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念じるだけでセカンドライフ内を縦横無尽 慶大が実験

2007年12月17日

 ホストコンピューターがつくった仮想世界を人間が縦横無尽に動き回る映画「マトリックス」。そんな世界を現実に近づけるシステムを慶応大が開発し、一般公開した。(アサヒ・コム編集部)

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頭の中で「歩こう」と念じるだけで、3次元仮想世界「セカンドライフ」内で分身が歩く。訓練が必要で、人によって操作の上手下手はでるという

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頭の6カ所に脳波を感知する電極を着ける。将来的には目を閉じると、分身が宙に浮いて自在に飛べるようにするという

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頭からとらえた微量の電流を増幅させる装置

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セカンドライフ内のアバターを動かすばかりでなく、駆動型の義手も動かすことができる

 東京国際フォーラム(東京都千代田区)で5日に開かれた「第8回慶応科学技術展」。理工学部生命情報学科富田・牛場研究室のブースでは、研究に携わる学生の橋本泰成さん(23)が、六つの電極を頭に着けてパソコンの前に座った。

 パソコンの画面には米リンデンラボ社が展開する3次元仮想空間「セカンドライフ」の世界が広がる。「アバター」(分身)が立っている。橋本さんの分身だ。頭につけたセンサーでこのアバターと一体化してセカンドライフ内を動き回ろうというわけだ。

 橋本さんが口を真一文字に閉じ、画面をじっと見つめる。自分の手足は一切、動かさない。頭の中で念じるだけだ。

 アバターが動き出した。「歩こう」と念じたのだ。前に進んだり、左右に方向転換したりして散歩を楽しむ。たまに仮想世界の海に入ってしまうハプニングもあった。

 橋本さんは「1時間ほど続けると精神的に疲れます」と話す。

 このシステムは、行動しようと考えると大脳皮質運動野が発する微量の電流を1センチ角のセンサーが感知。100万倍に電流を増幅し、特殊な回路に信号を送る仕組みだ。信号を分析して前進、左折、右折ととらえ、キーボードの矢印キーに割り当ててセカンドライフ側に伝える。

 もともとは、牛場潤一専任講師らが8年前、脳神経のメカニズムの研究を始めたのが始まり。昨年4月に研究をセカンドライフに応用することを思いつき、1年がかりで完成させた。

 牛場講師は「基本的には、脳卒中などで手足が動かなくなった患者さんが、このシステムを使ってリハビリをするために開発した」と話す。システムは駆動型の義手にもつなぐことができる。動かそうと考えて、義手が動くのを見ることで脳が刺激され、手足を動かすリハビリのトレーニングになるという。

 業界内では脳に直接電極を埋め込んで実験するなど映画さながらの研究も進んでいるという。牛場講師は「セカンドライフがより現実に近づけば、マトリックスの世界のように、この技術は使われる可能性は高い」という。

 今のところ、操作性に個人差があり、訓練も必要など、使いやすさには課題が残っている。

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