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「プチ生活保護」のススメ

2008年02月26日

 「生活保護110番」というサイトを個人的に主宰し、三千数百件の相談に対応してきた公務員が、「生活保護vsワーキングプア」(PHP新書、税抜き720円)をこのほど出版した。本の中で強調しているのは「プチ生活保護のススメ」だ。(アサヒ・コム編集部)

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インターネットサイト「生活保護110番」

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「生活保護110番」には生活保護に関する情報を豊富に掲載

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「生活保護vsワーキングプア 若者に広がる貧困」(PHP新書)

 著者の大山典宏さん(33)は、埼玉県内の児童相談所で働く県職員。仕事とは別に、ネット上で生活保護に関する相談を受け、仲間とともに3500件以上に対応してきた。

 本では、北九州市で生活保護を打ち切られた男性が餓死した事件と、不正受給をする人がなくならない事例を取り上げ、これらが「生活保護=負のイメージ」という印象を広めてしまい、この制度を必要とする人を遠ざけてしまっていると指摘する。

 大山さんは、生活に困れば若者でも受給でき、なるべく早く生活のめどを立てて保護が不要になる状況を生み出す「プチ生活保護」が大切だ、と主張する。

 現状では、若者が申請しても自立を促され、受給できないことが多い。本で紹介されている40代の男性は、「役所はすべてを教えてはくれない。本やネットで勉強を」と語る。彼は失業して家賃を滞納した末、住むところがなくなり生活保護を申請、大家や医師らの助言を得ながら、手続きを進めた結果、受給が認められた。

 失業という不可抗力のケースとは違う例も取り上げた。「不登校から引きこもりになり、親の支えを失ったニート」や「出会い系サイトで知り合った男性と付き合い、妊娠した未婚の母」らにも支給すべきか、と問題提起している。

 生活保護法の条文に「自立を助長する」とあることから、「より多くの利用者に、より高い質の自立を提供すること」が生活保護の目的だと考える大山さんは、困っている人を役所の窓口で追い返すより、生活を立て直して納税をしてもらった方が、結果的に利益が大きいと説く。

 試算では、30歳の男性が5年間生活保護を受けて自立した場合、40歳まで働いた後に体を壊し70歳まで生活保護を受けるより、税収に5200万円の開きがあるという。

 現在の制度は、支給の審査が厳しく、一度受給を始めると長期間そのまま受け続けがちだという。「入りやすく、出やすい制度にするべきだ」と大山さんは考える。

 受給者をサポートする例として、住む家がない状態からの立ち直りを援助するため、6人程度が共同生活できる民家を借り上げている団体の活動を紹介している。要介護老人や未婚の母親らが生活の安定とともに、自分でアパートを見つけて巣立っていく。個人に合わせたきめ細かい支援が効果を発揮しているという。

 大山さんは、ネットカフェなどで暮らす若者たちに「生活保護をひとごとだと考えず、プチ生活保護を自分の問題として考えてほしい」と話している。

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