山形県新庄市で始まった、高校野球などの硬式球のリサイクル事業が注目を集めている。傷んだ練習球を再生することで、球代が節約でき、産廃としての処理費も浮く。福祉作業所などに作業してもらうことで、新たな雇用も生み出している。
発案したのは旧制新庄中(現新庄北高)出身で早大野球部OBの大場日出男さん(80)。新潟交通の選手として都市対抗野球で活躍後、新庄北高の監督を務めるなど長く高校野球に携わった。球代が予算の半分以上を占める野球部も多く、「予算が少ない野球部のつらさは身にしみている」。
再生球で予算が浮けば、バットを買ったりグラウンド整備をしたりできると考えた大場さんとともに昨年事業に乗り出したのは「ユニオンソーシャルシステム」(本社・新庄市)。福祉作業所の運営などを手がけており、現在市内5カ所と神奈川県内2カ所の作業所で、約130人が再生球づくりに取り組んでいる。
傷んだ球の皮をはがし、糸を巻いて大きさを調整して、新しい牛皮を張り合わせたうえ、糸で縫い合わせる。すべて手作業だ。
この取り組みを、県最上総合支庁保健福祉環境部の鈴木敬次部長は「不況で一般企業も苦しんでおり、福祉作業所にはなかなか仕事が回ってこないのが現状。注文が増えれば雇用もさらに増える」と歓迎。ユ社の加藤翔専務は「全国で初めて食品トレーの回収・循環システムを実現した『新庄方式』のように、全国に広がってほしい」と願う。
再生球の名は「リトライ」。「ボロボロになっても何度でもよみがえり、何度でも挑戦できる。そんな思いをボールに込めた」と大場さん。1球230円で回収は無料(送料別)。
大場さんは県内外の高校野球関係者や大学時代の仲間らを訪ね、協力を呼びかけてきた。高校ではすでに県内24校のほか、仙台育英(宮城)、弘前工(青森)、姫路(兵庫)などが使っているという。問い合わせはユ社(0233・32・0289)へ。(三浦亘)