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駅伝の留学生「強すぎ」規制 いいの?

2007年06月28日

 全国高校体育連盟が、毎年12月に京都である全国高校駅伝で、来年から最も長い1区(男子10キロ、女子6キロ)を外国人留学生が走るのを禁止すると決めた。日本人選手との力の差が歴然としているからというが、疑問視する声も多い。

05年全国高校駅伝の男子1区1.5キロ付近で、日本選手を引き離したケニア人留学生ら=代表撮影

 42.195キロを7区間に分けて走る男子の場合、1区は全体の4分の1近くを占める最長区間だ。昨年の男子のレースも4人のケニア人留学生が争い、上位を独占。4位と日本選手トップとは30秒もの大差がついた。

 「留学生は学校の宣伝のために来日している。高校生のスポーツとしてふさわしいのか」。全国高体連陸上競技専門部の正川澄夫事務局長(東京・橘高教諭)には、駅伝ファンからこんなメールが届く。レース当日は、発着点の京都・西京極陸上競技場にも抗議するファンが毎年現れる。

 5月22日、高体連全国理事会は「外国人留学生の1区起用禁止」を決めた。

 高体連陸上専門部は一昨年、47都道府県の担当者にアンケートを実施した。「国際化で仕方がない」「外国人留学生によって、日本の高校生のレベルも向上している」という容認論もあったが、「現状維持」は7県。大半が「1区起用の規制」に賛同した。「男子は5キロ以内、女子は3キロ以内の区間だけに起用」という意見も7県あった。

 外国人留学生を起用せずに男子で最多の8回優勝した兵庫・西脇工の渡辺公二監督も、規制をもっと強めるべきだと主張する。「3区(8.1075キロ)も規制すべきだ。留学生のいない公立高でも望みを持てるようにして欲しい」

 一方、規制反対派は教育的な側面を訴える。ケニア勢を擁して男子で3連覇した宮城・仙台育英の渡辺高夫監督は「競技をおもしろくするための決定だとしたら、教育的な観点から見て問題。日本人は外国人にはかなわないからあきらめなさいと言っているに等しい」と疑問を投げかける。

 県立校ながら、ケニア人留学生を02年から迎え入れて昨年、32年ぶりに優勝した広島・世羅の岩本真弥監督は「ケニア選手は日本人以上に努力する。その姿がチーム全体の向上につながっている」と話す。

 外国人留学生は、他の競技でも増えている。高体連の調べでは、昨年は32都道府県で男女計293人の外国人留学生が登録された。

 バスケットボールではセネガル勢が注目されている。一昨年の全国高校選抜優勝大会の男子では、ともに身長2メートル台のセネガル選手を軸とした福岡第一と宮崎・延岡学園の決勝になった。優勝20回の秋田・能代工もこの2年はセネガル勢がいる高校に屈している。

 卓球の留学生はほぼ全員が中国出身。全国高校総体に初めて出てきたのは89年で、最近15大会のうち男子シングルスは8回、女子シングルスは11回、中国人留学生が優勝した。「留学生はできればシングルスに起用しない」という規制強化案も一時、浮上したほどだ。

 「留学生が強すぎる」という状況はいずれも似通っているが、日本人の駅伝好き、テレビ中継の視聴率の高さが影響して、駅伝が突出してファンからやり玉に挙がる。「テレビに日本選手が映らない。あれではアフリカ選手権だ」。正川陸上専門部事務局長にはこんなメールも届く。

 駅伝では、女子の場合、最近は日本選手の方が留学生よりもやや優勢だ。だが、この規制で女子も留学生の1区は禁止。

 今後どうなるのか。男子では、来年からは2番目に長い3区に留学生が集まることが予想される。3区で大差がつく展開が続けば、今度は3区規制の議論も出るかもしれない。世羅の岩本監督は「別の区間も規制され、走れる区間がどんどんなくなっていくのが心配」と話す。

    ◇

 全国高校駅伝にケニアからの留学生が初めて出場したのは92年。仙台育英の男子ダニエル・ジェンガ(現ヤクルト)らが出場。93年には同校が男女とも2人ずつのケニア留学生を起用して両者ともに優勝した。卓球でも中国人留学生の活躍が目立ち、高体連では規制を検討。94年に「外国人留学生はエントリー人数のおおむね20%以内とする」という規則をつくった。高校駅伝では95年から男女とも出場は1人に。バスケットではコート上に1人、サッカーは2人、卓球では団体戦は1人、留学生同士でダブルスは組めないというルールができた。

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