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〈「プレーボール」を聞くまでに上〉 マナーから始めた指導

2006年07月11日

 下関市火ノ見山の高台にある私立下関国際高校。坂原秀尚(29)が監督に就任する昨年8月まで、野球部は荒れに荒れていた。昨夏は部員の不祥事で組み合わせ抽選直前に出場停止。部室の窓は割れ、駐車場に転がっていたバットを誰も片付けようとはしなかった。

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きちんとそろった11足のシューズ。去年は散らかった靴の上に着替えが載っていた=下関市伊倉の下関国際高で

 坂原は東亜大の現役の学生だ。広島の高校・大学を出て実業団で5年間プレーした「3度の飯より、の野球バカ」。高校野球の指導者を志し、教員免許取得のために昨年編入した。

 2度目の学生生活を始めて約3カ月。ユニホームを着ない生活に欲求不満がたまりだした頃、下関国際のことを知った。同じ高台にあり、大学からも見えるその高校が気になりだした。

 1カ月考えた末、名前も知らない校長に手紙を出した。「自分にお手伝いできることがあればやってみたい」。監督はすでに辞任して不在。校長自らノックバットを握って指導していた。即就任となった。

 8月4日。グラウンドで部員たちと初めて顔を合わせた。顔はぼーっとし、Tシャツに短パン姿でボールを握る部員もいた。「この子たちは野球の練習の仕方を知らない」。「荒れ」の背景が見えた気がした。

 生活態度を正すことから始めた。まずは落書きだらけだった部室の壁のペンキ塗りから。秋の大会シーズンを終えてチーム作りが本格化すると、靴のそろえ方、制服の着こなしと、マナーを厳しく説いた。

 「押しかけ監督になんでそんなことを言われなければいけないんだ」。日ごろ意見しなかった部員たちが食ってかかるようになった。1人が辞めると皆が続いた。11人いた部員が、年明けには4人になった。

 朝は午前6時から、授業後は午後9時まで練習する。特に時間を割くのが走塁練習だ。塁間でつまずいてみたり、わざと飛び出してみたり。坂原が実業団で学んだトリックプレー。状況を細かく設定し、走塁や送球を考えさせる。定石を破ることもいとわない。

 二言目には「どうせおれたちは……」と卑下していた生徒たち。坂原は「少しでも相手を上から見られる、自信のよりどころを作ってやりたい」と思う。そのためのマナー指導であり、型破りの実業団野球だった。叱(しか)りつけたあとは自宅アパートに泊め、話をした。

 1年生が多く、昨年のチームより強いとは言い難い。それでも主将の千葉丈士(3年)は「今の方がいい」。「大会が楽しみ」と言う生徒たちの顔には明らかに覇気が見て取れた。

(文中敬称略)

    ◇

 第88回全国高校野球選手権山口大会が15日、県内4球場で開幕する。昨年夏の新チーム結成から1年。出場61校の中には練習に加え、厳しい試練や逆風に耐えて「プレーボール」の声を聞く選手たちがいる。

(この連載は上田輔が担当します)



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