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〈「プレーボール」を聞くまでに中〉 1年生不在

2006年07月12日

 少子化の影響で県内でも学校の統廃合が始まり、柳井、徳山、萩ではこの春、商業高校と工業高校を一つにした「商工高校」が新入生を迎え入れた。校舎はいずれも工業高を使う。だが移行期のねじれで、萩と徳山では商工の新入生が「工業」の野球部に入り、「商業」の野球部員は2、3年生だけで最後の夏に臨むことになった。

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グラブトスでバントをさばくバッテリー。広いグラウンドでまばらな感じは否めない=萩市江向の萩商で

 「そりゃあ寂しいですよ。私も卒業生ですし」。萩商監督の山村尚史(43)がつぶやく。

 1年生のいないグラウンド。選手の大声が響くが、ノックを受ける選手はどのポジションも多くて2人だ。

 学校の統合は昨年11月。「新入部員は萩工が受け入れる」と監督から部員たちが聞かされたのは、1月のある夕暮れの静かなグラウンドでだった。「何でだよ!」。主将の斉藤真平(3年)はその瞬間、心の中で叫んだ。

 しわ寄せは2年生に来た。用具の準備や球拾いから抜け出せない。3年生が引退してから移る工業との統合チームに溶け込めるのか。「2年生のモチベーションが気になる」と斉藤は思いやる。

 「最後の年に甲子園をつかめれば、少しは救われるかもしれない」と山村。いつもは大会が近づくにつれ高まる高揚感。今年はそれに寂しさが混じり合う。

 周南市の徳山商は部員20人。大会が終わると通りを挟んで向かいの徳山工との新チームになる。4月以降、月1回の合同練習はしてきた。徳山商の男子は1学年20人に満たないが、その半数以上が野球部志望で入学してきた。それゆえ、突然の統合にみな反発した。だが冨川昌哉(2年)は言う。「最後だから、逆にチームとしてまとまることができた」

 やや事情が違うのは柳井商だ。統合相手の柳井工には硬式野球部がなく、「柳井商」のチーム名は来年も残る。旧商工時代も含め、夏の甲子園出場3回の伝統が効いた。「少し寿命が延びた気分」と同校OBでもある監督の中内博和(36)。商工の1年生は、授業が終わると約2キロの道のりを通って商業のグラウンドにやってくる。

 共通の悩みは応援だ。商工の校歌と校章は新調され、新入生にとって古い校歌は耳慣れない。すでに統合された吹奏楽部はどちらの学校の応援を優先させればいいのか。

 やがて消えゆくチームで夏を戦う選手たち。「プレーボール」は、終わりへの序章でもある。

(文中敬称略)

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