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ここから本文エリア いつもと違った第1打席 菰野・稲垣裕也主将2008年08月09日 <三重代表 菰野> 0―4で迎えた9回裏。先頭打者として打席に入った主将の稲垣裕也君(3年)は狙っていた直球が高めに来て、バットでたたきつけた。三塁手の前にゴロが転がる。
全力で一塁へ走った。「絶対に塁に出る」。その一念だった。送球が高くそれてカメラマン席に入った。一気に二塁まで進んだ。稲垣君のこの懸命の走塁がこの日チーム唯一の得点につながった。 「先頭打者で必ず塁に出て、得点してくれるので楽に投げられる」。チームの中心、エースの西勇輝君(3年)は稲垣君に絶対の信頼を置く。三重大会では6試合すべての第1打席で安打。うち5試合では先制のホームを踏んだ。この日も3回に内角にボール気味に入ってきたスライダーをうまくたたき、レフト前に安打を放った。 主将として「何事も率先してやる」と全体練習が終わった後も午後10時過ぎまでティーバッティングなどを続けた。「西が投げれば勝てる」と甘えている部分をぬぐい去りたかった。ユニホームの洗濯などをして眠りに就くのは毎晩午前1時半ごろ。その努力が三重大会で結実した。 だが、甲子園では雰囲気にのまれた。1回表無死三塁のピンチ。打球が稲垣君の正面へ来た。走者が本塁へ走ったのが見えた。「本塁か、一塁か」。一瞬、迷った。迷いを残した本塁への送球は高くそれ、相手に先制点を許した。その裏、安打を放ち続けた「第1打席」で凡退した。 まだまだ実力がないことは、自分でもわかっていた。甲子園では、それをさらに実感させられた。主将としてこの1年、チームをまとめ切れたか、自信もない。 でも、甲子園で2回、塁に出て意地は示せた。全国的な強豪との試合は楽しかった。 そんな稲垣君のことを、戸田直光監督は「三重大会ではよくやった。(仙台育英の投手は)簡単に打てる相手ではないから仕方ない」と思いやった。 |