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死刑って、何だろう? 出版記念イベント盛況

2008年01月27日

 死刑――。あなたはどこまで知っていますか。日本で最も重い刑罰に真正面から向き合った本が1月、出版された。発売を記念したイベントの前売り券は5日間で完売。会場では熱い議論が繰り広げられるなど、反響を呼んでいる。(アサヒ・コム編集部)

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死刑について語り合う森達也さん(右)と姜尚中さん

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質疑応答では様々な問いが投げかけられた

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森達也さん著「死刑」(朝日出版)

 「死刑」(朝日出版)。映画監督で作家の森達也さんの最新作だ。3年以上かけて書き上げたという。

 本書では、刑場が限られた人にしか公開されていないこと、執行の様子が断片情報でしか伝わってこないことなどを列挙。情報が著しく制限されている日本の死刑制度の実体を浮かび上がらせた。

 冤罪元死刑囚や執行に立ち会った元刑務官、元検察官、死刑囚と相対している教誨(きょうかい)師の声も収集。殺人事件の被害者遺族、死刑廃止を訴える弁護士ら、死刑にかかわる人々の思いを紹介している。

 死刑を廃止している州もある米国などを例に、死刑は犯罪抑止に効果がないと森さんは主張する。その上で「社会の安定」や「犯罪被害者の応報感情」など情緒の面から死刑を考え、死刑に存在理由があるのか、問い直す。

 東京都内の書店で1月中旬にあったトークイベントでは、森さんと東京大学大学院教授の姜尚中さんが、「死刑って、何だろう?」と題して語り合った。イベントにはネットを通じて開催を知った学生ら20代の若者を中心に112人が参加。前売り券がすぐに売り切れ、開演前に当日券を求める人が列をつくるなど、関心の高さがうかがえた。

 イベントで森さんは「死刑に対し、国民の側も見たくないという心理が働いている」と指摘。姜さんは「これまで被害者支援を怠ってきたことで、現在は応報感情が強くなっている」と論じた。

 会場から「死刑囚と接している刑務官はどう思っているのか」という質問が寄せられると、森さんは「みんな苦しんでいる。もだえている」と取材時の印象を吐露。姜さんは「普通の人の安心のため過大な負担をかけている」と述べた。

 森さんは「死刑が確定すると、死刑囚との連絡は極端に制限され、何も伝わってこなくなる。犯罪に対する不安や恐怖が強調され、冷静に考えることも難しくなっている。そんな状況から変えていくべきではないか」と話している。

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