1基ごとにお経あげ 墓千基移転、3年がかりで 秋田2007年05月19日 秋田市旭北寺町の曹洞宗歓喜寺が、引っ越しの真っ最中だ。約1000基の墓石を約5キロ先の引っ越し先まで少しずつ運んでいる。10年以上かけて約650軒の檀家(だんか)に説明、約3年がかりで移転する計画。敷地が県の都市計画道路の用地に含まれ、立ち退くことになった。
ガガガガ――。 電気ドリルがフル回転する音が墓地に響く。業者が数人がかりで、墓石の土台を砕き階段や石壁を取りはずしている。 墓石はクレーンでつり上げ、2トントラックに積み込む。1日に1、2基を引っ越し先の同市下北手梨平まで運ぶのが精いっぱいだ。 堀口良允住職(65)によると、歓喜寺は1541(天文10)年、同市土崎地区に建てられた。江戸時代前期の1627年ごろ、佐竹藩の命令で他の寺とともに現在地に移ったという。 県秋田地域振興局によれば、県や市は88年ごろ、寺の東西を貫く都市環状道路の計画を立てた。全長344メートル、幅25メートル(歩道付き)。中央部の長さ約110メートル区間が寺の敷地にあたる。 26代目の堀口住職は、代々、お経をあげてきたこの地を自分の代で手放したくなかったという。しかし、「街の発展のためなら」と気持ちを改め、91年ごろから650軒以上の檀家に移転説明会を開いてきた。 「遠くなるとお参りしにくい」などと離れてしまった檀家もいたが、10年以上かけてすべての檀家と話がまとまった。04年ごろから墓石の移設を進めている。 堀口住職は移設の前に、一基ずつお経を唱える。多い日には1日に30基以上を唱える。動かす前に「心(しん)抜き」と呼ばれる供養で墓から魂を抜く。移設後には「心入れ」の供養で魂を呼び戻すという。 江戸時代や戦前は土葬だった。「道路の下に置きっぱなしでは申し訳ない」と、墓の2メートルほど下までこまめに掘り起こしている。 箱に詰められたり、バラバラになったりした「仏様」が、かんざしや煙管(きせる)、昔の硬貨などとともに出てきたという。約1000体。火葬し、移設先の墓の下に埋められた。 新しい寺は今年7月初旬に完成する。本尊は最後に運ぶ。本堂では旧本堂で使っていた花柄の天井板を使い、寺の庭にあった松など数本を移した。敷地面積は約5ヘクタールで約10倍になる。 堀口住職は「逆に考えれば、空気もよく、参拝客らの駐車場も確保できた。これまで通り、皆さんが通いやすい寺にしていきたい」と話した。 同振興局によると、道路は現在、寺の東側約90メートルがほぼ完成した。立ち退きの交渉をしている区間もあり、全体の完成予定時期は未定という。 PR情報この記事の関連情報コミミ口コミ
|
ここから広告です 広告終わり どらく
鮮明フル画面
一覧企画特集
朝日新聞社から |