ケーキにカフェオレ、マックも ここは刑務所?2007年12月22日 クリスマス、大みそか、そして正月が近づいた。多くの人々が家族や恋人と温かい食事を楽しむこの季節、それがかなわない人たちがいる。暮れゆく師走と新しい年を、「塀の中」の人々は何を食べて過ごすのか。東北各地の刑務所を訪ねた。
■3食500円 10日、盛岡少年刑務所。「炊場(すいじょ)」という特殊な名称で呼ばれる調理場では、白い帽子と作業着姿の若い受刑者たちが夕食の準備をしていた。入所者約500人の毎日の食事は、調理担当の12人の受刑者が作る。 午後3時過ぎ。夕食が出来上がった。サクサクしたエビカツに「実たくさん汁」、海藻サラダ、米7・麦3の麦飯、漬物。刑務所の食事が「くさい飯」と言われたのは昔話。街の定食屋なら600円はすると思った。 これ、いくらですか? 「副食140円、主食30円ほどでしょうか」と加藤礼次郎用度課長。安い。1日の食費はあらかじめ決められており、1人約500円という。1食ではない。3食だ。 ■年末年始は…… カレー、トンカツ、ラーメン……。東北の各刑務所に人気メニューを聞くと、ほぼ共通した答えが返ってくる。甘いものの人気も高い。「汁粉が出るとパンにたっぷりつけて食べている」(秋田刑務所)という。 季節感もあり、クリスマスにはケーキ、カフェオレ、鳥モモ肉。大みそかには、カップめんだが年越しそばが出る。年始は折り詰めのおせちや雑煮、うなぎのかば焼き(名刺大)やプリンも。 メニューの多彩さは、経費が限られるなか、各刑務所が苦労して毎月新メニューを生み出してきた結果だ。 どこも管理栄養士がバランスやカロリーに気を配っており、単身赴任の刑務所職員がうらやむほどだ。 ■時にはマックも 珍メニューもある。 長期入所者が多い宮城刑務所は6月、「少し社会の空気に触れてもらおう」とマクドナルドのハンバーガーを出した。同刑務所の幹部は「年配の受刑者も多いが、評判はよかった」と話す。 各刑務所とも食事は職員の指導を受けて受刑者が作るが、つまみ食いの誘惑や包丁を扱うこともあり、適性をみて調理担当者を決めるという。 最近は「配膳(はいぜん)の際に不公平感がない」(青森刑務所)ため、牛丼や中華丼の具などでレトルトが増えているという。 宮城刑務所の麓(ふもと)学・庶務課長は「食事は収容者の一番の関心事。ストレスが多い生活だから充実させたい」と話し、こう続けた。「いい食事が出るからといって、刑務所に入りたいと思う人が増えないといいのですが」
【東北の刑務所の「郷土メニュー」事例】 ●青森 ねぶた漬け、ホタテフライ(価格上昇で最近廃止) ●盛岡少年 せんべい汁 ●宮城 芋煮 ●秋田 芋の子汁(里芋) ●山形 芋煮 あなたの口コミ募集中!
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