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特撮ファンが火をつけた 手袋CACA―ZANの評判

2008年05月08日

 香川県さぬき市大川町富田中の手袋製造業「出石(いずいし)手袋」の出石尚仁さん(49)が、オリジナルブランド「CACA―ZAN」(かかざん)を立ち上げた。下請けの仕事が減り、同業者の廃業も相次ぐなかで作り続けることを選んだのは、ネットオークションで出石さんの手袋を見た特撮ファンの一言がきっかけだった。裁断から縫製、仕上げまで出石さんが1人で手がける手袋ブランドは、じわじわと評判を呼んでいる。(清野有希子)

「CACA−ZAN」製の手袋。主にバイクや自転車用で、手前がスキー用

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ミシンに向かう出石尚仁さん。自転車用の革手袋1組を1時間ほどで縫う=さぬき市大川町富田中

 昨年2月に本格的に始めた「CACA―ZAN」の売れ筋は、自転車・バイク用と特撮ヒーロー用だ。オーダーメードもある。ブランド名は、出石の「石」にちなみ、孫悟空が「花果山(かかざん)」の石から生まれたとされることから友人が考えてくれた。埋もれていた能力が表に出るという意味が込められている。

 5年ほど前まで出石さんはもがいていた。転機は03年。白い作業用の革手袋をインターネットのオークションに出した。すると、こんな問い合わせがきた。「色を塗れば仮面ライダーに使えますか」。特撮ヒーローのコスプレ愛好家からだった。出石さんは驚いたが、雑誌や本を見て研究し、本革で作ってみた。

 完成品を送ると、「すごい!」と喜ぶメールが届いた。出石さんには新鮮だった。下請け時代は、いかに効率よく作り、コストを抑えるかばかり考えていた。一生懸命作っても誰も喜んでくれないと思っていた。「もの作りの楽しさに初めて気づいた」。リピーターや専門店からの注文も入り、昨年にはアメリカのコスプレ愛好家とも取引が始まった。

 出石さんが手袋作りの思いをつづるブログ「手袋職人」(http://tebukuro.livedoor.biz)を見て、注文をしてくる人も多い。出石さんが作った手袋をはめて仮面ライダーに「変身」した写真が送られてきたり、オーダーメードでバイク手袋を買った人が使い込んだその手袋を持って訪ねて来てくれたりする。

 両親が始めた会社は下請けでスキー手袋を作ってきた。最盛期は「縫い子さん」が50人以上いた。だが、製造工程の海外移転が進み、バブルがはじけてスキー人気も下降気味に。10年ほど前に下請け仕事は激減し、今、縫い子さんは、下請け作業などにあたる2人と出石さんを合わせて3人だけ。オークションへの出品は、何かのきっかけになればとの思いからだった。

 今年、革製のスキー手袋をCACA―ZANから初めて売り出す。ずっと作ってきたものをなくしたくないという強い思いからだ。「革は使い込むほど手になじむ。意地でも作り続けたい」。問い合わせは出石手袋(0879・43・5676)へ。

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