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土壁は環境に優しい 建築家がワークショップ

2008年05月19日

 環境に優しく、シックハウスの心配もないとして見直されている土壁。その魅力を実際の家造りの中で知ってもらおうというワークショップが5月初旬、長崎市で開かれた。伝統工法に取り組む建築家グループが企画した。戦後、安価で手間がかからない新建材に取って代わられた土壁だが、良さを知ってもらおうと今夏に見学会を開く予定だ。(小川裕介)

 企画したのは、長崎市の大工、池上算規(かずのり)さん(42)と1級建築士の橋口剛さん(38)ら。池上さんは「大工が体を壊す家をつくり続けていいのか」と、独立した98年ごろから、化学物質を含んだ建材に頼らない伝統工法による家造りを始めた。06年には、県産材と土壁で建てた家で県木造住宅コンクール優秀賞を受賞。2人は築約50年の木造家屋の改修で知り合った。

 ワークショップは同市平山町の建築現場で開催。建設業に携わる人や学生、会社員や公務員ら約25人が参加し、下地づくりや壁塗りを体験した。指導役は、池上さんと現場を共にしてきた左官職人でNPO法人「循環型たてもの研究塾」(佐賀県武雄市)の田崎龍司さん(56)が務めた。

 下地は、竹をわらなどで編む「竹小舞(こまい)編み」と呼ばれる伝統的な工法。2メートルほどの竹を縦に4分割し、わらできつく編んでいく。壁土は、大村市内でとれた土。あらかじめ現場でワラなどと一緒に数カ月寝かせたものだ。

 参加者たちは初めて握るコテに戸惑いながらも、慣れ始めると次々に塗り上げた。不ぞろいな壁の一方、滑らかに仕上げる人も。

 記者も体験させてもらった。左手に持ったコテ板に壁土を載せ、右手のコテでなじませる。ワラが発酵したにおいが鼻をつく。土は粘り気が強いが、手早く塗らないと落ちそうになる。無理に押さえようとすると、コテの手前に泥がついた。「これでは『塗り』ではなく『くっつけ』ですね」と田崎さん。全く汚れていない手でコテを手早く滑らせると、壁の表面がすぐに平らになり、光沢を帯びた。「『小手先』ではなく、全体を使って下さい」。助言をもとに別の場所でやり直した。

 戦後、早く、安くできる新建材が多用され、工期が長く手間を要する土壁は敬遠されがちになった。土壁を仕上げられる職人も少なくなってきた。

 橋口さんは「家は衣服の次に身近な存在で、住む人間にとって一つの環境。環境問題が叫ばれる中、まずは身近な家を見つめ直すのが第一歩になるのではないか」と話す。見学会の問い合わせはHAG環境デザイン(095・847・0204)へ。

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