現在位置:asahi.com>コミミ口コミ> 記事

コミミ口コミ

バレリーナ森下洋子さん、府中で16年目の舞

2007年04月20日

 日本を代表するバレリーナの森下洋子さんが、東京都府中市での公演を16年も続けている。ほとんどの年で春と冬の2回、市民に向けて国内外で高く評価される舞台を披露してきた。府中には、森下さんにとって大切な人の思い出がある。「名伯楽」と呼ばれ、昨年暮れに他界した日本中央競馬会(JRA)の元調教師、松山吉三郎さんだ。公演前に訪れては「がんばれよ」と励ましてくれた。その飾らない姿と声が今も心に残る。今年の公演は29日、府中の森芸術劇場で幕を開ける。

写真森下洋子さん(松山バレエ団提供)
写真森下洋子さんら松山バレエ団の舞台(同バレエ団提供)

 森下さんが団長を務める松山バレエ団は、1948年、森下さんの義母にあたる松山樹子(みきこ)さんらが創立した。その樹子さんの兄が松山吉三郎さんだった。

 吉三郎さんはJRAの調教師として、ダービー2勝、天皇賞3勝、有馬記念2勝などJRA歴代2位の1358勝を挙げた「名伯楽」。昨年12月、89歳で亡くなった。

 東京競馬場のある府中に長年暮らしていた吉三郎さんのもとに、森下さんは夫の清水哲太郎氏と一緒によく訪れた。「吉三郎おじさん」と呼んで親しんだ。

 吉三郎さんは公演の本番前、自転車でふらりと訪れては、団員たちに「がんばれよ」と声をかけてくれた。「飾らず、親しみやすい人だった」と森下さんは振り返る。

 吉三郎さんのこんな言葉を覚えている。「一心に思い、愛して、大切に思わないといけない。馬は人のそうした思いがよく分かるから」

 やっていることは違っても、大切なことは同じだと共感した。だから、舞台でも、演じる役に思いを込めている。

 そんな思い出が残る市内での公演は、91年に府中の森芸術劇場が完成した翌年から毎年続けてきた。「すばらしい劇場。たくさんの人たちに支えられた」。今回の公演で演じるのは5年ぶりとなる「ロミオとジュリエット」だ。

 「悲劇として知られている作品ですが、対立から和解へと変わっていく人々の心を描き出したい。人を愛し、命を大切にする思いを訴えたい」と森下さんは話している。

 公演の問い合わせは同バレエ団公演事務局(03・3408・7939)へ。

PR情報

このページのトップに戻る