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僕が監督なら、週2回は休む ダルビッシュの高校野球論

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 全国高校野球選手権大会は今夏、第100回を迎える。宮城・東北高時代に準優勝を経験し、その後、日本ハムをへて海を渡ったダルビッシュ有投手(31)が、高校野球への思いを語った。球児へのメッセージは「頑張らない!」。大リーグを代表する右腕の真意とは。

     ◇

 頑張り過ぎなくていいんです、日本の球児は。何百球の投げ込みとか、何千本の素振りとか、そんなのを頑張っちゃダメなんです。

 東北高では、いわゆる強豪校の練習をみんながしていたけど、僕はしませんでした。納得がいかない練習は絶対にしたくないと強く思っていたので、ウサギ跳びとかそういう類いの練習は一切しませんでした。

 小さい頃から日本人じゃないような考え方を持っていたので、みんなの常識が僕の中では常識ではなかった。誰の色にも染まらず、考えて行動する力が身についたのが、高校時代だと思っています。

 日本の高校野球では、正しい知識を持たない監督やコーチが、自分の成功体験だけに基づいて無理を強いる。そういう側面があると感じます。改善されてきているのでしょうが、壊れてしまう選手、苦しむ選手は後を絶ちません。

 指導者には正しい知識を身につけて欲しい。例えば休養の重要性です。筋力トレーニングは、ほぼ毎日頑張るよりも、週に3日程度は休みながら行う方が結果は上になったりするのです。いまだに冬に10日、夏に5日程度しか休まないような野球部が珍しくないでしょう。僕が監督なら週2回は休むし、全体練習も3時間で十分。そのくらいの方が成長するのです。

 だから、日本の高校生は「頑張らない!」で、ちょうどいい。もちろん、頑張るところと頑張らないところを自分で見分けられるように知識を得る努力は必要ですが。指導者にはもっと頑張って欲しい。球児を取り巻く環境を変えるには、指導者が変わらないと。

■「甲子園の投手にイニング制限を」

 甲子園はいまもすごくいい経験として残っています。何より、普段対戦出来ないような強豪校と戦えるのがうれしかった。より強いチーム、よりいい打者と対戦したいという思いは、あの頃から持っていた。特別な場所での特別な大会である分、「ちょっと痛いくらいなら」と無理をして投げてしまうこともあった。

 安楽君の「772球」は、アメリカでも報道され、議論になりました。ツイッターでも発言しましたが、僕は投手のけがを防ぐため、1年生なら5回、2年生は6回、3年生は7回と、学年別に投球可能なイニングに制限を設け、ベンチ入り人数を増やすべきだと考えます。

 200球も投げることが高校生の体にいいわけがない。タイブレークも悪くありませんが、僕がベストだと思うのはあくまでイニング制限です。日本高校野球連盟がルールとして決めるべきです。ルールなら従うしかないので、分かりやすい。

 きっと甲子園の大会は大きくなりすぎてしまったんでしょうね。だから、その場に立つと高校生は無理をしてしまう。いっそ甲子園での大会をなくすのはどうですか。1年に何度も行われる小規模な大会にすれば、選手が無理をすることはないでしょう。

 でも、それは絶対にダメ。球児がそこを目指して一生懸命、頑張るところに美しさやドラマがあって、ファンが感動する。大会をなくしていいとは思わないけど、変えていかなければいけないこともある。けがのリスクを抑えた、もっといい大会にしていくことは出来るはずです。

 なぜこのインタビューを受けたか、ですか。僕は意味がないと思うものは受けませんが、このインタビューに答えることは、色々な人にとって意味を持ってくれるのではないか、と。自分の価値観で、すごくそう感じたからです。(構成・竹田竜世)