ポケット糖度計、140カ国にユーザー2007年08月14日 「うまいは甘い」というキャッチフレーズもあるが、健康志向の広がりに伴い、消費者の糖分に対する感度は鋭くなる一方だ。スーパーの果物売り場では、値札とともに糖度と書かれた表示が欠かせなくなっている。気になる数値を瞬時に読み取る計測機器を開発したアタゴ(本社・東京都板橋区)は、この分野で売り上げ国内トップを走る。
同社の工場は、創業者である雨宮喜平治氏(故人)の故郷の埼玉県寄居町にある。そこで生産される主力商品が、ポケット糖度計だ。携帯サイズで、手軽に食品の糖度を計測できる。 どれくらいの糖度があるのか。量販店で購入したキウイで試してみた。商品には糖度13との表示があり、実際に計測してみると「12.7」Brix(ブリックス、内容量全体に占める固形分のパーセント濃度)という数字が出た。「精度はプラスマイナス0.2%ですから、ほぼ正確な表示ですね」と自信たっぷりに話すのは川澄英明工場長(65)だ。 国内の糖尿病患者は厚生労働省の調べによると、現在700万人にのぼると推計される。糖分控えめが望ましい人にとって、同社製品の存在感は増しており、売上高はここ数年20億円前後で堅調に推移している。 ■ 世界140カ国に販売されているという同社の濃度計類は、糖分をはじめ、塩分、たんぱく質、アルコールなどの濃度や希釈倍率、酸度など様々な成分の測定が可能だ。果汁やシロップ、ラーメンスープなどの食品はもちろん、石油化学製品、金属加工品、薬品など応用分野は多岐に及ぶ。 04年のアテネ五輪では、ドーピング検査の尿素分析に同社製品が使われたことがある。光の屈折現象を応用している濃度計は、屈折計とも呼ばれる。水の入ったコップに差し込まれたストローは、砂糖を加えるとさらに曲がって見える――。この原理に基づき、屈折率から溶解物質の濃度を検出するシステムがつくり上げられた。 ■ 濃度計のルーツをたどると戦時中に行き当たる。当時、台湾で栽培されていたサトウキビの糖度を測るために使われていたのがドイツ製の屈折計。これを東大農学部の教授が日本に持ち帰り、国産品の製造開発を奨励したのが始まりとされる。 昭和40年代まで日立、東芝なども生産していたが、採算面から撤退。現在残っているメーカーは戦前からのアタゴと、もう1社しかない。 国内シェアの8割以上を占める同社だが、ポケット型で2万円程度することから食品や薬品メーカーなど業務用が中心とあって、個人向けの市場開拓が今後の課題となっている。米国に支社、コーラが清涼飲料水市場の大半を占めるインドには販売会社を設立するなど、世界市場を視野に入れた販路開拓にさらに力を入れる方針だ。 社名のアタゴは喜平治氏の出身地の地名から取るなど、同社と寄居町との結びつきは深い。町内には社名を冠した体育館もある。だが業容拡大のため、近く町外へ工場移転の計画がある。3代目となる社長の秀行氏(36)は「お世話になった町を離れるのはつらいが、よりスケールアップした姿を見せることで恩返ししたい」。 PR情報この記事の関連情報コミミ口コミ
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