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ブーメランの迫力と不思議さに驚いた

2007年06月05日

 ブーメラン人気が静かな広がりを見せている。ブーメランといえば、幼少時代にテレビで見た秘密戦隊ゴレンジャーや歌手の西城秀樹さんの「ブーメラン、ブーメラン♪」と歌いながら腕と腰を回す姿が思い浮かぶ。実際はどんなものなのだろう。競技大会を取材し、その迫力と不思議さに驚いた。(アサヒコム編集部)

写真昨年の世界大会個人種目で優勝した栂井(とがい)靖弘さん(35)
写真滞空時間の長さを競うMTA種目で、風を読んで大空に向かってブーメランを投げる参加者
写真春季競技会で総合優勝した浜口雅也さん(39)
写真競技や風の強さによって様々な形のブーメランを選んで投げる=いずれも栃木県小山市石ノ上河川広場で

 「シュン、シュン、シュン」と風を切る音と共に青空に弧を描くように手元に戻ってくるブーメラン。V字形やヘの字形、3枚翼のもの、ギリシャ文字のΩ(オメガ)型などさまざま。手作りのものも多い。

 栃木県小山市の思川河川敷で5月下旬に開かれた「ブーメラン春季競技会」(日本ブーメラン協会主催)。西は鹿児島から東は茨城まで男女18人が参加、2日間にわたり5種目で技を競った。

 投げ方は、ブーメランを立て、右投げなら風上方向から右45度に。手から放たれたブーメランは弧を描いて左方向から戻り、両手で挟んで取る。初速は時速100キロにもなり、サングラスと手袋があれば安心だろう。いずれの種目も風を味方につけることが勝敗の鍵をにぎる。

 「戻ってくる軌跡を大空に思い描くのが楽しい」「投げたものが帰ってくる不思議さがいい」と参加者らは声を弾ませた。

 総合優勝した高知の浜口雅也さん(39)は「練習を積み重ねた結果が実りました」。目標は2年に1度開かれる世界大会で日本代表選手として選ばれること。次の大会は来年8月、米国シアトルで開かれる。前大会は北海道旭川市であり、13カ国から約100人が参加した。

 その世界大会の個人別で優勝したのが、大阪狭山市の栂井(とがい)靖弘さん(35)。会社員からプロに転向した経歴の持ち主だ。講習会の依頼は年間20―50件にもおよび、最大で200―300人が集まる。

 受講者らに「ブーメランを知ってますか」と聞くと、ほぼ半数が「投げたことがある」と答えるという。学校などで紙ブーメランを作ったりするためだ。「飛ぶ姿に大人も子供も目を輝かせる。親の方が必死ですね」と栂井さん。

 栂井さんがデザインしたブーメランも売れている。2500―6000円ほどだが、1年足らずの間に約200個売れた。関連本を4冊出したが増刷され、出版社も驚いているという。「ブーメランをもっと多くの人に知ってもらいたい。すそ野を広げ、将来は団体戦で世界一を目指したい」と話す。


画面中央の再生ボタンをクリックすると動画が始まります。

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 ■ブーメラン競技の主な種目

 オージーラウンド=いかに遠くまで飛ばし、投げた位置まで帰ってくるかを競う。「投げ」「戻りの正確さ」「取る」のブーメランの基本を総合的に競う。

 アキュラシー=投げたブーメランがどれだけ投げた位置に正確に戻ってくるかを勝負する。唯一キャッチの必要がない種目。

 ファーストキャッチ=投げては取り、また投げるを5回続け、タイムを競う。

 トリックキャッチ=難易度別で規定されたキャッチの仕方を競う。片手や背中でのキャッチ、最高難易の両足キャッチで高得点となる。

 MTA=滞空時間が長いほど良い。上昇気流に乗れば1分を超えて滞空するが、風に流され戻ってこないことも。

 他にも、飛行距離を競う「ロングディスタンス」や、2枚のブーメランを同時に投げる「ダブリング」、お手玉のように時間差で投げる「ジャグリング」がある。

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