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水素ロータリーエンジン車に乗ってみた

2007年09月04日

 マツダは2006年2月から水素自動車をリースしている。「RX―8ハイドロジェンRE」。今年、発売40周年を迎えたロータリーエンジン車の「未来形」だ。水素が燃料なので、排ガスは無害な水蒸気のみという。環境にやさしいスポーツカーに乗ってみた。(アサヒ・コム編集部)

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RX―8ハイドロジェンRE

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運転席には水素とガソリン、両方の燃料計。ガソリンはノーマルのRX―8と同じタンク容量

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青いボタンを押すと、水素とガソリンが切り替わる

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マフラーからでる水蒸気は無臭

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水素用の供給口(上)と通常のガソリン給油口(下)

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開発を担当した柏木章宏さん。各地の講演会でも活躍している

 横浜市にあるマツダR&Dセンター横浜。目の前に現れたクルマは、どう見ても普通のRX―8。ボンネットを開けても違いはわからない。「『普通のクルマだね』とよく言われます」と担当者が苦笑する。ただし、運転には水素エンジン取り扱い講習の受講が必要だ。

 助手席に乗り込み、研究所周辺の市街地を走ってもらう。電気自動車のモーター音ではない、普通の排気音が心地よい。ガソリンと水素両方の燃料タンクを搭載しており、ボタン一つで切り替えが可能だ。

 水素走行時の馬力はガソリン時の50%程度。上り坂での加速で違いが分かったが、日常走行では問題ないレベルだ。走行可能な距離は水素だけで100km、ガソリンと合わせると640km程度だという。

 同社のロータリーエンジンと水素の相性のよさは、開発過程で偶然、気づいたという。水素はガソリンより燃えやすく、吸気と燃焼を同じ空間で行う一般的なレシプロエンジンでは、高温によって予期しないタイミングで燃えてしまう。ロータリーは吸気室と燃焼室が分離しているため、点火プラグで着火されるまで燃焼することはない。

 開発を担当した柏木章宏さんによると、水素を利用して走るクルマは、水素で発電して走る「燃料電池自動車」と水素そのものを燃料とする「水素エンジン車」の2種類。前者はエネルギー効率に勝るが、燃料電池の材料としてレアメタル(希少金属)を必要とするなど高コスト。後者はガソリン車用の部品が流用でき、低コストだという。

 このクルマは低コストの後者に属す。とはいえ、リース料金は月額約40万円。燃料電池自動車に比べると半分以下というが、決して安いとは言えない水準。現在リースを利用しているのは、経済産業省や自治体、企業などで、全国で走っているのは8台だ。

 水素自動車の普及には、水素スタンドも必要だ。現在は全国に十数カ所。経済産業省の「水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)」が運営する無料の水素スタンドが中心だ。しかも、そのほとんどが首都圏に集中。政府目標は2020年に3500カ所だが、現在のガソリンスタンド約5万カ所に比べ、いかにも少ない。

 「水素は危険」というイメージを持つ人が多いのも悩ましいという。水素タンクは高気圧に耐えるようアルミやカーボン、樹脂を組み合わせてつくられており、一般的なガソリンタンクよりも頑丈だという。

 「衝突事故を起こした際の危険性は、市販されているガソリン車より低いぐらいなんですが……」と柏木さん。水素自動車を取り巻く周辺環境の克服も課題となっている。

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