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「鉄道アイドル」木村裕子さんに迫る

2007年05月22日

 グラビアアイドルで、鉄道オタク――。鉄道関連のCS番組やイベントで活躍する「鉄道アイドル」木村裕子さん(24)をご存じだろうか。部屋の壁一面に鉄道グッズが並ぶ自宅を訪問し、アイドルと鉄道オタクという、二つのキャラクターをあわせもつ彼女の素顔に迫った。(アサヒ・コム編集部)

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イベント用に作った「木村行」のサボを手にニッコリする木村裕子さん

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玄関に入ると、今はなき寝台特急の「方向幕」がお出迎え

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ピンク色の戸棚には、鉄道模型やプラレール、チョロQなどがギッシリ

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ベッドのまわりは「サボ」だらけ。「落っこちてきて、足に当たったときは本当に痛かった」

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日本地図には、JR特急の名前とルートが書き足してある。「北海道に行ってみたい」

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照明のヒモ代わりになっているのが「吊り革」。家でも電車気分が盛り上がる

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女の子ならでは(?)の鉄道職員の帽子コレクション。時にステージ衣装にもなる

 土曜日の昼下がりに、都内のマンションの一室を訪ねた。玄関を開けた途端に目に入ったのは、廃止された寝台特急の方向幕。「明星 大阪」「あかつき 博多」……。居間に入ると、特急列車のヘッドマークや、「サボ」と呼ばれる「行き先」を書いた板が、壁一面にずらり。戸棚には、きれいに鉄道模型やプラレールが飾られていた。

「本当は天井にもはりたいんですけど、背が低くて届かないんですよー」

 屈託ない笑顔は、まさにアイドル。だが、部屋を見回すと、冷蔵庫に「次にナコに帰るときは――」というメモが。「ナコ」とは、鉄道業界用語で「名古屋」を表す。筋金入りの鉄道オタクだ。

 木村さんは、もともとグラビアアイドルとして活動していたが、最近は「鉄道アイドル」を名乗っている。鉄道関連の番組やイベントの仕事も多い。鉄道ライターの横見浩彦さんと一緒に鉄道を乗りつぶす番組が、CS放送で5月から始まった。模型ショーや鉄道会社のイベントに、自前で作った「駅員の制服」で登場する。

「鉄道アイドルって言葉は私が勝手に言い出したんです」

 所属事務所の反応は冷たかった。

「『は?何ソレ?売れないよ、そんな気持ち悪いの』って言われて却下されちゃいました」

 事務所の方針は、グラビア優先。インタビューで「鉄道が好き」と言い続けたが、小さく「趣味・鉄道」と書かれる程度。本格的に鉄道の仕事をしたいと、事務所をやめて、今年2月からフリーになった。仕事がないときには、乗りに行く。3月には、夜行快速に4連泊して、全国をめぐったという。

「最近、『130円大回り』をやってたら、途中で『仕事の打ち合わせを』って電話があって、半分回ったところで泣く泣く東京に戻ったんですよー」

 130円大回りとは、首都圏近郊なら経路を問わず最短区間の運賃が適用されるJRの運賃特例を利用して、隣の駅に行くのにわざわざ関東を一周すること。初乗り運賃(130円)しかかからないが、改札を出ることも特急に乗ることもできない。鉄道オタク界でもハードコアな旅のスタイルだ。そんな話を目を輝かせて語る。

 部屋にあるグッズで特に思い入れがあるのは、JR東海の特急「しなの」のサボだ。

 子どもの頃から、鉄道は何となく好きだったという木村さんだが、周囲に鉄道の話をする相手もおらず、のめりこむこともなかった。それが変わったのは20歳のころ、「しなの」で、車内販売の仕事を始めてからだ。

「サンパーサン(注…しなのに使われる車両形式383系のこと)の車体がもうかわいくて。目(注…ヘッドライト)もなんかくりくりしてて」

 鉄道雑誌を頻繁に読むようになり、車体の形式名や特徴など、知識を吸収した。

 かくして、彗星(すいせい)のごとく鉄道アイドルが誕生した。男性ファンの間には戸惑いも見られる。「本当のオタクなのか?」。でも、そんな疑いの目が、好意的に変わる瞬間があるという。

「イベントの途中で、私が形式名を当てたり、好きな形式を見つけてはしゃいだりすると、こいつ本物だ!って思ってくれるのか、来ている人たちの目が変わるんです。ステージにいて、うれしい瞬間です」

 目標は、魚介類に詳しいタレントの「さかなクン」のようになること。そんな、彼女に悩みが一つある。

「同じ女性の鉄道オタクと話がしたい」という。

「130円大回りにつきあってくれた女友達は、『何でこんなことやってるの』って途中で怒り出しちゃって。仕事だから帰らなきゃって言ったら、すごく喜んでた。はぁ、どこかにいないんですかね」

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