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「幻の新橋駅ホーム」で見た謎の15センチ

2007年12月01日

 東京メトロ銀座線の「幻の新橋駅ホーム」が1日、一般に公開された。アサヒ・コム記者は現地におもむき、多くの謎を発見した。関係者に疑問をぶつけてみたが――。(アサヒ・コム編集部) 〈写真特集〉はこちら

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幻の新橋駅の壁にある駅名標 タイル作りだ

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ホームと電車の床に間にある「謎」の段差。これを補うために、電車の床にはスロープの板が置かれている。

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車内から見た段差。スロープの高さは15センチはある

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丸いアーチ型の柱が残る。〈写真特集〉はこちら

 現在の新橋駅の改札口を出て、8番出口へ向かう通路の途中。「関係者以外立入禁止」と書かれた銀色の金属製扉の向こうに、幻のホームは静かに眠っていた。

 2本の線路の両脇にホームがある「対向式」。だが、ホームとして残っている部分はごくわずかで、会議室、駅員の休憩スペース、トイレなどが、ホームの上に「建てられて」いた。ただし、ホームにひかれた白線や、やや丸みを帯びたデザインの天井や柱はしっかり残っている。

 「橋新」と、今と逆方向に書かれた駅名標は、細かいタイルの集合でできている。当時の気合の入りようがわかる。

 ホームには、銀座線開業時の1000形電車を模した黄色いラッピングに包まれた電車が止まっていた。わずかな幅しか残っていないホーム上が歩きにくいため、通路の役目を果たすためだ。

 ただ、電車の床とホームの高さに約15センチもずれがある。ホームが低いというのは時々あるが、ここはホームの方が高い。東京高速鉄道の電車は、床が今よりも高かったのだろうか。

 「いや、そんなことはありません。両社の電車は、ほぼ同じ形で作られていますし、直通にあたって他の駅のホームの高さを変えたという話は聞いたことがありません。構造も手をつけていないはずで、ここのホームだけがなぜ高いのかはわからないんです」(東京メトロ広報課)

 他にも、改札口がどこだったのか、地上の出口がどこだったのかも不明。実は、駅の設計図などが現存していないのだという。

 「(浅草―新橋駅間を開通させた)東京地下鉄道の資料はきちんと残っているのですが、このホームを作った東京高速鉄道の資料はほとんど残っていないです」(同)

 「幻」ゆえにさまざまなうわさが流れてきた。

 よく言われていたのが「幻のホームと今のホームを隔てていたのは、壁一枚だけ」。この点は、入ってみると事実とは違った。幻のホームは、地上にある東海道線よりも西側で、現在のホームと比べても、少なくとも数十メートルは離れている。

 地下の深さも異なる。現在のホームは地下2階部分にあり、地下1階部分はコンコースだ。幻のホームは、このコンコースと全く同じ高さだった。

 ――全く同じ高さ。よく考えると、先ほど通った8番出口を続く通路。あの金属製の扉を入ってすぐの床面には、ホームの白線があった。とすると、この通路は幻のホームの一部分だったと考えるのが自然だ。さらに、開通当時の朝日新聞に載っていた断面図をみる限り、現在の西新橋方面の改札口のある辺りも、幻のホームの一部であった可能性が高いと言えそうだ。

 線路部分は、現在も夜間に電車を置いておく車庫として使われている。銀座線は、郊外に車庫を持つ他の路線と異なり、大きな車庫が沿線にないため、ホームが使われなくなってからも、重宝されているという。

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