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ダウン症の天音ちゃん、絵画コンクールに入選

2008年04月10日

 1枚の絵が、両親に勇気を与えた。延岡市のダウン症の少女が描いた絵が、コンクールで入選。その知らせに親は最初、「障害児枠があるのか」と思ったが、公平な審査の結果だった。「みんなと少しできることの差はあっても、娘は絵を描くことが大好きです。その絵を評価して頂き、感謝でいっぱいです」。わが子の成長を願い続ける母親は、コンクールの主催者に手紙をしたためた。(二宮俊彦)

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天音ちゃんと母親のタミさん

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コンクールで入選した絵を手に喜ぶ天音ちゃんと母タミさん

 入選したのは、同市野地町6丁目の堀之内健吾さん(34)とタミさん(34)の長女、天音(あまね)ちゃん(6)。市内の西階幼稚園に通っていた。

 同市の「延岡ライオンズクラブ」(吉田和彦会長)が、幼児を対象に昨年12月〜今年1月に募集した環境図画コンクールで、231人が出品。天音ちゃんは、園での芋掘り体験を画用紙いっぱいに描き、優秀賞など6作品を除く36の入選の一つに選ばれた。

 「公平な審査で選ばれたのだろうか」「先生が手伝ってくれたのでは」。タミさんは驚きのあまり幼稚園の先生に確認した。「賞を取るなんて思ってもいなかった」。うれしくて先生と一緒に泣いた。

 天音ちゃんが、絵に熱中し始めたのは3歳のとき。丸いお母さんや四角いお父さんの顔……。クレヨンを与えると、飽きることなく何枚も描き続けた。タミさんは「興味を持ったら、何時間でも集中できるんです」という。

 天音ちゃん誕生の喜びの中、医師からダウン症と告げられたのは健吾さん。しばらくはタミさんにも言えなかった。しかし、介護施設で働いていた健吾さんは、保育士だったタミさんを「おれたちは福祉のプロじゃないか。前向きに考えよう」と元気づけた。

 2人は退職。障害児一時預かりサービスを自宅で開業した。仕事と育児を両立するためだ。

 4歳まで母子通園の障害児支援施設で療育を受けていたが、2年前の春、「天音の社会を広げてあげたい」と思い切って西階幼稚園の年中に入園させた。おしっこや着替えを1人では出来なかったが、温かく迎え入れてくれた。

 ある日、言葉が不自由な天音ちゃんに、男の子が「なにを言いよるか分からん」と言ったことがあった。それでも、もにょもにょと言い返す天音ちゃんをタミさんは見守った。「できないことを知ることも大切。文句であれ、けんかであれ、会話を交わすことが人間関係の始まり」。いずれ自立しなくてはいけない、娘の将来を思ってのことだった。

 今春、天音ちゃんは市立南方小学校に入学する。市教委は当初、養護学校を勧めたが、両親の熱意に打たれ、普通学校への入学が決まった。コンクール入選の知らせは、そんな矢先だった。

 「できないことはたくさんあるけど、できることを見ていきたい。そうすれば、もっと輝いてくれると思うから」とタミさんは話す。

 入学式は11日。祖母に買ってもらった赤いランドセルを背負い、約900メートル離れた学校まで徒歩で通う。そのための体力づくりもしてきた。

 クラスは1年2組。「学校に行くのが楽しみ」。天音ちゃんの笑顔がこぼれた。

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