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旧大日影トンネル、遊歩道に

2007年09月03日

 山梨県の旧勝沼町(現甲州市)に1世紀前に建設されたJR中央線の旧大日影(おおひかげ)トンネルが、10年間の永い眠りから目を覚ました。並行する新大日影トンネルの開通で閉鎖されたが、遊歩道として生まれ変わり、8月29日に開通式が行われた。壁面は重厚なれんがで覆われ、昭和初期まで現役だった蒸気機関車のすすがこびり付いたまま。鉄道用トンネルを転用した遊歩道としては「おそらく全国で最長」(甲州市)という。

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遊歩道として整備された旧大日影トンネルの内部=山梨県甲州市勝沼町で

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明治35年の大日影トンネル貫通式を伝える写真。市内に住む工事関係者の子孫が保管していた=甲州市提供

 開通式には、地元のワイン関係者ら招待客約100人が駆けつけた。田辺篤市長ら4人がテープカットを行い、旧大日影トンネルの新たな門出を祝った。地元関係者は「新たな観光名所に」と期待を膨らませている。

 旧大日影トンネルはJR勝沼ぶどう郷駅近くにあり、全長1367.8メートル、幅3.6〜3.7メートル。高さ4.9メートル。1903(明治36)年に開通した中央線八王子―甲府間の延伸工事に伴い1897(同30)年に起工、1902(同35)年に完成した。周辺に急な川谷があり、難工事だった。

 れんがは「英国式」と呼ばれる配列様式を採用。地盤の弱い一部には花崗岩(かこうがん)をはめ込んだ。大量のれんがを確保するため、現在の同市塩山牛奥に専用のれんが製造工場を設けたほどだった。

 旧大日影トンネルは中央線の複線化で1968年に下り線専用トンネルに。新トンネルの開通に伴い、97年に94年間の役目を終えた。

 JR東日本は05年、旧勝沼町に無償譲渡。合併で誕生した甲州市は市内に点在する近代化遺産を生かした観光拠点づくりに乗り出し、同時に譲渡された全長約1100メートルの旧深沢トンネルをワインを貯蔵する「ワインカーヴ」に整備。旧大日影トンネルは国のまちづくり交付金1億円を得て、遊歩道に衣替えした。

 遊歩道は実際に使われていたレールの両脇に設置。わき水を流すレール下の珍しい水路のほか距離標や勾配(こうばい)標、保線の作業員が利用した大小3種類の待避所など、基本的に当時のまま保存した。

 トンネルの開通やスイッチバック式だった旧勝沼駅(現ぶどう郷駅)の開業が勝沼に繁栄をもたらしたとされている。れんが積みの施工技術は、その後のワイン工場や貯蔵庫、日川にかかる祝橋(通称眼鏡橋)などに生かされた。市の観光担当者は「鉄道ファンの方だけでなく、訪れる多くの人に歴史へ思いをはせてほしい」と話している。

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