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フォーク酒場、じわり人気

2007年06月16日

 60〜70年代に流行したフォークソングを楽しめる「フォーク酒場」が、東京都内や近郊で増えている。客自らがギターを弾き、歌えるのが人気の秘密だ。かつての「フォーク世代」は、定年が近づいたり、子育てが一段落したり。青春時代に打ち込んだギターを、再び手にする人が増えているようだ。

写真京都から出張中に立ち寄ったという男性がギター片手にオリジナル曲を披露していた=東京都杉並区の「落陽」で

 杉並区のJR荻窪駅近くにあるフォーク酒場「落陽」。30人ほど入れる店内に、小さなステージがある。

 壮年のサラリーマンがネクタイを外し、ガロの「学生街の喫茶店」を歌い始めた。マスターの四元健一さん(51)がギターで伴奏をつけ、客が手拍子しながら、口ずさむ。

 次は銀行員の新郷一夫さん(48)。京都からの出張中に立ち寄った。譜面を取り出し、「オリジナルの曲です」。ギターを握り、失恋の歌をうたった。

 新郷さんは中学・高校時代にバンドを組んでいた。数年前、ギターを買い直した。「子どもが大きくなり、自分の時間ができたので」と話す。

 「落陽」が開店したのは6年前。当時は別の場所にあり、広さも今の3分の1だった。客も数えるほどだったが次第に増え、昨年、思い切って広げたという。

 「ギターを弾ける店がほしいのに、ない。だからつくった」と四元さん。「大人の小さな夢をかなえる店」がモットー。客が自作の曲を披露する「オリジナルデー」や、家族を招待する「家族ライブ」の日を設けるなど工夫を凝らす。

 大田区の「風に吹かれて」は昨年8月にオープンした。70年代に活躍したグループ「ピピ&コット」の元メンバー金谷厚さん(55)が店長だ。

 歌手をやめた後、会社勤めを経て、パン職人になった。近年、歌ってほしいと誘われる機会が増えた。フォーク人気の再燃を感じ、「勝負してみよう」と思った。

 仕事帰りのサラリーマンが多い。カバンからサングラスを取り出し、井上陽水になりきって歌う客もいる。

 同様の店は、千代田区や港区、都外ではさいたま市内などでも開店している。

 一方で「大舞台」で歌いたいという人も増えているようだ。

 群馬県で今年3月に開かれたフォークソングのコンテストには、122組174曲の応募があり、「100曲もくれば」と考えていた実行委員会を驚かせた。

 大手楽器販売の「石橋楽器店」によると、フォークギターの販売本数は横ばい。だが、マーチンなど海外の高額な輸入製品が人気で、「収入のある中高年層が購買をひっぱっている」という。

 ヤマハが昨年9月に新しいフォークギターを発売したところ、年末の売り上げは前年比2.8倍増を記録した。新機種はマイク内蔵型で、ライブ向き。「家で静かにというより、多くの人に見てもらいたい人が多い表れでは」とみる。

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