検索とメインメニューとばして、このページの本文エリアへ検索使い方
現在位置 : asahi.com > 高校野球 > 第88回選手権 > 地方大会 > 山口 > ニュース > 記事ここから本文エリア

〈「プレーボール」を聞くまでに下〉 女子部員

2006年07月13日

 岩川寿那緒(2年)は下関中央工業高校に17人しかいない女子生徒の1人。授業後は48人の男子部員に混じり、白球を追う。

写真

岩川寿那緒選手。髪は伸びたが「今でもたまに男子に間違えられる」と笑う=下関市後田町4丁目の下関中央工で

 6月の宇部西との練習試合。相手のエラーで出塁し、初めて盗塁を決めた。二塁からベンチを見ると、男子部員が沸いていた。「野球を続けてきてよかった」。監督の田中正浩(39)と交わした「1試合で1安打1盗塁」を半分達成できた。

 中学ではソフトボール部。中2の夏、チームで高校野球を見に行って雰囲気のとりこになった。

 高校入学後、体験入部に顔を出した。「男子部員と同じ練習をこなすこと」。田中が示した入部の条件だった。

 練習を終えて帰宅するとぐったりの毎日。だが何よりきつかったのは、男子の中に女子1人いることの所在なさだった。

 ノックでボールを取り損なっても、自分だけヤジが飛ばない。用具を運んでいると「女子の割に力があるんだな」とからかい半分に言われる。

 去年の夏休み明け、「自分を野球部につなぎ留めておきたい」と、妹にバリカンで五厘刈りにしてもらった。もやもやが吹っ切れると思った。

 それでも一度、気持ちが切れたことがある。部室の鍵が見当たらなくなった責任を問われ、荷物をまとめて部室を飛び出した。

 「野球は好きだけど、部を辞めたい」。職員室で田中に申し出た。練習を続けて休んだ。ある昼休み、男子部員たちに部室へ呼ばれた。「悪かった、すまない。お前が辞めたらつまらん」と頭を下げられた。

 日本高野連の規定で、女子選手は公式戦に出られない。生徒会役員でもある岩川は、山口大会ではスタンドで全校応援団の一員として試合を見守る。「試合には出たい。でもルール以前に実力的に無理」。男子と女子が同じ試合に出ることに田中も否定的だ。「基礎体力が違う。試合で互いに遠慮して野球本来の激しさが失われたら、本末転倒だ」

 だが、岩川が入部したことで、プレー以外の部分で男子部員の成長を田中は感じるという。「さりげない気配りをするようになった。それが彼女の一生懸命さに対する応え方だと思う」

 県内の女子選手は岩川のほか、華陵高に高松香奈子(1年)がいる。高松も優勝を狙う強豪校で男子と同じ練習をこなし、大会ではスタンドで声を張り上げる。試合に出られなくても、野球への気持ちは男子と変わらない。

 県高野連は、県内でこの秋開かれる中国大会の始球式で2人に投げてもらう計画を進めている。

(文中敬称略)

ここから広告です
ここから広告です
広告終わり

ここから広告です
広告終わり
▲このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.