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コミミ口コミレジャー

水車眺め、すするソバ 年1万5千人 主婦の店大人気

2008年05月07日

 ゴットン、ゴトン――水しぶきを上げて水車が勢いよく回り、石臼がたちまち白いそば粉をひいていく。

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川の流れを利用した水車が水しぶきを上げて勢いよく回る。「母さんの会」の林下ユキ子さんは「昔からこうやってそばをひいてきたんだよ」=葛巻町、江口和裕撮影

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森のそば屋

 岩手県岩手郡葛巻町の江刈川(えかりがわ)地区。国道281号を役場から平庭高原に向かって6キロほど行くと、右手にひっそりと水車小屋が立つ。隣には「森のそば屋」。そば粉100%、つなぎに卵と豆腐を使った素朴な味が受け、年間1万5千人が来店する人気ぶりだ。

 地元の主婦たちで「母さんの会」をつくり、92年に開店した。今は40〜80代の15人が、製粉からそば打ち、接客までを切り盛りする。

 この山あいの集落では、昔から脱穀に水車を使い、各家庭で常食のそばを打つ技術をつないできた。伝統を観光に結びつけ、水車とそばを組み合わせて売り出そうと考えたのが、母さんの会会長の高家(こうけ)章子さん(59)だ。「嫁いで来た34年前、ここは一番遅れた地域だった。けれど水車のおかげで、今はこんなに活気があって輝いている」

 自宅だった建物を店舗に提供するなど協力を惜しまない夫の卓範さん(60)は「時代の最後列にいたのに、みんなが『回れ右』をしたら先頭になった」と誇らしげだ。

 そば屋の運営は母さんたちの生きがいになっている。06年の秋、集中豪雨で川がはんらんし、水車が土砂に埋もれた。このときも総出で泥をかき出し、大切な水車をよみがえらせて、2日後には営業再開にこぎつけた。

 母さんたちもだんだんと年をとり、いま、そば打ちの中心は70代。章子さんは、若い母さんたちへの技術継承に力を注ぎつつも、「みんなで力を合わせて、生涯現役で頑張りたい」と話す。(加勢健一)

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