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コミミ口コミ

カリカリとり皮300円 ハンバーガーより人気

2007年05月01日

 「とり皮Aをかりかり、塩、コショーで」「500円のミックスをふつかりで」――。神奈川県藤沢市の小田急善行駅前に学校帰りの中高生らでにぎわうファストフード店がある。焼きそばやたこ焼きで出発し、ハンバーガー店やコンビニに対抗して知恵を絞った結果、揚げとり皮が主力になった。ほぼ店主一人で店に立ち、年中無休。9月に満30年を迎える。

写真メニューの張り紙に囲まれた厨房で揚げとり皮をつくる広島さん
写真自販機とノボリに隠れそうな「ビーバー」の店頭

 黄色い看板に「ユニークメニュー ビーバー」。間口2メートルほどの店構えだが、半分以上を飲料自販機がドンとふさいでいる。はためくノボリは揚げとり皮と揚げアイス。これにポテトを加えた3品がメーンだ。

 特徴はその種類の多さ。揚げとり皮Aは300円から100円刻みでサイズが選べ、固さはふつう・ふつかり・ふつかりかり・かりかりと4段階。味付けは塩、コショー、ガーリック、しょうゆ4種が0円。レモン汁10円から焼き肉のたれ50円まで有料6種がある。

 1年ほど前、パリパリサクサクのとり皮Bが加わった。こちらは200円から100円刻み。500円以上だとAとBのミックスができる。

 ポテトは細い、中太、皮付き、アメリカンなどタイプが6種類。サイズがシングル160円からオールミックス1000円まで8種類。味付けはソースや塩などの0円からカレーやケチャップの10円、味ぽん20円、生卵50円、タルタルソース100円など22種類ある。

 これに、6行13列のマス目に書いた「ユニークメニュー」が加わる。「揚げたこ焼き4コから1コ53円」「手羽ぎょうざ136円」「ビンボウライス(半熟目玉+のり+つけもの)200円」……。駄菓子屋のように小銭であれこれ選べる。

 飲み物は清涼飲料水1マスだけで「他は店頭の自販で!!」。張り紙で「割りばし1本目が0円で2本目からは5円」。

 オーナーの広島健二さん(56)は大磯町出身。藤沢駅で乗り換え、小田急線で通った大学時代、アルバイトでたこ焼きなど軽食の調理法を身につけた。最初に店を開いたのはJR辻堂駅近くのスーパーの一角。3年ほどで傾きかけた。

 引っ越し先を探して今の店に行き着いた。厨房(ちゅうぼう)兼カウンター部分が畳3枚ほど、客の待合場所や冷凍庫3台が並ぶその奥まで含めても6畳一間ほどの広さだ。

 急行は止まらないが、団地や高校が近い。鉄板で焼きそばやお好み焼きをつくり、バブル経済のころは「売れて売れて仕方ない」ほど繁盛した。

 だが、バブルがはじけるころ、大手ハンバーガーチェーンが進出し、コンビニも次々にできた。

 メニューを絶えず変化させて、立ち向かう日々が始まった。もともと、ポテトはあった。さらに、強い印象を与えようと揚げアイスを始めた。

 今では売り上げの6割方を占める揚げとり皮は客からの提案だった。広島さん自身は昔から肉をまったく食べない。揚げ具合や味を試行錯誤し、知人に味見をしてもらって主力に育て上げた。AとBでは同じとり皮でも部位が異なるが、その違いは「企業秘密」だという。

 以前は月曜日定休だったが、ハンバーガーなどと競合するようになった15年ほど前から午前11時から午後11時まで、年中無休に。風邪で起きられない日もあったが、酒は飲まず、無理も避けて暮らして、休んだのは10日に満たない。

 種類を絶えず変えているため、メニューのマス目にところどころ空欄がある。最初のライスもの、しょうゆマヨネーズご飯にカツオブシと漬けものなどをトッピングした「田舎ライス」も今はない。

 客の8割くらいは中学、高校生。「昔は若い子は素直だったけど、キレやすい子が増えたかな」と広島さん。

 「駄目でもともと」と始めた商売が30年。「おいしく食べてもらうのが楽しい。常にメニューは考えているが、毎日は淡々とすぎていく」と力まず続ける構えだ。

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