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役場のヨン様、観光・物産をPR

2008年03月24日

 熊本県あさぎり町職員で、「あさぎり町のヨン様」といわれる中神啓介さん(37)にインタビューした。

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あさぎり町のヨン様

 ――韓国の人気俳優ペ・ヨンジュンさんにそっくり。「あさぎり町のヨン様」と呼ばれ、多くのメディアに登場していますね

 町役場の一公務員ですし、最初は戸惑いました。テレビに出るのは怖かった。タレント扱いのような企画を持ち込まれ、夏なのにドラマ「冬のソナタ」に似せたマフラー姿の演出もありました。「公務員がふざけていいのか」「似ていない」「季節感がない」とおしかりやご指摘の電話をいただいたこともあります。

 メディアへ出るときは前もって企画書を読ませてもらい、町の宣伝になるならお受けしています。業務に差し障りのない範囲で、です。

 ――テレビ出演も役場の仕事同様、町のためだということですね

 ふるさとが好きで役場に入り、青年団で地域おこし活動もしてきました。出演で地元に貢献できれば、と考えました。遠方から役場まで訪ねて来る方もいます。町を知っていただくきっかけになり、ありがたいことです。私はあくまで「導入部」。主役である地域の観光・物産を幅広く紹介するよう心がけています。

 ――メディア登場が急増したのは「冬ソナ」ブームもおさまった07年5月ごろから。人気ぶりをどう分析しますか

 私の人気ではありません。本物のペ・ヨンジュンさんが「冬ソナ」後も日本で根強い人気を保っているからだと思います。おカタいイメージの公務員、しかも町役場のヒラ職員がそっくりさんとして出演し地元をPRすることに意外感はあるかもしれません。

 今年のバレンタインデーで面識のない方からいただいたチョコは2個。みなさんも私が普通の人間とご存じなんだと思います。

 ――似せるための努力はしていますか

 ペ・ヨンジュンさんのイメージを損ねないよう、失礼にならないように気をつけています。5キロ減量し、髪形は似せました。マフラーは「ヨン様」用にもらったものもありますが、眼鏡や服装は前から持っているものです。「冬ソナ」はビデオで見たけれど、鏡の前でしぐさの練習はしませんよ。それと、韓国の言葉はあいさつ程度しかわかりません。すみません。

 ――「ヨン様」を演じるつらさや、うれしさは

 外出時、隠れることができない。コンビニでの立ち読みも気を使います。でも、声をかけてもらえるし、あさぎり町を話題にするきっかけにもなります。町の方々にも励ましの声をいただき、ふるさとの温かさを感じています。

 町をPRするには正しい情報を集めなくてはいけない。町のことを知らない自分を痛感し、町のよさを再発見できました。雪に覆われた山の頂に夕日が当たってオレンジ色に輝き、球磨川の川面に映える景色は、これまでは見逃していたでしょう。町のPRを意識するようになって気づいた、ふるさとの美しさです。

 最近、韓国の女性誌の取材を受け、4ページの特集になりました。ひなまつりや温泉、おかどめ幸福駅など、人吉・球磨の観光名所紹介に2ページを割いてもらいました。韓国のテレビ局から取材の打診もきています。「ヨン様」の本国から私たちの町への観光客が増えればうれしいです。

 ◇控えめで嫌みがなく好感

 似ている。背格好や顔つきが似ていると、しぐさや物腰も似てくるのか。さりげなく胸に手を当てたり、あごに手を添えたり……。ご本人は意識しているわけではないと言うが、何とも「ヨン様」的なしぐさ、物腰だ。

 マスコミから芸能人のような扱いを受ける首長や公務員は少なくない。中神さんの場合、あさぎり町の「広告塔」として目立つ存在ながら、控えめで嫌みがない。そこが好感度につながっているようだ。自らが置かれた状況に戸惑いつつ、楽しそうでもある。見るほうも楽しくなる雰囲気をまとっている。

 ブームが下火になったら、小さな町の物静かな一公務員に戻るのか。それとも、培った人脈を生かしてさらなる地域のPR役となるのか。どちらも似合いそうだ。

 中神さんは独身。プライベートな質問には「ノーコメントとしていただけませんか?」と、柔らかなほほ笑みが帰ってきた。

 ◇なかがみ・けいすけ

 70年、あさぎり町(旧須恵村)生まれ。人吉市の高校を卒業し、91年、須恵村役場に採用される。熊本県地域政策課出向などを経て、現在あさぎり町総務課総合企画班参事。町の将来像を示す総合計画の策定などに携わる。身長178センチ(ペ・ヨンジュンさんは180センチ)。趣味は料理とカメラ。

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