現在位置:asahi.com>コミミ口コミ> 記事

コミミ口コミ

から揚げvsフライドチキン 牙城にケンタッキー再挑戦

2007年04月04日

 「から揚げにフライドチキンが負けた」。こんな逸話が大分県中津市に伝わる。同市では専門店が成り立つほど鶏のから揚げは食卓に欠かせない一品。世界各地で展開するケンタッキーフライドチキンだが、中津では進出したものの撤退に追い込まれた。それから12年。マーケティングと「三度目はない」との覚悟の下、先月再び進出した。世界の味か地域の味か。勝負はこれからだ。

写真オープンしたケンタッキーフライドチキンの店=大分県中津市で
地図  

 JR中津駅から約500メートル、ショッピングセンター「ゆめタウン中津店」の1階入り口脇に、「KFC」の文字が目立つ。3月1日に開店したケンタッキーの店だ。

 日曜夕、店内は親子連れや10代の男女でにぎわっていた。「カーネルおじさん」の人形と握手するちびっ子も。岩丸卓浩店長(23)は「売り上げは予想以上。好評を頂いています」と笑顔。

 そこからすぐそばの総菜店。揚げたてのから揚げを並べていた店員は「売れ行きは変わりませんねぇ。中津はこれが人気ですから」。

 盆や正月、祭りに運動会、卒業式。中津では決まって大皿盛りのから揚げが振る舞われる。店は30軒以上あり、家庭で揚げるよりも店で買うのが一般的だ。

 90年秋、ケンタッキーは中津駅から約2キロの郊外に出店した。

 「世界のケンタッキーがやってきた。もう駄目だ」。当時、から揚げ店「チキンハウス」の田中信彦さん(53)は転業を覚悟したという。

 だが、ケンタッキーは売り上げが振るわず95年5月に店じまい。同店を経営したJR九州ファーストフーズ(福岡市博多区)は「立地場所が悪かった」と総括するが、「から揚げにつぶされた」が地元の定説だ。

 今回、ゆめタウン中津店が有力な飲食関係のテナントを求めたのが、再出店のきっかけ。打診を受けたJR九州側も、大型店に入れば安定した集客が見込めるうえ、中津周辺の自動車産業の集積で市場拡大も期待できると踏んだ。

 JR九州ファーストフーズKFC事業部の平野美樹さん(35)は「『すみ分け』は出来るはず。駄目ならやっぱり、から揚げに負けたことになりますが。見込みはあります」。日本ケンタッキー・フライド・チキン(東京都渋谷区)の広報担当者も「可能性があれば出店するのが基本」と強気だ。

 オープンから1カ月。売り上げは当初見込みの1.5倍で、「上々のスタート」と平野さん。

 夫の酒のつまみにチキンを買いに来た主婦(29)は「3回目です。小倉や別府の方まで遠出しないと買えなかったので、うれしい」。一方、から揚げ店で夕飯のおかずを買っていた会社員の泉千恵美さん(38)は「ケンタッキーはおやつにはなっても、おかずにならない」。スパイスの香りや衣の食感がなじめないという声も。

 から揚げ側は自信を示す。チキンハウスの田中さんは「親子三代で来てくれるお客もいる。地域で支持されるために手間ひまかけてきた」。人気店の一つ「中津からあげもり山 万田店」代表の森山浩二さん(48)は「フライドチキンは全くの別物で、お客の取り合いにはならない。新しいから揚げ店ができる方が脅威」と話した。

PR情報

このページのトップに戻る