次は「郵ちゃんだ!」 郵便局を全国1万局以上巡った男2007年08月01日 鉄道ブームの次は、郵便ブームだ! そう意気込む人がいる。北海道から沖縄まで「局巡り」にプライドをかける男の物語とは。(アサヒ・コム編集部)
全国津々浦々にある郵便局。これを趣味で1万局以上巡ったというのが、NHK職員の佐滝剛弘さん(47)だ。その目的は、郵便局の「風景印」の収集だ。 風景印とは、直径36ミリの円形スタンプで、その中に、郵便局名と付近の名勝、名産の絵が描かれている。たとえば、鎌倉郵便局の風景印には大仏が、横浜ランドマークタワー郵便局のものには、ベイブリッジや帆船が登場する。 観光地に置かれたスタンプと違うのは、これが消印というれっきとした「公印」であることだ。正式には風景入り通信日付印と言い、切手やはがきにしか押すことはできない。全国には郵便局は、集配局から簡易局まで2万数千カ所あるが、そのうち1万1千数百局に、この風景印がある。 佐滝さんが風景印を集め始めたのは、中学生の頃。大学に入ってサイクリング部に入り、自転車で全国を巡るようになると収集も本格化した。実は風景印は、局に封筒を送り、押して返送してもらうこともでき、その方法で集めている人もいる。だが、佐滝さんは「自分の足で局に行って集める」「局名の変更、デザインの変更のどちらかがあれば、集め直す」という決まりを自分に課した。 以来、30年。就職後も長期休暇の多くをつぎ込んで、ついに1万1000局を超えた。風景印を収めたファイルは、厚さ3センチのものが10冊以上ある。残るところは、およそ300。しかし、そのうち約50カ所は、離島や山頂など「簡単には行けない所」にある。「少なくともあと5年はかかる」と話す。 佐滝さんは、最近の鉄道ブームの中、次は「郵便ブーム」が来てもおかしくないと語る。実は佐滝さんも鉄道好きだ。国鉄全線乗りつぶしの体験を書いた宮脇俊三氏の名著『時刻表2万キロ』を愛読したという。それにならい「郵便界にも、同じような本が必要」と今年6月、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)を出版した。本では、鉄ちゃんにならって「郵ちゃん」という愛称を提案している。 実は、鉄道趣味における「乗りつぶし」と、郵便局をめぐる「局巡り」はノリがとても近い。しかし「制覇」の難しさは、局巡りに軍配が上がる。郵便局は前述の通り、離島や山頂にも点在し、さらに多くの局は平日の昼間しか空いていないのだ。 だから、佐滝さんの「局巡り日」には鉄則がある。午前9時から午後5時まで、食事はしない。トイレも出来る限り控える。目いっぱい回るためだ。「渋滞や局舎移転で、予定より時間がかかることがある。昼ご飯を食べなければ間に合ったのに……ということがあったら悔しいですから」 全国の「郵ちゃん」の不安の種は、何と言っても郵政民営化だ。効率を追求すれば、風景印はなくなってしまうかもしれない。 先例は国鉄の民営化だ。駅のスタンプは、国鉄時代の全盛期には、全国でほぼ統一した規格で作られていたが、現在は各社バラバラ。地域によっては、ほぼ全滅したところもあるという。 「最近、郵政公社の西川総裁から『本を読んだ。ぜひ話がしたい』と連絡があり、実際にお会いしたんです。そこで、風景印をなくさないで欲しいとお願いしました。理解してもらえたとしたらうれしいのですが」 PR情報コミミ口コミ
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