伝える文章が、高知新聞に載った。「馬好きの方、元気な今のうちにぜひ会いに来てあげてください」という内容。夫婦は急きょ、迎えの依頼を取り消した。馬運車は当初、新聞掲載の前日に来る予定だったという。舜祐さんは「どうやってもノゾミがうちにおらないかん、という何かがあった」と振り返る。

 翌日から、新聞を読んだ競馬ファンが続々と厩舎(きゅうしゃ)にやって来た。入るなり涙を流し「がんばりよー、がんばりよー」と声をかける人、北海道で走っていた頃から好きだったという人、ニンジンを持ってきてくれる人……。二十数人それぞれが、ノゾミの背中や顔をいとおしそうにさすって励ました。

 その後、ノゾミは1週間で生気を取り戻し、左前脚は治癒。今は右前脚を引きずりながらも、ごきげんで馬場を駆けている。

 10年以上、馬を見てきた舜祐さんは「あんなにいかん(悪く)なってから、元気になったのは珍しい」と驚く。和子さんは「人間の気持ちが伝わったんじゃないかと思う」と話す。

 今の調子なら、ノゾミはこの先、人を乗せて走れるようになるかもしれないと夫婦は期待している。「ノゾミもそれを望んでる」と和子さんは笑った。

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