現在位置:asahi.com>コミミ口コミ> 記事

コミミ口コミオススメ

奄美の森に宝を見る 毒蛇からルリカケスまで

2007年09月14日

 貴重な野生動物の宝庫と言われる奄美大島。だが、市街地に住んでいると、かれらに遭遇できる機会はめったにない。そこで今月初め、鹿児島県奄美市在住の写真家、常田守さん(54)と、夜の林道を車で走ってみた。初めて体験した奄美の森の夜は、まさに宝庫。想像以上の感動に満ちていた。

写真

写真3・リュウキュウアカショウビン

写真

写真1・リュウキュウコノハズク

写真

写真2・ガラスヒバァ

写真

写真4・ルリカケス

写真

写真5・アマミハナサキガエル

写真

写真6・アマミノクロウサギ

 午後9時、島の中心部、奄美市名瀬を出発。国道から、くねくねとうねる林道に入った。早速迎えてくれたのは、リュウキュウコノハズク=写真1。電線にちょこんととまり、まん丸の目であちこちを見回していた。ライトで瞳孔が開き、びっくりしたような表情が愛らしい。

 道路脇で首をもたげていたのは、ガラスヒバァ=写真2。体長30センチほどの小さな個体だが、毒蛇だ。奄美の夜で一番注意しなければいけないのが、大型の毒蛇ハブ。幸いこの日は出くわさずにすんだが、ちょっとした草むらにも潜んでおり、車から降りる時は細心の注意が必要だ。

 林道頭上の木の枝に見つけた、リュウキュウアカショウビン=写真3。市街地でも「キョロロロ」という鳴き声を聴かせてくれるが、姿を見たのは初めて。真っ赤なくちばしが鮮やかだ。子育てを終えて間もなく東南アジアに帰る。

 希少種の県鳥ルリカケス=写真4=も松の枝で休んでいた。名前の通り、るり色の体が美しい。どの鳥も、夜は葉が少ない枝の先で寝ている。ハブの急襲を察知し、すぐに飛び立てるようにしている。こんなところからも自然界の営みがかいま見える。

 林道脇の湿った茂みに潜んでいたのは、大型のアマミハナサキガエル=写真5。奄美大島と徳之島だけにすむ固有種だ。

 さらに進むと、黒い物体が道路を横切った。「出ましたよ、ウサちゃん」。常田さんが指さすが、一瞬のことでよく見えない。さらに数分後、今度は道路右でじっとしているのを見つけた。「生きた化石」、アマミノクロウサギ=写真6。夢中でカメラを構えた。ストロボの光に躊躇(ちゅうちょ)した後、草むらに消えた。

 気がつけば出発から5時間が過ぎていた。この間、心臓の高鳴りがやむことはなかった。

   ◇

 今回は舗装された林道を車で走った。危険を冒して森の中に入らずとも、貴重な動物に出会うことができた。それだけ自然が身近にあることを示すと同時に、注意しなければ容易にかれらの生存を脅かしてしまうことを気付かされた。

 「主役はかれらで、私たちはかれらのすみかにおじゃまさせてもらっているだけ。行政も住民も観光客も、そのことは忘れないで」。自然保護に長くかかわってきた常田さんの言葉を、実感として理解した気がした。

PR情報

このページのトップに戻る