決死の体験入隊 ビリー隊長は強かった2007年08月08日 腕をブルブル回し、足を蹴(け)上げる。褐色の筋肉に光る汗。華やかなエアロビとはひと味違う。米軍のトレーニングから生まれたという大評判の「ビリーズブートキャンプ」を試してみた。(アサヒ・コム編集部)
届いた箱にはDVD4枚と、取っ手の付いたゴムひも(ビリーバンド)が入っていた。14700円。7日間試して、体重、体脂肪率などの変化を記入して送ると、5000円がキャッシュバックされる。元値は高いが、気前がいい、ような気がする。 記者は44歳。10年以上、スポーツとは無縁、腹のたるみも気になる。これをやれば腹筋が割れて「ちょいワル」かも。そんな期待が高まる。 自宅の居間。テーブルを隅に寄せて、早速、DVDをセットする。1枚目は基本プログラムで、50分のコースだ。 「ご自身のペースで行ってください。途中で気分が悪くなった場合は速やかに中止してください」。そんな注意書きの後、ランニングシャツに短パンのビリーが語り始める。後ろには男女約10人がサイドステップを踏んでいる。 「準備はいいか?。体力に自信のない初心者はバンドは使わなくてOKだ。バンドを腰に巻いて、ウオームアップだ」 〈あれっ、ゴムは使わないのか?〉 サイドステップをしつつ、胸の位置で腕を左右に大きく開いては閉じる。その繰り返し。ビリーが声をあげる。「いいぞ、その調子」「声をあげろ」 〈はい、はい、楽勝だ〉 吹き替えはなし。字幕を目で追い、画面に合わせて体を動かす。続けざまに屈伸、スクワット、腕立て伏せ、開脚での前屈、座って脚を交差させ前屈……。体中から汗が噴き出す。休みなし。とにかく暑い。 そして、またスクワット。 「腰と脚に血を巡らせて、ヒップを鍛える」「声を出せ。その調子」 〈これはきついぞ。スクワットばかりじゃないか〉 続いて、腰を落とし気味にして、片脚を横につき出し、両腕を開く運動。奇妙な動きだ。 「バタフライだ。ももに効く」 〈チョウチョ?〉 さらに、スクワット状に腰を落とし、水平にした腕を上下にブルブルと振る。 〈何これ? またスクワット?〉 「三頭筋に効くんだ」 〈腕より、脚が痛い〉 「今度は前で回して」 〈だから、脚が痛いって。くそっ、暑い〉 「声を出せば力がわき出てくる」「ここはブートキャンプ。絶対に諦(あきら)めない。オレについてこい」 〈何言ってんだ、脚痛てぇ。我慢できない〉 「疲れたら休んでいい。でもあきらめるな。いくぞ」「スクワットをもう1セットだ。ももの裏側を鍛えよう」 〈えぇー、またか〉 「腹を引き締めろ」「もう1セットだ」 〈あぁ、もう、だめ〉 DVDを止めた。開始から約15分。初日は完敗だった。 ◇ 雪辱を目指した2日目。前日の段階をなんとか越え、バンドの登場だ。だが、すでに脚にビリビリときている。 バンドの先端の輪に足をかけ、取っ手を握る。まずは行進。腕の上下運動。続いて、片足を広げ、腕を広げるバタフライ。さらにスクワット状に腰を落とし、広げた腕を肩から上げるミリタリープレス。ボクシングのジャブ……。 バンドの力で腕が上がらない。肩がじーんとしびれる。噴き出した汗が床に飛び散る。 〈あぁ、きつい〉 次はキックだ。股を開いた状態から横にステップして、腰の高さまで足を蹴上げる。だが、足元がふらつき、テレビのようには上がらない。 〈どうしてみんな出来るんだ?〉 さらにボクシングのワンツーパンチ、腕をグルグル回すスピードバッグ……。腕の感覚がまひしてきた。 「オレの言うとおり、筋肉を意識すれば、効果は確実。人生だって変わる。ブートキャンプは自分自身を変える場所だ」 〈変わらなくていい……〉 さらに、左右に素早く移動しながらキックとジャブの組み合わせ。テンポについていけず、足がふらつく。 〈もうダメ、絶対ダメ。やめた〉 2日目も完敗。時間にして40分足らずだった。 Tシャツもパンツもぐっしょりぬれていた。続ければ、確実にやせるだろう。続けられれば……。 ビリー隊長、あなたは強い。平和主義者の私には、軍隊式は不向きだったということか。太もも裏と肩の筋肉痛はその後3日間続いた。 輸入元「ショップジャパン」のテレビCMでは、ビリーに加えて、「女性版ビリー」のようなエクササイズ「ターボ・ジャム」や、ラテンダンスでやせるという「コアリズム」を流している。いずれもDVDセットで、やはり5000円のキャッシュバック付き。コアリズムのキャッチコピーは、「やせたいなら腰を振れ」だ。 ◇ ◇ ビリーズブートキャンプは、06年7月からショップジャパンが発売。ショップジャパンのテレビ通販やサイトのほか、ネット通販の「楽天市場」「YAHOO」、一部量販店でも販売。「楽天市場」の07年上半期の売り上げランキングでは、PC、携帯の両方で1位になった。 ショップジャパンを運営する「オークローンマーケティング」によると、購入者は20〜30代の女性が中心で、通常のダイエット商品とは異なり、男性の支持も高い。6月のビリーの来日で、さらに人気が高まっているという。「楽してやせるダイエット商品の人気が高い中、ビリーズブートキャンプのような体を動かしてやせるダイエットが新鮮に映ったのではないか。ビリー氏のパーソナリティーに好感をもっていただけているのでは」とみている。
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