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風間さん、アウトバーンを疾走

2007年07月27日

 ◆7月22日 日曜日

写真ポーランドに入った途端、現れたカラフルな家
写真転がる麦わらロールを見るとのどかな気分になる
写真日曜日、家族全員で郊外に出かけるポーランド人。こんな光景と久々に出会った
写真これからシベリアに向かう根笹貴之さん
写真アウトバーンの入り口はドイツ国境だった
写真雨中は怖いアウトバーンの走行
写真街中がきれいで清潔感があるドレスデンの市街を走る

 今日は日曜日、世界文化遺産の街での目覚め。外の路面電車の通る音で目が覚めた。かつての社会主義国を走っていた武骨で地味な路面電車も今では派手な広告をボディーにいっぱいにつけた観光客と市民の足である。

 午前8時、複雑な迷路のようになっている石畳の市街地を抜けて、ポーランドとの国境へ。ロシア/ウクライナの時よりも雰囲気的に緊張感はない。ウクライナ側で欧州連合(EU)諸国共通の車保険に入り両替をし、イミグレーションへ。両国の出入国手続きはおよそ一時間で終了した。人がつくった国境のお陰で、国は違っても変わらぬものは、青く広い空と延々と続く麦畑である。ロシアではまだ収穫前だった麦だが南のポーランドまで来ると既に収穫を終えて、わらはロール状になって畑に無数に転がっていた。どこの国でも農業が生活の土台だ。

 国道脇の木陰で一休みしていると、地元の少年が自転車に乗って通りかかった。「どこまで行くの?」「ずっとバイクで?」と質問する態度に、大人と子供の「壁」がない。

 ごくごく普通の会話がなんの問題もなく成立してホッとした気分なのだが、半面、少年たちの大人に対する恐れや敬意のようなものも、それとは引き換えに無くなっているような気がして、複雑な気分だった。

 得るものがあれば失うものもある。日本もそうだが今の時代の共通課題かも知れない

 国境から290キロ、人々の家の屋根は赤や青色に変わり、行き交う車は格段にピカピカになった。午後6時、旧ポーランドの首都クラクフの街に着く。

 やはりここも世界文化遺産の街である。街の中心となる中央広場には世界中からやって来た観光客がざっと数えても1万人はいただろう。音楽を楽しみ、お茶や食事、買い物をしながら誰もが皆、うれしそうだった。

 同時に、この日から使用できるようになったユーロも含めて、お金が財布からどんどんと飛ぶように無くなった。物価上昇はユーロの課題だ。

 本日の走行384キロ。

 

 ◆7月23日 月曜日

 朝の出発で面白い日本人に見送られた。バイクで現在世界一周4年目、元学校教師の根笹貴之さん(37歳)。僕たちとは反対にこれからロシアを東に横断して日本に帰る計画だ。これまでに10万5000キロを走ったという荷物満載のバイク(ジェベル250)と、ヨレヨレのライダースーツの根笹さん。情報の希薄なシベリアの事情をこちらが教えるということでホテル前で会ったのだが、それよりも、プレゼントしてあげた梅干し1パックとカロリーメイト1カートンの方がもっとずっとうれしそうだった。

 「気をつけてね!」と、どっちのせりふだか分からないような言葉を互いに交わして別れたが、ホテルの玄関から手を振って見えなくなるまで見送ってくれた彼の寂しそうな姿がとても印象的だった。反対の立場なら自分もきっと同じようにしたに違いない。

 彼にとって、我々との別れはきっと懐かしい日本とのしばしの別れと同じだったのだろう。Good Luck! 無事に帰って来てほしいものだ。

 さて、こちらはクラクフの街からA4(オートルート)で一路WRLCLAW方面へ。そして300キロを走ったところでE40(ユーロルート)に乗り換えてドイツの国境へ。ここからがアウトバーンへの入り口となるイミグレーションでは、予想していた通りの簡単なパスポートチェックだけで難なく通過し晴れてドイツの「風」となる?

 そして、あこがれのアウトバーンの走行。13000キロを走り抜いたマジェスティも、ここは一つ強気のフルスロットルで駆け抜ける。超フラットの路面は通常のアスファルトではなく、凸凹やゆがみのないコンクリート製。左側の追い越し車線をアウディーやBMW、メルセデスといったドイツ車が高速でぶっ飛んで行く。

 その姿は、つい昨日までシベリアの悠久の時を刻む自然と語り合って来た自分にとって、誰にも止めることの出来ない文明の進化と人間の想像力のベクトルが、まるで音速の速さで駆け抜けて行くようにも映るのだった。

 辺りは広々とした畑、丘の上には絵はがきのように美しい農家のたたずまい。そして、あちこちに林立する風力発電のプロペラ。見事なまでの農業と工業の両立、世界でもトップレベルの環境社会への積極的な取り組みが実っている。

 同じく世界に冠たる自動車産業の技術水準を持ちながら、農業にかかわる食料問題、国造りや文化の育成など問題が山積する我が日本ののことについて、しみじみと考えさせられた。午後19時30分。美しい街ドレスデンに到着する。本日の走行470キロ。

 ◆7月24日 火曜日

 ドレスデンから南へ540キロ。A4からA72に入り、A9のアウトバーンをひた走ってミュンヘンを経てドイツ西南部に位置するムルナウの街に着く。

 途中のガソリンスタンドでガソリンを給油してがくぜんとした。昨日までのポーランドでは1リッター約190円ほどだったガソリンが、ドイツではリッター当たり250円以上になった。バイクのマジェスティに毎回給油するガソリンが10リットル前後だから、1回満タンにする度に約2500円が飛んでゆく。ガソリンの高騰はフランスもオランダもイギリスでもユーロ圏はみんな同じだと聞いたが、確かに高速道路のサービスエリアのランチでも、食べたいもの1品とコーヒーを頼んで代金は10ユーロ(約1700円)近かった。少し昔の3〜4年前まで、確か1ユーロは120円前後だったと記憶する。

 明日はいよいよ第二の訪問先、ムルナウのトラウマセンター(外傷センター)を訪ねる。

 本日の走行560キロ。

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 風間さんのコラムは、アサヒ・コム「愛車ページ」でもお読みいただけます。

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