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「打倒PL」夢破れても 燃えた思い、後輩が継ぐ

2010年07月20日

(高校野球 PL学園2―0今宮工科)

写真試合終了後、校歌を歌うPL学園の選手たちを見つめる今宮工科の冨田翔一主将=南港中央、竹花徹朗撮影

 今宮工科の相手は、昨夏も2回戦で対戦した強豪のPL学園。日付も場所も同じ、7月19日、南港中央球場だ。

 「神様が用意してくれたとしか思えない」。主将の冨田翔一(3年)は試合前、改めてそう思った。

 昨年は0―10で6回コールド負け。一方、PL学園は優勝した。それ以来、「打倒PL」を合言葉に雪辱を果たそうと頑張ってきた。メンバーには昨年出場した13人が残っている。「最高の舞台や」

 冨田は15日にあった1回戦の東大阪大柏原戦で、決勝点になるスライディングを本塁でした際、肩を骨折していた。ただ、チームをこの運命の2回戦に引っ張ってきた。

 試合前、代わって二塁を守ることになった津村信吾(2年)に自分のバッティンググローブを渡した。「オレの分まで頼むで」。思いを預けた。

 1回、2番の津村は二ゴロ。しかし、必死で走り、失策を誘ってセーフに。一塁ベースコーチに立っていた冨田は「オレよりすごいやんけ。行けるで」と声をかけた。

 スコアボードに「0」が並ぶ。左腕エース奥田開(3年)の直球とカーブをPL打線は絞りきれない。PLのエース難波清秀(同)も内角低めに直球を集め、バットに触れさせない――。

 昨夏の敗北後、新チームは、タイヤ引きやティーバッティング、ダッシュの量を2倍に増やした。体の軸を強くしようと、素振りも最低毎日700回はこなしてきた。

 6回。津村が内角低めの直球を中前安打。「冨田先輩が乗り移って打たせてくれた」。チーム初安打だ。ただ、PLもこの回、主砲の勧野甲輝(3年)が、奥田のカーブをレフトスタンドに運んだ。

 均衡が破れて、8回。2死一塁で津村が打席に入った。ファウルを打つと、下半身がつってそのまま倒れた。驚いた冨田が目に涙をためながら駆けつけた。担架で運ばれる津村に「執念を見せてくれた。ほんまありがとう」と呼びかけた。

 2点差で試合終了。負けはしたが、「去年より何倍も近づいた」と冨田は思った。「お前らが打ってくれたことがめちゃうれしい。去年0―10、今年0―2。次はお前たちがひっくり返す番や」と津村に語りかけた。「先輩らの思いを継ぎます」。津村ら1、2年生は練習のため、すぐに西成区にある高校のグラウンドへ向けて出発した。

 涙が乾いた冨田がPL学園のバスに走り寄った。ベンチに置いていた千羽鶴を、主将の吉川大幾(3年)に笑顔で託した。「絶対に甲子園に行ってくれ」。そしてこう思った。「オレたちをここまで育ててくれてありがとう」と。=敬称略(佐藤達弥、宮崎勇作)


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