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老舗の蔵元、マンションに酒蔵

2008年02月15日

 消費量低下や後継者不足に悩む蔵元が、生き残りをかけて知恵を絞っている。広島市の老舗(しにせ)酒造会社は固定資産税や相続税対策として、マンションの地下に設けた小さな酒蔵で地酒づくりに励む。「地下酒蔵」は口コミで広がり、各地から視察が相次いでいる。酒所の京都では、蔵元が新たなファン獲得のために日本酒のイメージアップを図っている。

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年20回ほどの仕込みを行う「発酵室」。できあがった新酒は約30種類の商品になる=広島市中区で

 広島市中区白島九軒町の10階建てマンション地下にある「原本店」。酒蔵の広さは約140平方メートルで、このうち30平方メートル弱の発酵室に小さなタンクや槽(ふね)が並ぶ。杜氏(とう・じ)で6代目社長の原純さん(48)は妻の純子さん(50)と瓶詰めや出荷作業など全工程をこなし、年に一升瓶換算で約7千本の地酒「蓬莱(ほうらい)鶴」を造る。

 創業は文化2(1805)年。かつて約2千平方メートルの敷地に五つの蔵があった。バブル期の90年、先代社長の祖父が亡くなった。相続税がのしかかってきたため、蔵をつぶして収益の高いマンションを建てる際、「のれんを残したい」とひらめいたのが地下酒蔵だった。

 95年に10階建てマンションの地下に設けた酒蔵には無駄を省く工夫をした。麹室(こうじむろ)はテントやスキーウエアに使われる防水透湿性素材を特注し、簡単に組み立てられる。原さんは「小規模な蔵で『もう一杯』と手の出るような酒を造れれば、日本酒ファンを増やせるはず」と話す。

 原本店を参考にしようと、東北や北陸、関東、近畿などから同業者が月1〜2回は訪れる。岐阜市のJR岐阜駅前の老舗「日本泉酒造」社長の武山広伸さん(65)も駅前再開発に際し、蔵をどうするか悩んでいた01年夏、原本店を訪れた。原さんの姿勢に共感し、翌年、14階建て複合ビルを建て地下に蔵を構えた。武山さんは「生き抜くためのいい選択だった」。

 国税庁鑑定企画官室によると、酒造免許を持つ全国の蔵元は95年から05年までに約400場減り1938場になった。

 都心部で奮闘する蔵元は他にもある。かつては伏見を上回る酒所だった洛中(京都市街)の蔵元「佐々木酒造」(京都市上京区)。専務の佐々木晃さん(37)は「日本酒を飲んだことのない人」をターゲットに昨夏、市観光協会と組んで料亭での食事会を開いた。「こんなにフルーティーな飲み物だとは」と驚く若い女性を見て手応えを感じた。佐々木さんは「歴史に頼って同じことばかりしていたらだめ。時代に合った新しい風を吹き込まないと」と意気込む。

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