老人のセックスを笑うな―元高校教師の脚本が映画に2008年02月28日 定年退職した元高校教師が脚本を手掛けた映画「たそがれ」(いまおかしんじ監督)が、このほど公開された。人生のたそがれ時にどう性に向き合うのかを描いた異色作だ。(アサヒ・コム編集部)
脚本を書いたのは67歳の谷口晃さん。三重県での教師時代、30年以上にわたり演劇部の顧問をした。退職した2001年、演劇を本格的に勉強しようと上京し、早稲田大学などの聴講生になりながら、夜はシナリオ学校に通った。2年間「単身赴任」状態で学んだ。 地元に戻ってからは、シナリオを書いてはコンクールに応募した。同世代の「男と女」を形にしようと考えたきっかけは、2年前の同窓会での会話だった。みんな50年以上昔の中学時代に戻り、初恋の話で盛り上がった。この脚本は、「ピンク映画シナリオコンクール」に出した。 「ピンク映画には、作り手の本音が伝わるアングラ芝居のような底力がある。性を扱うことで偏見をもたれやすいが、撮影現場は、とてもまじめに取り組んでいるのも魅力だった」。初めて入選し、映画化が決まった。 「たそがれ」に出てくるのは、職場を引退し、連れ合いに先立たれ、残りの人生を意識しながら過ごしている老人たち。欲望、嫉妬(しっと)、友情、別離。ベッドシーンを盛り込みつつ「老と性」を丹念に描いた。 65歳の主人公が、同窓会で再会した初恋の相手とラブホテルに入るシーン。2人の会話にたっぷりと時間をかけ、性欲を抑えた末に行き着く愛情の深さを表現した。 「僕にぴったりの老人文化を作りたかった」 そう言う谷口さんが教えていたのは倫理。今回の脚本と倫理という学問は「完全に同居している」という。 「仏教もキリスト教も、いかに欲望を制御するかを考えてきた。人間にとって性は取り除くことができない。性と倫理は、矛盾しない」 脚本を書くにあたって、谷崎潤一郎や川端康成らの老人を主題にした作品を読みあさったが、どこか物足りなさを感じていたという。 「老人と構えて考えるのではなく、ちょっとした猥談(わいだん)やストリップ劇場など、ピンク映画のような世界から表現したものがあってもいいのでは」 谷口さんが感じているのは「老人の生き方」の貧弱さだ。 「退職すると余分なものになってしまう。体力も想像力もあるのに、何もすることがない」 深夜に帰宅した親を息子夫婦が怒る場面。玄関に立たされている主人公たちに「老人も生を全うするべきではないか」という思いを込めた。 「たそがれ」はR18指定。ポレポレ東中野(東京都中野区)で公開中。 PR情報この記事の関連情報コミミ口コミ
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